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もし信長が生きていたら ― 本能寺から始まるもう一つの天下 ―  作者: マーたん


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信長の一太刀

登場人物


織田信長おだ のぶなが

本能寺の変を生き延びた天下人。

黒鬼玄武との戦いで、過去の自分と向き合い、力だけではなく人の心で築く天下を示す。


織田信栄おだ のぶひで

信長と濃姫の嫡男。

父の背中を見ながら成長し、未来の天下を担う覚悟を強めている。


羽柴秀吉はしば ひでよし

織田家の重臣。

信長への変わらぬ忠義を示し、戦場でも仲間を支える。


徳川家康とくがわ いえやす

信長の盟友。

冷静な判断で戦況を見守り、平和な世を守るために力を尽くす。


弥助やすけ

信長の忠臣。

圧倒的な武力で主君を守り、最後まで信長と共に戦う。


濃姫のうひめ

信長の正室。

京から信長たちの勝利を願い、織田家を支える。


綾姫あやひめ

信長の側室。

戦の裏で人々を支え、平和な時代のために尽力する。


黒鬼玄武こっき げんぶ

黒き鬼衆を率いた武将。

「強き者だけが生き残る世界」を信じていたが、信長との戦いで新たな天下の形を知る。


黒き鬼衆くろきおにしゅう

黒鬼玄武に従っていた武装集団。

信長の言葉によって、破壊ではなく国を支える道を選び始める。


織田軍の兵たち

信長の理想を信じ、平和な天下を守るため戦った武士たち。

第三十三章 信長の一太刀


戦場に静寂が訪れた。


織田軍も、黒き鬼衆も、二人の戦いを見守っている。


織田信長と黒鬼玄武。


二人の刀と薙刀が、再び激しくぶつかり合った。


「なぜだ……!」


黒鬼玄武が叫ぶ。


「なぜ貴様は、まだ人を信じられる!」


信長は玄武の攻撃を受け流す。


「簡単なことだ。」


「ワシは、一人ではないと知ったからだ。」


玄武は力任せに薙刀を振るう。


しかし、信長はもう迷っていなかった。


相手の力を見る。


動きを読む。


そして、未来を守るために戦う。


「昔のワシなら、お前の考えを理解したかもしれぬ。」


「力こそ全てだと思っていた時代が、ワシにもあった。」


信長は一歩踏み込む。


「だが、今のワシは違う。」


「守る者がいる者の力は、恐怖より強い。」


黒鬼玄武の目が揺れる。


「くだらぬ……!」


「そんなものが、戦国を生き抜けるものか!」


信長は静かに刀を構える。


「ならば、見せてやろう。」


「新しい天下人の力を。」


その瞬間。


信長の一太刀が走った。


「天命の一閃!」


鋭い斬撃が玄武の薙刀を弾き飛ばす。


黒鬼玄武は膝をついた。


「……ありえぬ。」


「力では……私が上だったはず……。」


信長は刀を下ろす。


「力だけでは勝てぬ。」


「人を想う心が、最後に己を強くする。」


玄武は地面を見つめる。


「私は……間違っていたのか……。」


その時、黒き鬼衆の兵たちがざわめき始めた。


「頭領……。」


「もう戦う理由はないのでは……。」


彼らもまた、本当は戦を望んでいたわけではなかった。


ただ、居場所を失い、力にすがっていただけだった。


信長は兵たちへ告げる。


「お前たちに罪を償う機会を与える。」


「二度と民を苦しめぬと誓うなら、この国のために働け。」


兵たちは驚く。


「我らを……許すのですか?」


信長はうなずく。


「天下とは、敵を滅ぼすだけではない。」


「敵だった者も、未来を作る仲間に変えることだ。」


その言葉に、黒鬼玄武は静かに頭を下げた。


「……織田信長。」


「貴様は、私が知る信長とは違う。」


信長は空を見上げる。


「ワシも変わったのだ。」


戦場に朝日が差し込む。


長き戦いは終わった。


本能寺から始まったもう一つの天下。


その歴史に、新たな一ページが刻まれたのだった。

第三十三章をお読みいただき、ありがとうございました。


今回は、信長と黒鬼玄武の戦いに決着がつきました。


しかし、この戦いで本当に勝ったのは、ただ相手を倒した者ではありません。


憎しみや恐怖で支配するのではなく、過去の敵にも未来を選ぶ道を与えた信長。


本能寺で裏切りを経験し、一度は人を信じることを失いかけた男が、今では人を信じ、守る天下人へと変わりました。


黒鬼玄武は、かつての信長自身を映す存在でした。


力だけを求めた過去を乗り越えたことで、信長は本当の意味で新しい天下への一歩を踏み出します。


ですが、天下にはまだ多くの課題が残っています。


平和を守るためには、戦に勝つだけではなく、人々の心をつなげていく必要があります。


次章では、戦の後に待つ新たな時代の動きが始まります。


信長が作る「もう一つの天下」は、どこへ向かうのか。


次回もぜひお楽しみに。

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