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Rule of Scramble  作者: こーたろー
第七編 夏の活劇
185/220

短編三 夕景モラトリアム:前編

 その日、安堵友介は人生最大級の驚愕に見舞われた。

 方向性は異なるが、その度合いは軽くトラウマ気味になっているヴァイス・テンプレートの襲撃や、土御門狩真の電話、枢機卿の渋谷大暴れと同レベル。


「おい、お前、今……何てッ」


 目の前の少女は顔を真っ赤にしながらも、いつもは気弱なその瞳に強固な意志を宿して友介を睨む。瞳には涙すら滲んでいる。だが、やはり引く気ないらしい――もう一度、彼女は――痣波蜜希は、その信じがたい一言を口にした。




「――――し、ししししっ、し……四宮凛さんを、わわわっわ私にっ、紹介してくらひゃい!」




「……お前いったい何を食ったんだよ。全部吐け」


☆ ☆ ☆


「……あ、あああ、あんど、くん……それは、ひ、ひどいよ……」


 友介とカルラが暮らすマンションの一室、そのリビングのテーブルで二人は向かい合っていた。

 訝しげな視線を向け、あまつさえ食料の心配までするという失礼な友介を、蜜希は瞳に精一杯の怒りを込めて睨んだ。


「あ、悪い。そんな、泣きそうな顔するなよ。そんなに悲しかったか? 悪かったな」

「ちっち、ちがう! これは、お、怒ってるんだ、よ……!」

「いや、どう見ても捨てられた子猫にしか見えねえよ。今にも泣きそうじゃねえか」


 嘘はついていない。本当の本当に、人生で最も勇気を出したのだ。決死の覚悟で絞り出した言葉なのだ。

 それを『何を食ったんだよ』の一言で切り捨てられたのだから、怒っている。それはもう、これ以上ないくらいに怒っている。

 怒っているのだが……


「あーあ、友介が蜜希を泣かしたー」


 トレーにお茶の入ったコップを三つ乗せ、台所からやって来たカルラがそんなことを言う。


「ばっ、おいッ。まだ泣いてねえだろ!」

「でもそのうち泣くわよ? おもちゃを取り上げられた幼稚園児みたいになってるじゃない」

「だ、だっ、だだだだ! だから違うって……っ!」


 蜜希が必死に否定するも、半袖半ズボンというラフな格好の友介も、エプロン姿のカルラも聞いていなかった。カルラが楽しそうに友介をいじり倒し、対する友介はそれをイライラしながらのらりくらりと躱す。蜜希の話など欠片も聞いていなかった。

 コップをテーブルの上に置き、ごく自然に友介の隣に腰かけるカルラ。


「あ、髪になんかついてるわよ」

「あん? 悪い、取っといてくれ」

「はいはい。だらしないわね、まったく……」

「うるせえな、別に家なんだからいいだろ」

「外でやってなきゃいいけどね」

「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」


 蜜希は思った。

 自分は何を見せられているのだろう、と。

 これは何だ? カップルとか新婚とかおしどり夫婦とかではないぞ? なんだこの……『わかってる感』は。

 何というか、長年連れ添ってきた老夫婦というか、ごく自然な距離というか、もはや二人の間に愛があるのは確認するまでもないというか。


「やってねえって。お前の前だけっつの」

「……ふーん、あっそ。私の前だけなのね。……えへへっ」


 いや、なんかカルラの方はそうでもなかった。今のは完全に付き合って一週間とか、そんな感じのニヤケ方だった。

 普段意識していないときは一緒にいるのが当たり前なのだが、ある時ふと友介が無自覚にあんなことを言うと、何かにリミッターが外れてしまうのだろう。見ている感じだと、友介が無自覚だからこそ、あんな風にトリップするのかもしれない。


「……なんか、惨めになってきた」

「あー、だから悪かったって蜜希。な?」

「いっ、いや……そういうことじゃ、な、ないよ……」


 もうこんなものを見せられたくなかった。一刻も早くこの場から逃げたかった。ここはリア充以外を苦しめる異空間なのだろうか。まさか染色? どこからか枢機卿が攻撃を仕掛けているのかもしれない。

そんな錯覚すら覚え始めたころだった。

 目の前に座る友介から声をかけられた。


「蜜希」

「ひゃっ、ひゃいっ!?」

「声裏返ってんぞ。てか、そろそろ草次だけじゃなくて、俺らとの会話も慣れてくれ」

「あ、う、うん……頑張る」

「サンキュ。んで、四宮の件だが、連絡取ったら即オッケーの返事来たわ」


 そう言って、彼はスマホの画面を見せてくれた。


『おけおけー(*’ω’*)

