たがいのこころ
船生の告白。その空気感に耐えれなくなり部屋を飛び出した。
船生は漫画喫茶で体と心を休め、告白したことへの思いをどうにか飲み込み、家に戻る。
鍵を差し込んだがかかっていない。ドアを開け靴のまま上がる。リビングには明かりがついている。
「おかえり。寒かっただろ?風呂入れといたから入りな」
「う。うん」
足元を見ると靴のまま。
「おいおい。靴履いたまま上がる奴いるかよ。ほら脱いで。いいから風呂入ってこい。片付けはやっとくからさ」
口調とは違い笑みをこぼしながら風呂場に追い込み、廊下を掃き掃除しフローリングシートで拭き上げる。
義人の笑みを思い出しながら風呂に入る。
「頭の整理ができたのかな。俺も出来たし義人も。か」
うっすらとニヤける。湯にニヤけた顔が映り恥ずかしさがこみ上げた。
風呂上がりで体からオーラのような湯気があがる。濡れた髪をタオルで拭きながら歩く。
テーブルには、淹れ直したココア。
「風呂上がりにココアは暑いかな。ちょっと飲みたくなってさ。少し糖分も欲しかったし」
「いただきます。うん。ちょうどいい。体の外も中も温まるよ」
首から下げるようにタオル。
座り向かい合う。
「あのさ。さっきの言葉。すごく。。。すごく嬉しかった」
どの件のことかはわかっていたが、目をじっと見る。
「俺のことなんか好きでいてくれて。たとえその好きがLIKEでも俺は嬉しかったんだ」
「ちがうよ!LOVEの方!そりゃ。男から告白されて気持ち悪いと思うかも知れないけれど!」
「うん。だと思ってた。あんなタイミングで告白させたのが申し訳ない気持ちと俺の中にある下心を秘めたままでいたことに心苦しさが相まって、整理がつかなかったんだ」
「それって」
「うん。整理してわかった。俺も船生のこと好きで、それを先に言わせた上にあんなタイミングで言わせたことへの罪の深さに押しつぶされてるんだってわかったら。ごめん。もっと良いタイミングを望んでたよね。なのに。最悪なタイミングで告白させてしまった。申し訳なぐで。ごべん」
溢れ出す涙を手で拭っても拭っても指の間からこぼれ落ちる。
少し湿ったもので拭われてるのがわかる。後ろから顔を包み込むように何かで拭われる。
「ごめんね。こんなので。ほら。ココア飲もう」
こんなのとは、風呂から出てきた時に髪を拭いていたタオル。そのタオルで義人の涙を拭っていた。
「ううん。嬉しいよ。ありがとう。うん。湿ってる。あはは」
「いつかは告白しようと思ってたからさ。それがどのタイミングとかあまり考えてなかったんだよ。むしろ、ズルイと思ってるよ。だって、俺に都合の良いタイミングだったでしょ。義人の気持ちを考えてなかった。だけど、思いは同じだったのかなと思ったらなんというか」
照れながら話す船生。
「そういう感じなんだ。いつもシュッとしてるからそんな照れるなんて思ったこともなかったよ」
「そりゃボクだって!そういうのあるよ。ずっと秘めたまま生きていくんだろうなって」
「それを言ったら俺だってそうさ。同性にそんなことを言うことなんて気持ち悪がられるし、なにより心の置き場所にしていた船生くんがいなくなるかも知れないと思うと。絶対に気づかれないようにって。なるよ」
「考えることは同じだってことだ。安心した」
「安心したらボクになるのかな?」
「やめろって。ついこぼれ出たんだよ。つい」
「んふふふ。あのさ、俺男同士というのはその。経験がないから。船生くんは?」
「ないよ。あー、でも学生の頃は男女関係なく。かな」
どこまで?なにのなにを?なにしたの?
船生と義人Congratulations!
どちらも人恋しくしていたことも多少はあるのかもしれない。




