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「ごめんなさい」と星は言った。

 澄くんはなにも言わない。

 ……でも、それからしばらくして、澄くんは迷いを振り切ったような、とても真剣な顔をして、星の両目をじっと見つめた。

「しょうがないな。今日だけだからね」

 そう宣言すると、澄くんの次の行動はとても素早かった。

 澄くんの顔が星の顔に近づいてくる。

 星はえ? と思い、それからすごくどきどきする。

 澄くんはそのまま、そっと星の頬にキスをしてくれた。(それから一秒か、二秒後に、澄くんの唇が星の頬からそっと離れる)

 キスのあとで、澄くんの顔が星の顔から少しずつ、離れていく。

 星は目をぱちぱちさせながら、そんな澄くんの様子をずっとベットの中から(子供みたいに)観察している。

「これでいい?」

 照れた顔の澄くんが星に聞く。澄くんの顔は本当に真っ赤に染まっている。(きっと星の顔も同じだろう)

「うん。いい」

 星は(とても満足そうな表情をして)澄くんに答える。

 少しの沈黙。

「……えっと、じゃあ、僕、ちょっと用事があるから、行くね。青猫の治療の経過を見なきゃいけないんだ。……でも、また、少ししたら様子を見に来るから、星は、……それまで大人しく寝ているんだよ」

 澄くんは少し慌てた感じで言うと、片膝をついた中腰の姿勢で座っていた床の上から(金属製の桶を持って)立ち上がる。

 星は黙ったまま、じっと澄くんの顔だけを見ている。

「それじゃあ、またね」

「うん」

 星は言う。

 すると澄くんは足早に(この)部屋を出て行った。

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