 てか安堵から誘ってくれたの初めてじゃん♡ うれしい♡』


「……送信から返信まで一分経ってないよ……」

「暇なんだろうな。かわいそうな奴だ」

「ま、まあある意味、かわいそ……って、カルラちゃん?」

「なに?」

「ど、どうした、の……?」

「別に」

「ききき、きげ、ん……わるそう、だけど」

「別に」

「で、でも――」

「何もないから」


 明らかに何かあった。まあ確実に友介が凛とチャットしてることに腹が立っているのだろう。


「それにしても頭悪そうな文面だな……」

「ほっとそれ! 友介もたまにはいいこと言うじゃないッッ!」

「げ、元気いいなお前……」


 あの友介が引き気味だった。


「で、でも……ハートついてるよ……?」


 蜜希がそう指摘した瞬間、カルラの表情が不機嫌に戻った。……蜜希は少し面白くなっていた。


「ほら……その、ハートついてくるってことは、さ、ささ……誘われてうれしいんじゃないかなあ?」

「いや、女のハートってびっくりマークとかとそんな変わんねえだろ」

「むしろイマドキの女子の間では嫌いって意味よ」

「嘘つくんじゃねえよ、ちょっと傷つくだろうが」


 カルラは狡い手を使った。


「それよりも日時決まったっぽいぞ。ちと早いけど明日でいいか?」

「う、うん……ただ、ね」

「ただ?」


 友介のオウム返しに、蜜希は顔を赤くして、


「あの、その……他にも男の子を、その……草加君以外なら誰でもいいから、男の子を、その……連れてきて、もらって、ほ、ほし、い……。聞きたいこと、ある、から……」


 友介とカルラは顔を見合わせた。

 生い立ちや人生に余裕がないこと、あまりにも不幸過ぎる幼少期などの影響で、己のことに関しては鈍感過ぎる友介といえども、さすがに気付いてしまった。

 同じくカルラも、

 そして二人は、声を重ねてこう言った。




「「男漁りは良くないと思う」」




「そ、そそそっ、そうじゃないっ!」


 二人とも馬鹿だった。


☆ ☆ ☆


 そして、その次の日――プールの一週間後――、友介の提案で、痣波蜜希の痣波蜜希による痣波蜜希のための会の集合場所が、渋谷駅前のファミレスになった。

 最初、凛はファミレスではなく有名チェーン店であるカフェにしようと提案したのだが、カフェなどという異界に迷い込めば思わずアポカリプスるかもしれないと危惧した友介が、頼むからファミレスにしてくれと懇願したのだ。


 ライアン・イェソド・ジブリルフォードの襲来により半壊した渋谷駅周辺だったが、友介がブリテンで血反吐を撒き散らして城を登ったり並行世界へ行ったり枢機卿と国を懸けて戦ったりしている間に、本国ではすっかり復興が進んでいたらしい。軽い山くらいはある氷塊は撤去されており、景観も以前より良くなっているくらいだ。

 その後に発生した枢機卿の大暴れによる被害も、一部を除けばほとんどが復興しているらしい。科学の進歩はやはり人を豊かにするらしい。


「……まあ、そのせいで総米連邦にどれだけ貸しを作ったかわからんがな」

「確かに……ってか、それよりもだ。まさかお前がほんとに来るとわ思わなかったぜ」

「そうか? まあ、俺も変わったということだ」


 がやがやとやかましい店内のウェイティングシートに腰を下ろしているのは二人の少年。

 一方は人を五人か六人は殺していそうなほど目つきの悪い少年――安堵友介。

 もう一方は眼鏡をかけた知的な雰囲気を醸し出す少年――川上千矢。


 期末テストも終わり(友介は色んな意味で終わった)、夏休みまであともう少しというこの時期。当然外は蒸し暑い。よって、友介の服装は半袖と短パン。とはいえ、小学生のような幼稚な印象は与えてこない。妹である杏里が選んだものなので、しっかりと年相応の雰囲気は出ていた。


