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 もちろん、魚の存在は森の魔女に(それは結局、海本人だった可能性が高いわけだけど)ばれないことに越したことはないが、(星も魚の存在がばれないように、魚に協力して行動していたことは事実だ)ばれてしまったことは仕方がないのだ。

 なら、早めに気持ちを切り替えてしまったほうがいい。

「ここ、澄くんの家、だよね?」

 その質問をするとき、星の心臓はとても、どきどきした。

 気を失ったときの(澄くんが星のそばにいた)状況と、この部屋に漂う見覚えのある(澄くんの家の中で硯が唯一知っているあの大きな部屋によく似ている)雰囲気からして、(それと森の中を星を運んで移動するという条件と距離的にも)まず間違いなくそうだと言い切れるが、それでも万に一つ、そうではない場合もあるので、一応確認をしてみる。

『そうだよ』

 緊張して質問した星に対して、魚の答えはやけにあっさりとしていた。(相変わらず魚は澄くんに興味がない)

「本当?」

 星は魚に念を押す。

『本当だよ。君も知っているでしょ? 『僕は嘘がつけない』のさ』少し呆れた様子で、魚は言う。

 確かにその通りだった。

(魚は嘘をつけない。そんな重要なことまで、星はうっかり忘れていた)

「そっか。そうだよね。……よかった」

 なんだ。このベットは澄くんのベットなのか。

 それがわかって安心した星は体の緊張を解いて、ベットの後ろにある木の壁に(丈夫そうな壁だ)背中を押し付けるようにして、その姿勢をリラックスした状態に変化させると、らくだ色の毛布を両手で持ったままさらに引き寄せて、自分の口元まで覆って隠してしまった。

 口元は隠れているが、星の目は明らかに(とても嬉しそうに)笑っていた。

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