表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もし信長が生きていたら ― 本能寺から始まるもう一つの天下 ―  作者: マーたん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/120

覚悟の一騎討ち ―

戦国の月の一言


私は月。


太陽のように眩しくはありません。


けれど、夜になれば静かに人々を照らし続けています。


戦国の世になってから、私は数え切れないほどの戦を見てきました。


桶狭間。


川中島。


姉川。


長篠。


そして名も残らない小さな戦まで。


勝者も敗者も、皆、私の光の下で眠りにつきました。


ある者は夢を抱き。


ある者は志を胸に。


ある者は家族の名を呼びながら。


今夜、私はまた一人の武将を照らしています。


その名は、織田信長。


傷つき、血を流し、それでも前へ進もうとする男です。


人は月を見上げると願い事をすると言います。


ならば、私も一つだけ願いましょう。


この戦いの先にあるものが、憎しみではなく希望でありますように。


剣ではなく笑顔が、この国を照らす時代が訪れますように。


その日まで私は変わらず夜空に浮かび、人々の歩みを静かに見守り続けます。


――戦国の月

第八十四章


覚悟の一騎討ち ― 信長、命を懸けた決戦 ―


長良川の空を覆う黒雲。


雷鳴は鳴り止まず、冷たい風が戦場を吹き抜ける。


敵味方の兵たちは互いに距離を取り、その場から動くことができなかった。


誰もが感じていた。


これから始まる戦いは、一人の武将同士の勝負ではない。


この戦いの勝敗が、すべての運命を左右するのだと。


巨大な黒甲冑の武将は、一歩、また一歩と信長へ近づく。


その足音だけで地面が震え、小石が跳ね上がる。


「織田信長。」


低く響く声が戦場を包む。


「お前は、多くの運命を変えてきた。」


「その罪を、ここで償え。」


信長は静かに刀を構えた。


傷口からは血が流れ続けている。


腕は重い。


足も思うように動かない。


それでも、その瞳だけは揺るがなかった。


「余は罪から逃げるつもりはない。」


「だが、人の未来まで奪わせる気もない。」


黒甲冑の武将は巨大な大剣を肩へ担ぎ、不敵に笑った。


「面白い。」


「ならば、その覚悟ごと叩き斬る!」


次の瞬間だった。


ドォォォォン!!


巨大な剣が振り下ろされる。


大地が裂け、土煙が空高く舞い上がる。


信長は紙一重でかわし、その勢いのまま懐へ飛び込む。


「はあああっ!」


鋭い一閃。


しかし、黒甲冑には傷一つ付かない。


「浅い。」


敵は片手で信長を弾き飛ばした。


「ぐっ!」


信長の身体は地面を転がり、大きな岩へ激突する。


兵たちが悲鳴を上げる。


「殿!」


「信長様!」


道三は駆け出そうとする。


しかし信長は片手を上げ、それを制した。


「来るな。」


「これは……余の戦だ。」


ゆっくりと立ち上がる。


足は震え、呼吸は荒い。


それでも刀は離さない。


黒甲冑の武将は笑う。


「その身体で、まだ立つか。」


「人とは愚かな生き物だ。」


信長は静かに答える。


「人は愚かだ。」


「だからこそ支え合う。」


「だからこそ、何度でも立ち上がれる。」


その言葉に、兵たちの目に再び光が宿る。


若い足軽が槍を握り締める。


「殿は、まだ戦っている。」


老兵も立ち上がる。


「わしらも終われん。」


義龍は刀を抜き直した。


「信長、お前一人にはさせん。」


道三も槍を握り締める。


「婿殿。」


「最後まで共におるぞ。」


だが信長は首を横へ振る。


「いいえ。」


「皆は、生きてください。」


「この国には、皆が必要です。」


兵たちは涙を流した。


そんな中、黒甲冑の武将は再び剣を構える。


「終わりだ。」


「織田信長。」


「貴様の時代は、ここで終わる。」


巨大な剣が、信長へ向かって振り下ろされる。


誰もが息を止めた。


その瞬間。


信長は静かに目を閉じた。


これまで出会った人々の顔が脳裏をよぎる。


帰蝶。


道三。


家臣たち。


民の笑顔。


そして、未来を夢見た子どもたち。


「まだ……終われぬ。」


信長は大きく目を開く。


その瞳には、燃えるような強い光が宿っていた。


「天下とは!」


「人が笑って生きる世のことだ!」


渾身の力で刀を振り上げる。


ガァァァン!!


刀と大剣が激しくぶつかり合い、まばゆい火花が夜空を照らした。


衝撃で周囲の兵たちは吹き飛ばされる。


長良川の水面が大きく波立ち、山々に轟音が響き渡る。


両者は一歩も引かない。


力と力。


信念と信念。


命と命。


すべてを懸けた一騎討ちが始まった。


その勝敗は、まだ誰にも分からなかった。


ただ一つ確かなことは――。


織田信長は最後の最後まで、未来を信じて戦い続けるということだった。

未来へ続く道の一言


私は道。


人が歩くために生まれた一本の道です。


戦国の時代、多くの武将が私の上を歩いていきました。


織田信長も。


豊臣秀吉も。


徳川家康も。


名もなき足軽たちも。


喜びに満ちた足取りもあれば、悲しみに沈んだ足取りもありました。


私は、そのすべてを受け止めながら、静かに未来へと続いています。


誰かが転んでも、また立ち上がれば、その先へ進むことができます。


誰かが迷っても、歩みを止めなければ、やがて新しい景色に出会えます。


信長が歩んでいる道も、決して平らではありません。


苦しみがあり、別れがあり、命を懸ける戦いがあります。


それでも彼は立ち止まりません。


その一歩一歩が、未来という新しい道を切り開いているからです。


どうか読者の皆様も、自分だけの道を大切に歩んでください。


時には遠回りをしても構いません。


歩き続ける限り、その先には必ず新しい未来があります。


私もまた、その未来へ続く道として、静かに皆様を待っています。


――未来へ続く道

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