「マジで涼しいな。やっぱクーラーは最高」

「同意だ。科学は良い」

「お前魔術師だろ。つかあっちはあっちで、きちんと魔術的な色々で冷房とかなかったのかよ」

「あるさ。……まあもっとも、西日本帝国はサウスブリテンとは違い、元あるインフラを廃止してまで魔術で全て代用しようとはしなかったがな」

「あれは『調停局』へのパフォーマンスだったんだろ。科学と魔術は手を組んでませんよアピールってやつ?」


 頭の片隅で生意気な笑みを浮かべる大剣使いの少年の顔を右手で払うと、友介はさらに言葉を重ねていく。話題は西日本帝国についてだ。


「魔術も使われてるけどベースは科学ってことか?」

「そうだな。基本的に生活は科学がベースで、要所を魔術が抑えるといった印象だな。とはいえ、西日本帝国における魔術は生活と切り離せないというよりも、娯楽の面が強い」

「あァー、納得。ガチの殺し合いは重いだろうが、スポーツとしてはありってことか」

「そうだな。全国高校魔術選手権大会なんてものもある。草野球ならぬ草魔術戦なんかも多いぞ。サッカーの試合みたいに、各地で小さな大会がよく開催されている」

「世紀末だな」

「ああ。ちなみに、魔術圏といえど純正のスポーツで魔術を使えば一発退場だから安心しろ」

「何に安心すんだよタコ。つぅーか来ねえなあいつら」


 先ほどからちらちらと入り口を確認しているが、どうにも蜜希や凛が来る様子はない。まあ、約束の時間の三十分前に着いてしまっているので、仕方ないのだが。彼自身絶対に認めようとしないが、確実に初めてクラスメイトと遊ぶので少しはしゃいでしまったのだ。


「……人気だな、あれ」

「電磁パルスショックアプリ。名前は確か『マジックバスター』だったか」

「アプリひとつで枢機卿をぶっ飛ばせるならどんだけ幸せなんだろうな……」


 友介の切なるつぶやきは、それはもう痛々しかった。

 彼らの視線の先では制服を着た友介と同い年くらいの女の子たちが、スマホのスピーカーを向け合って何やらバチバチやっていた。直撃したのか、ひとりテーブルに突っ伏すように気絶してしまった少女を見るに、人間を気絶させることができるのは本当らしい。

 ただし、あれで枢機卿を倒せるとは思えない。


「大規模テロ組織『楽園教会』。科学圏も魔術圏も関係ねえ、世界を敵に回すって言いやがったからなあのクソ野郎。そりゃ変なアプリの一つや二つは出てくるだろ」


 楽園教会のテロ宣言の影響は、友介の予想よりも遥かに速く、そして大きく世界に影響を及ぼした。

 まず一つは、当たり前だが人々の心。誰もが笑顔を浮かべているが、そこに不安を紛らわすという意味があることは言うまでもない。産業面では兵器や武器の製造を行っている企業が売り上げをぐんぐんと伸ばし、政治に関しては十月に九界調停局(エニエスグラム・オピニオン)の軍事担当部署『美麗賛歌(ブリーザ)』の機関長アモルシア=プランターレが『先端科学研究都市』であるハワイを訪れることが表明され、科学圏と魔術圏が融和を果たすかと注目され、連日ニュースになっている。


 そして、スマートフォンアプリもまたそうした世の風の煽りを受けていた。

 中高生の枠すら超え、今や日本や世界中の話題の的になっている電磁パルスショックアプリ『マジックバスター』を皮切りに、それに似たアプリが湯水の如く世に溢れていった。彼らと実際に相対した友介たちからすれば、もはや語るまでもなく役に立たないが、多くの人はそれを知らない。


 いいや、あるいは。

 そんなことは自覚していながら、それでもあえて縋ることしかできないのか。

 千年に一度の戦争に備えて、役に立たないような防災グッズや缶詰を溜めこんだり、石油危機の際に万が一に備えて大量に生活必需品を買い込んだり。そうした行動と、根底にあるものは同じなのだろう。

ただまあ、やっぱ気になるのはあれ(・・)だけ無料なことだよな」


 友介が気になっているのは、実はそこだった。

 世には多くの対魔術師アプリが溢れ、誰もがそれを欲しがっている。だが、その多くが『特需』の波に乗ろうとする詐欺師紛いの人間ばかりだ。アプリひとつをダウンロードするのに二万円も金が必要だったり、たとえ低い値段で買えたとしても、アプリ内で課金しなければならなかったりと、そもそもからして人を守るためのものなどごく少数だった。


 (さか)しい者たちは、きっと理解しているのだろう――たかがアプリ如きで、魔術師を倒すことも自分の身を守ることも、不可能だと。

 だが、『マジックバスター』は違う。ダウンロード無料、アプリ内課金なしという、善意の塊の如き代物だった。


「まあ、最初は善意だったのだろう。今頃は製作者も少しは悔しがっているのかもしれんぞ」

「なるほどな。市場を生む才能はあったけど、商売の才能はなかったってわけか」

「ちょー、なに難しい話してんの? あたしも混ぜてよっ」


 ひょこっ、と友介の視界いっぱいが、端正で派手な少女の顔で埋め尽くされた。

 横に傾いているせいで茶色い髪がさらりと流れ、白いおでこがあらわになる。


「四宮?」

「うんー?」」

「近い」

「反応それだけって、ちょっと自信なくすわー」


 適当に言いながらステップを踏むようにして後ろへ下がる。


「早いね安堵」

「お前もな。まだ時間の十分前だぞ。友達と遊ぶのが楽しみ過ぎてはしゃいだのか?」

「いや、まあ間違ってはないというか、だけどさあ……てか、それあんたが言う?」


 今日はいつものポニーテールとは異なり、長く茶色い髪をツインテールにして結っているようだった。うさぎの耳のようにピンと跳ねたあと、長い尻尾が背後へ落ちている。

 服装はシンプルに薄めの黄色Tシャツと白のミニスカートというシンプルな出で立ち。ただしTシャツに少しアレンジが加えられており、すそをへその上でぎゅっと縛っていた。そのせいでくびれた真っ白なお腹があらわになっている。


