表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もし信長が生きていたら ― 本能寺から始まるもう一つの天下 ―  作者: マーたん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

92/120

何と信長 海外へ

海の向こうには、どんな世界が広がっているのでしょうか。


戦国時代、多くの武将たちは天下統一を夢見ました。


しかし、その先にある世界まで見た者は決して多くありません。


もし織田信長が海を渡ったなら。


もし異国の文化や人々と出会ったなら。


その目には何が映り、どんな未来を思い描くのでしょうか。


この章から始まるのは、新たな戦いだけではありません。


異なる国、異なる文化、異なる価値観との出会いです。


知らない世界を恐れるのか。


それとも学び、新しい未来へつなげるのか。


戦国の英雄・織田信長は、人生で最も大きな旅へ踏み出します。


海の向こうで待ち受ける運命とは何なのか。


どうぞ、その第一歩をお楽しみください。

第九十二章


何と信長 海外へ ― 海の向こうに広がる新たな世界 ―


修羅丸との激戦が終わろうとしていた。


傷ついた兵たちは互いに支え合いながら立ち上がり、信長も静かに刀を納めようとしていた。


その時だった。


空が突然、黄金色に染まる。


黒雲は渦を巻きながら左右へ割れ、まるで天そのものが扉を開くようだった。


「空が……割れた」


兵たちは言葉を失う。


誰も見たことのない光景だった。


一本の巨大な光の柱が天から降り注ぎ、ゆっくりと信長を包み始める。


信長は刀を握り直す。


「敵か」


しかし光からは敵意を感じない。


むしろ優しく、どこか温かかった。


利家が駆け寄る。


「殿」


「危険です」


勝家も叫ぶ。


「信長様」


「離れてくだされ」


藤吉郎は必死に信長の腕をつかもうとする。


しかし手は光をすり抜ける。


「触れない……」


光はさらに強くなる。


兵たちは目を開けていられない。


轟音が鳴り響き、大地が揺れる。


次の瞬間。


信長の身体は光の中へ吸い込まれた。


「殿ーーーーーっ」


利家の叫びが空へ響く。


やがて静寂が訪れる。


光は消え去り、そこには信長の姿はなかった。


残されていたのは、地面へ突き立った一振りの刀だけだった。


勝家は膝をつく。


「殿……」


誰も言葉を発することができなかった。


その頃。


信長は深い霧の中を歩いていた。


足元には白い雲。


頭上には青い空。


歩いているのか。


浮いているのか。


自分でも分からない。


どれほど歩いただろうか。


突然、眩しい光が視界いっぱいに広がる。


信長は思わず目を閉じた。


ゆっくりと目を開く。


そこには見たこともない景色が広がっていた。


どこまでも続く青い海。


波は陽の光を受けて宝石のように輝いている。


巨大な港。


色鮮やかな帆を張った船が何十隻も並び、船乗りたちが忙しく荷物を運んでいる。


遠くには白い石造りの城。


高い塔。


大きな教会の鐘。


市場では見たこともない果物や魚、色鮮やかな花が並んでいた。


「ここは……」


「日の本ではない」


信長は静かにつぶやく。


道を歩く人々も様々だった。


金色の髪。


赤い髪。


黒い髪。


青い瞳。


緑の瞳。


白い肌。


浅黒い肌。


子どもたちは元気に走り回り、大人たちは笑顔で買い物を楽しんでいる。


誰も刀を差していない。


信長は驚いた。


「これほど多くの異なる人々が共に暮らしているとは」


その時、小さな少女が信長を見つけた。


「こんにちは」


信長は驚く。


「余の言葉が分かるのか」


少女は笑顔で答えた。


「昔、日本から来た旅人が私たちへ言葉を教えてくれました」


「あなたは侍ですか」


信長は小さくうなずく。


少女は目を輝かせた。


「本物の侍なんだ」


その声を聞き、多くの町人が集まってくる。


「本当に侍だ」


「すごい」


「初めて見た」


子どもたちは興味津々で信長を見上げる。


一人の老人が前へ出る。


「ようこそ、東の国から来た武士よ」


「この町の名はアルバニア港」


「世界中の船が集まる港町です」


信長は港を見渡す。


大きな商船。


豪華な客船。


遠い国から運ばれてきた品々。


香辛料の香り。


焼きたてのパン。


見たこともない楽器の音色。


大道芸人が火を吹き、人々が拍手を送っている。


信長は思わず笑みを浮かべた。


「海の向こうには、これほど豊かな世界があったのか」


老人は静かにうなずく。


「世界は広い」


「国が違っても、人は笑い、泣き、家族を愛します」


その言葉に信長は深くうなずいた。


「その心は日の本と変わらぬな」


老人は町を案内する。


市場。


造船所。


図書館。


天文台。


職人街。


信長は見るものすべてに驚き、興味を示した。


「この国の技術を学べば、多くの民が豊かになる」


「争うだけでは国は栄えぬ」


その時だった。


町中に激しい鐘の音が鳴り響く。


ゴーン


ゴーン


ゴーン


人々の笑顔が一瞬で消える。


兵士たちが慌ただしく走り出す。


「海賊だ」


「黒狼海賊団が来た」


港を見れば、黒い帆を掲げた巨大な船団が海を埋め尽くしていた。


十隻。


二十隻。


三十隻。


その先頭には、今まで見たこともないほど巨大な戦艦。


砲門が一斉に開く。


轟音とともに砲弾が放たれた。


港が炎に包まれる。


人々は悲鳴を上げながら逃げ惑う。


少女は信長の袖を握る。


「お願い」


「町を助けて」


老人も深く頭を下げる。


「あなたは戦うために来たのではないでしょう」


「ですが」


「この町には守るべき人々がいます」


信長は静かに刀を抜く。


刃が朝日に輝く。


「国が違っても」


「言葉が違っても」


「泣く子どもの涙は同じだ」


「笑う人々の笑顔も同じだ」


信長はゆっくりと港へ向かって歩き始めた。


その背中には、戦国武将としての威厳があふれていた。


「織田信長」


「海の向こうでも」


「守るべき民がいるなら、この刀を振るおう」


異国の空に、一人の侍が立つ。


そして、新たな伝説が静かに幕を開けようとしていた。

海を越えれば、景色は変わります。


言葉も変わります。


食べ物も、建物も、人々の暮らしも変わります。


それでも変わらないものがあります。


家族を大切に思う心。


仲間を信じる心。


平和を願う心。


それは国境を越えても変わることのない、人としての想いです。


信長は戦国の武将として数々の戦場を駆け抜けてきました。


しかし、この海外で待つ試練は、刀だけでは乗り越えられません。


知恵。


勇気。


そして人を信じる心。


そのすべてが試される、新しい冒険が始まります。


海の向こうで信長は何を学び、何を守り、どんな仲間と出会うのでしょうか。


戦国の歴史は、ここからさらに大きく世界へ広がっていきます。


次なる物語も、ぜひ最後まで見届けてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