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164 第六幕 愛しているの。……それだけじゃ、いけないの?
第六幕
開演 愛しているの。……それだけじゃ、いけないの?
じりりりー、じりりりー。
……。
じりりりー、じりりりー。
……。
どこかで、電話の鳴る音がしている。
だけど、眠くて、起きることが、とてもめんどくさい。
誰とも話をしたくない。
だけど、電話は鳴り続けている。
いつまでたっても、鳴り止まない。
「はぁー。めんどくさいな」
そう呟いて、本田星はベットの中でゆっくりと目を開いた。
するとそこは星の知らない部屋だった。
星は一瞬、自分が今どこにいるのか、(そして、これからなにをしようとしているのか)それがよくわからない状態になっていた。(つまり寝ぼけているのだ)
ぼんやりとしていると、だんだんと眠りにつく前の自分の状況を思い出すことができた。星は海を探して森の中にやってきて、そこで澄くんと出会い、今は澄くんの家で、休ませてもらっているのだった。
……電話がなっていた気がする。
でも実際には、電話は鳴っていなかった。(それは星の気のせいだったのかもしれない。あるいは、それは夢の中の出来事だったのかもしれない)