「腹壊すぞお前?」

「女の子の服見て最初に言うセリフがそれ!?」


 にひーっ! と口元にピースを当ていたずらげに笑っていた凛だったが、友介の一言でそのパーフェクトフォームも崩れてしまう。


「はぁー、なんかやっぱ、安堵にそういうの期待したあたしが馬鹿だった」

「は? 馬鹿にしてんのかよお前」

「別にそういうのじゃないし。……あ、そだ」


 疲れた息を吐いて友介の隣に腰かけた凛は、ふと思いついたようにスカートのポケットをまさぐりだし、スマホを取り出した。


「てりゃ――ってうわあ!?」


 そして、スピーカーを向けられた瞬間には、友介の腕が動いていた。

 蛇のように奇怪な動きで凛の手首に絡み付いた後、ごく自然な動作でスマホを奪い取っていた。その拍子に端末の液晶に指が当たり、


「きゃっ!」

「あ」


 小さな悲鳴を上げてから、まるで眠るようにして友介にもたれかかってきた。


☆ ☆ ☆


「うううー、なんか惜しいことした」

「惜しいことしたじゃねえよ。あぶねえことしやがって」


 凛が眠るように気絶した後、友介は頬をぺチぺチと叩いたりつねったり、頭をポンポン叩いたりして凛を起こした。


「四宮、悪かったな」

「ううん、別に全然いいって。あ、あたしも突然あんなもん向けちゃったからね……」


 友介が頭を掻きながら謝罪すると、凛もまたばつが悪そうに謝罪を口にした。

 一応これ凛を気絶させたことに対するけじめをつけたと判断した友介は、態度を少し変えて瞳に少しの怒りをにじませた。


「お前も『マジックバスター』か。……ったく、こんなもんでどうにかなるわけねえだろ。お前、これを土御門狩真に向けたところで勝てると思うのか?」

「え、ああー……ゼッタイムリ」


 具体的な恐怖を植え付けてきた狂人を引き合いに出された凛が、引き攣った笑みを浮かべ、世に出回っているアプリの何と下らないことかを一瞬で理解してしまった。

 瞳の怒りには『無理に戦わずお前は逃げろ』という意味があるのだろう。こんな自分の身を案じてくれる友介に感謝しつつ、千矢に軽くあいさつした後(二人は友介の病室で会ったりしているので面識がある)、凛は端末を取り返しながら、


「てかミーちゃんは?」

「誰だよミーちゃん」

「ミーちゃんはミーちゃんっしょ。蜜希ちゃん。今日の主役でしょ?」

「あいつならまだ来てねえよ。まだ十分前だぞ。てかそれより、お前の方もきちんと男を呼んだんだろうな」


 友介が隣にいるインテリ眼鏡イケメンを親指で差しつつ、そう尋ねた。


「呼んだ呼んだ。まあでも、アンタが来るって言って首を縦に振ってくれたのは一人だけど。……ったく、ほんとどいつもこいつもムカつく」

「……その情報って、必要だったか?」


 友介のただでさえ悪い目つきが悲哀を帯び、一層人相が悪くなってしまった。


「来るのはカズ。最近友介と仲良くしてくれるサッカー部の美少年だよ」

「ああ、あいつか。了解、わかった。つか、そろそろいい時間だし、順番も結構抜かされてるから先座っとくか」

「賛成だな。もう五分前だ。そろそろ来るだろう」


 友介の提案に千矢が乗り、凛もそれに続く。もう七回ほど名前を呼ばれた店員さんに座ることを告げてから十秒、三人が席へ案内される。

 その、途中だった。


「あ」

「あ」


 六人掛けのテーブルでひとり、料理ひとつも注文せずに気まずそうに座っている蜜希と目があった。


☆ ☆ ☆


「あう、あぅあぅ……」

「えっ、こうやってミーちゃんとちゃんと話すのは初めてだけど、この子ちょーかわいくないっ? 緊張して早めに家出たら一時間前についちゃったって……ほんと超かわいい! え、ちょマジ可愛すぎなんですけど~~~! つらい、マジつらいわぁー!」

「あああ、あの、あのあのあのあの……えっと、四宮さん、その、ちょっと、その、きょっ、距離……」

「あーそういう呼び方いらないからマジっ! 凛でいいって、凛で!」

「え、えと……」

「ほらほらぁー、呼んでみ? ほらっ!」

「う、ううう……り、りん、さん……」

「さん付けかあー、同い年でさん付けかー。……ま、いっか別に! じゃあこれからよろしくね、ミーちゃんっ」

「は、はい、よ、よろしく、です……」


 真っ赤な顔と消え入りそうな声だった。彼女をよく知らない人からすれば、凛のウザがらみに辟易しているようにも見えるが、友介と千矢にはわかる。今の彼女は喜んでいた。


「すげえなこいつ……」

「あ、ああ……まさか、こんな簡単に心を開くとは」


 まあ、本格的に紹介してほしいと頼んできたのは蜜希なので、ある程度彼女に対して好意や憧れは持っていたのだろうが、それでも驚きだった。

 百合の花でも咲くのではと思うほどべたべたと引っ付く凛と、それを拒否せず嫌がりもせず、ただ顔を真っ赤にしてされるがままの蜜希。ギャルとコミュ障。ちぐはぐなはずなのに、なぜかしっくり来てしまうのが友介には不思議で仕方なかった。


「うーん病室で狙ってたけどとうとうチャンス来たかー。うりうりうりうりー、ほらほらミーちゃん、もっとあたしにめちゃくちゃにされろー!」

「「…………っ」」


 男が目の前にいるのに、服の上からそれなりにある蜜希の胸を揉みしだき始める凛。目のやり場に困った男性陣は、視線の行き場を求めてとりあえず入口の方へと目を向けた。

 すると、見覚えのある少年が店員と一言二言言葉を交わし、何やらメモのようなものを交換した後、一度友介と目が合った。にっこりと笑った少年は、どこか嬉しそうな足取りですたすたとこちらに近づいてくる。


「やっ、友介くん」

「お前いつの間に俺の名前下で呼ぶようになったの?」

「いいじゃないか、僕らはもう友達なんだし」

「とも、だち……?」


 何やら心を持たないエイリアンに感情が芽生えたかのような声が漏れたが、少年――新谷蹴人はそれを無視して友介の隣に腰かけた。千矢と蜜希、凛がとてもかわいそうなものを見る目を向けていたのだが、衝撃と驚愕と混乱に見舞われた彼は、全く気付いていなかった。


「あ、隣良かったかな?」

「え、ああ。まあ」


 こちらを向いて、中性的な顔をにこりと笑みの形に変える蹴人を、友介は直視できなかった。別に顔が女の子みたいで可愛いからとか、そういう理由ではない。『友達』という言葉に照れてしまっただけだった。


「安堵、あんたやっぱ……」


 凛が半眼を向けていたが、友介は気付かない。

 そんなやり取りがありつつ、各々メニューを開いて注文し、料理を待つ。

 その間に、友介は本題を進めることにした。


「それでさ、蜜希。今日はどういうつもりで集められたんだ?」

「っっっ!」


 瞬間、ビクッ! と小動物のように肩が跳ねた。だらだらと冷や汗すら流し、目には涙を溜め、口は引き結ばれてしまう。

 その状態が続いて数十秒。がやがやと店内の喧騒が耳を叩く中、少女はやっとの思い出こうこぼした。


「……きょ、今日はこの辺にして帰ろっか」

「待てこらテメエ」

「ひっ!」


 友介が半眼で睨むと、相当ひどい顔になっていたのか、蜜希が引き攣った声を出した。


「ご、ごめんなさい……なななな。な、殴らないで!」

「殴らねえよ」

「そうだぞ。それはあの日、草加と本気で殴り合い、涙を流して本音を晒した安堵に失礼というものだ」

「テメエ余計なこと言ってんじゃねえぞゴラァァァァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああつぅーか泣いてねえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええッッッ!」


 いや、泣いてた。ボロ泣きしていた。

 蜜希と千矢は心の中でそう唱えた。


「いや、とにかく今はそれは良い。そうじゃなくて、だ。蜜希テメエ、俺たちを呼んだのには理由があるんだろうがよ、理由が。こんな訳わかんねえメンツ集めて、いったい何がしたいんだよ。男漁りじゃないなら何だ? 四宮を誘うのにそれ以外の用途が見つからねえ」

「いやあんたあたしを何だと思ってんのッ? しないから、男漁りなんかしないから! てか用途って何だ!」


 とはいえ、実際友介の言う通りでもある。

 まず友介と蜜希、千矢という組み合わせが異質。ここに蜜希が加わっている時点でバランスは崩壊。極めつけの新谷蹴人で次元が壊滅していた。


「てかさあ、安堵。あんた本気で気付いてないわけ?」

「あん? じゃあテメエはこの謎が解けてるってのかよ」

「そんな難解事件じゃないから……」


 見れば蹴人も頷いていた。千矢も目を閉じて眉間を揉んでいるあたり、どうやら気付いているようだった。


「はあー、これだから童貞は」

「黙れビッチ」

「び、ビッチじゃねえわ!」


 ばんっ! とテーブルを勢いよく叩き、立ち上がって大声を出してしまった。

静まり返る店内。それでようやく自身の発現に気が付いたのか、凛は顔を赤く染めてこほんと一つ咳払いをしてから席に着いた。


「……はあ、女の子が顔赤くして相談つったら恋バナしかないっしょ。何でわかんないかなー」


 深くため息をつく凛を見て、それから隣に座る蹴人に視線を向けた後、千矢の整った顔たちを眺めて、


「役に立たなさそうだし帰るわ」


 瞬間、凛と蹴人が同時に立ち上がり、


「はいストップー。帰さないから。今日は絶対に帰さないから。絶対。あんただけは帰さない」

「お前は俺を帰宅難民にしてえのか?」

「そういうことじゃないと思うけど。でも確かに、ここで帰るのは痣波さんに失礼だよ」


 ニコリと笑みを浮かべる蹴人の笑顔には、凄みがあった。絶対に帰すものかという意志すら感じる。


「いやでもよ、実際俺が何の役に立つんだよ。四宮も新谷も千矢は顔がいいしモテるだろうからわかるが。俺は何なんだよ。意味わかんねえだろ。つぅーか俺が苦痛だわ」

「そ、そっそ……そんなことは、ないと、思うけどなあ……」


 蜜希が呆れ気味に否定するが、彼女の喋り方のせいで気を遣われたと勘違いしてしまったらしい。友介はありえないと言いたげに首を振っていた。それを見て凛が苦笑いを浮かべ、千矢は眉間を揉む。


「まあだが、ひとつ言っておくが俺も交際経験はないぞ。女性からの告白もない」

「まあお前シスコンだしな」

「……義妹とはいえ水着姿に興奮するお前に言われたくないぞ」

「はぁー? 興奮してないんだが。つぅーかシスコンの何が駄目なんだよ。妹を大切にしねえ兄貴なんざいねえだろ。それにお前の場合はいろいろと事情が複雑だしな」

「ふん、別に気を遣わんでもいい。いつか必ず取り返すと誓っているからな。それに、安堵、お前の意見は大いに正しい。兄は妹を大切にする。これは当たり前だ。当然の摂理だが兄という存在は妹よりも先に生まれてくる。これは兄が妹を守るためであり、妹を育てるためだ。これは宿命とすら言える。運命だ。絶対たる法則だ。兄として生きる以上、妹を守ることは『兄』という生物としての根幹、基本、本能とすら言える。わかるか? 俺たちは生まれながらにして戦いを宿命づけられいるんだ。だが、守るだけでは大切にしているとは言えない。先も言ったように兄は妹よりも先に生まれる。これには守る以外に、見るということもまた、定められているからこそなのだ。親というものは基本的に仕事に出かけている。専業主婦であっても家事の最中は子を見られない。だからこその兄だ。兄はいつだって妹を見られる。仕事は休めないが、学校は休めるからな。つまり最も妹の近くにいられる存在なのだ。また、妹を大切にするとはかの概念の自立をも促さなければならない。己に依存することを求める兄などもってのほかだ。妹が一人で生きられるすべを身に付けさせ、妹を守りともに添い遂げると話の恋人を見つけ出し、与え、そして胸を張って、涙とともにその旅たちを応援する義務が、俺たち兄にはある。そうだろう? そういうわけで安堵、雪を助け出した際には貰ってやってくれないか?」

「今日初めて知ったけどお前って吐くほど気持ち悪いな。無理に決まってんだろ、お前の弟になるなんざごめんだ」

「誰がお義兄(にい)さんだ」

「言ってねえよクソ眼鏡」

「お前の妹の婿候補は決まっているのか?」

「あいつは結婚しねえよ」

「お前も気持ち悪いな……」


 シスコンが二人、底辺の争いをしていた。

 友介に救われ、恋心を抱いているはずの凛がゴミでも見るような瞳をその友介に向けていた。おそらく相当気持ち悪いのだろう。

 その横にいる蜜希もまた複雑そうな顔をしていた。

 蹴人だけはニコニコと笑っており、それが逆に不気味でもある。


「ま、とにかく今からミーちゃんの恋愛相談と行きますかー」

「ああ、あああっ……ああ、あの、えっと、えと、そのっ」

「ていうかミーちゃんの好きな子って誰なん?」

「ちち、ちちちち……違う! ちょっと、待って! す、すすすすすす、す、すきとかじゃ、ない、ないからぁ!」

「はいはい、そんな顔赤くして言われても説得力ないっつの。つぅーか初々しいなこいつー。高校生でこんなピュアな子いる? あー、まじかわいい」

「それは凛も同じじゃないか? 学校でいつもゆうす

「だああああああああああああああああああああああああああああ! 黙れカズ! 頭からコーンポタージュ掛けられたくなかったら今すぐ黙れ!」

「……うるせえぞ四宮。他の客の迷惑も考えろ」

「……はい」


 シュンとしてしまった。


「それより蜜希、違うってのはどういうことなんだ? なんか恋愛相談じゃねえなら、まあそれなりに力になれるかもしれねえ」

「あ、そ、それは……ね」


 キュッとスカートを握り締めて、少女はゆっくりと口を開いた。


「く、草加くんが最近、その……元気ないから。だから、プレゼントか何かでもして、元気づけてあげたいなあって……思って」


☆ ☆ ☆


 友介も気付いていた。

 草次が時折見せる、痛ましい表情には。

 誰にも見せないように明るく振る舞い、友介やカルラ前でも心配させないようにおちゃらけているが、どこか無理をしていることは明白であった。全く隠せていない。

 きっとカルラと千矢も気付いていただろう。


 そしてそうした表情を浮かべるのは草次だけではない。蜜希もまた、どこか沈痛な面持ちを見せることがあるのだ。コミュニケーションが苦手だから、というものではない。ふと目を離したとき、気が付けば彼女は今にも胸を押さえそうな、そんな表情を浮かべる。


 きっと、ブリテンの戦いで何かがあったのだろう。カルラを助けるための戦いの中で、二人の心に大きな傷を残すような。

 本当ならば二人に踏み込んで、それの原因を聞くべきだったのかもしれない。実際友介だってそうしたい。


 だけど、それはできなかった。

 何度かそれとなく聞いてみたが全てはぐらかされたし、今は各々向き合っている最中だと思ったから。

 そして何よりも――


 もしも彼女が。

 カルラが真実を知ったときに、あの小さな女の子はきっとまた自分を責めるだろうから。


 あれは間接的であろうとも、己が関わったあらゆる悲劇を背負い込む女だ。たとえカルラを助けるために戦い、心に傷を負ったと知れば――きっと、また彼女は苦しむ。自分を糾弾して、悪だと決めつけて、また幸せから離れようとする。救いを拒み、償いの茨の道を進もうとするだろう。


 それが、嫌だった。

 だから、聞くにしても彼女のいないところで。助けるとしても彼女が知らない間に。

 そう思って、今日まで何もできなかった。

 だが――


「いや、……」


 ぽつ、ぽつ。

 小さな水の珠が、テーブルの上に落ちた。何かを抑え込み、かみ殺すような小さな声が漏れて、友介の知らない痣波蜜希が顔を出す。


「草加くんが辛そうに見てるところ、見たくない! あんなの、あんなに楽しくなさそうな草加くんは、きらい……! 私が好きな草加くんは、もっともっと……! もっと笑ってたもん!」


 そんな叫びがあった。

 ひくっ、ひっく……と、瞳から美しく光るしずくを流しながら、痣波蜜希は大きな声を出した(・・・・・・・・)


「わたし、草加くんに助けてもらったの……! ずっとずっと、部屋の中に引きこもってて、毎日パソコンとばっかり向かい合ってて、人と向き合ったことなんてなかった私を、草加くんは引っ張り上げてくれたの! 無自覚でも、天然でも、私を本当の意味で外に出してくれたのは、草加くんだったの!」


 痣波蜜希という少女は、小学生の頃にいじめにあってから、ずっと部屋の中に引きこもっていた。親ともまともに会話せず、友達なんているわけもなく、毎日毎日掲示板やらゲームの画面ばかりを眺めて。

 そんな風に生きていた。


 そんな少女の願いは――友達が欲しい。そして、誰かの役に一度でもいいから立ちたい。

 光鳥感那にハッキングの腕を買われてスカウトされたときに、そう突きつけられた。


 最初は否定した。だけど、時間が経つにつれて徐々に理解していったのだ。

 掲示板やゲームの世界でも誰かとつながりを求めたのはどうしてなのか。どうして引きこもったのか。

 簡単なことだった。




 ――蜜希ちゃんかわいいなぁーっ!


 ――蜜希ちゃん、どう動けばいい!?




 あの暗くて狭い部屋から、誰かに連れ出してほしかった。

 それに気づいたから、彼女に提案されてからしばらくして、外に出ることを決めた。彼女の言う『仲間』に興味があったから。

 もしかしたら、そこに私を引っ張り出してくれる人がいるかもしれない。

 あるいは、自分の子のどうしようもないスキルを、彼らのために使えるかもしれない。

 誰かの役に立てるかもしれない。友達と一緒にいられるかもしれない。


 甘い考えだ。

 命を懸ける戦いに身を投じるというのに、何が友達、役に立ちたいだ――と。自分でもそう思った。

 それに、外に出ただけで変われるなら、いま自分はここにいない。

 学校という多くの同年代の子供たちがいる場所ですら友達を作れなかった人間が、今さら仲間だよと提供されたどこかの誰かとつながりを作れるはずなどない。

 そんなことは、心のどこかでわかっていた。自分のやっていることは無意味で無駄なことだと、少女は理解していた。

 だから、本当はきっと、諦めていたのだろう。無理だとわかっていたのだろう。初顔合わせの時も、緊張してまともに話せなかった。そもそもコミュニケーションの取り方だってわからなかった。


 でも、だけど――

 きっと、そんな人間と出会えることは、普通ないのだろう。

 自分から変わろうともせず、諦めの中に沈む怠け者に手を差し伸べてくれる人間なんて、いないのだろう。

 自分が変わったところで、世界が変わるわけではないと言う人がいる。



 しかし、世界を変えたいならば、一番最初に自分が変わらなければならない。



 痣波蜜希は暗い部屋の中でそれを悟っていて、だからこそ、己への失望と共に諦めていたのだ。


 だけど――――

 そんな当たり前を、笑ってどかして暗い部屋に入ってきてくれた人がいた。


 意味の分からない明るさを振り撒いて、相手の性格や調子なんておかまいなしで扉を開けて大声で騒ぎ立てる少年(ひと)

 女の子と見るやすぐさま笑顔で飛びついて、こっちがのけぞるほどお構いなしに話してくる馬鹿な少年(ひと)

 困ってる女の子や、助けを求めている女の子を見ると、普段からは想像できないほど怒って声を荒げる、男の子。


 彼は、当たり前の常識を全部ぶっ壊して。

 怠惰で怠慢で愚かしいこんな自分を、変えてくれた。


 救ってもらったのだ。

 館で捕らわれているところを助けてもらったのよりも、もっと前に。

 彼に、笑顔を向けられた、その瞬間に――




 きっと痣波蜜希は、草加草次に一目惚れしたのだ。




「だから……今度は私が、助けたい……」


 自分の問題もある。これから先、この罪とどう向き合っていけば良いのかわからない。目の前が真っ暗で、今にも泣き出したくなる。

 あの日自分が火にくべて薪にしてしまった人たちのことを思うと、息ができなくなって喉を掻き毟りたい衝動に駆られてしまう。

 なにもわからない。解決していない。どうすればいいのか。目の前が真っ暗になって行き場を失ったみたいに迷っている最中だ。


 それでも。

 そうだとしても。

 たとえ何もわからなくなって、心が潰れるほど苦しんでいるとしても。

 それでも、自分よりも先に救いたい人がいるから。

 彼のために、何かできることがあればと、そう願ってしまうから。


「お願い、します……っ! 手を貸してください! 草加くんに、笑ってもらうために!」

 そう叫んだ(・・・)

 あの蜜希が、強い声でそう願った。

 それがどういう意味を持つのか。

 まだまだ会話が苦手なままの友介と千矢。

 顔見知りとは言え、全く真逆の性格の凛。

 そして、初対面でまともに顔も見られない蹴人。

 今までの彼女なら、委縮して一言も喋られなかっただろう状況で、誰かを頼ろうとするその行為。

 それを叩き付けられて。

 誰かの願いを、叫びを、涙を胸に刻み付けられて。


 この少年が動かないわけがなかった。


「蜜希」


 先ほどまでの気の抜けた表情とは一転して、オッドアイの瞳が爛々と輝いている。強い意思が宿り、燃え盛る意思の炎が覚悟と化して全身を巡った。

 安堵友介が起動する。

 たった一人の少女のために一刻を敵に回し、少女を助けるついでに一つの国を救ってみせた描画師の回路を電流が走り抜ける。

 この場にいる誰もが理解する――変わった、と。

 そして、何かが始まるのだと。


「まず謝らせてくれ。お前のことも、草次のことも。……俺はわかっていて、あえて踏み込まなかった。草次は俺を殴ってでもわからせてくれたのに、俺はなにもしなかった。ごめん」


 まずはけじめをつける。己の不甲斐なさのせいで、仲間を苦しめた。助ける機会を棒に振った。


「そんで、償いたい。草次を助けるために、俺も手を貸す。……そんで、後でお前らの話を聞かせてくれ。力になれるかどうかじゃない。お前たちのことを、ちゃんと知っておきてえんだ」

「……うん、ありがとう安堵くん」


 奇しくも同じ少年に救われた者たちが同盟を結んだ。

 彼らの目的はただ一つ。

 草加草次の笑顔を取り戻すこと。


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