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ANGEL SWORDFISH-無気力37歳おっさん、ゲーム世界で美少女ヤクザ転生-  作者: 東山統星


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3/3

003 厄介事だらけ

「アネキ!! カチコミですかッ!?」


 部下のひとりが、たまたま事務所へ戻ってきたようで、糸に縛られて拳銃を落とすヒットマンに目を向ける。


「クソッ!!」

「……テメェ、ローニンナメてンのか?」


 部下はベルトの間からハンドガンを取り出し、躊躇なくヒットマンの頭に銃弾を放つ。微シャッ、と血しぶきが飛び散り、彼は死に至るのだった。


「大丈夫ですか? ラークさん」

「まぁね。絆創膏でも貼れば治るよ」


 頬に触れると、赤い血がビッチャリとついていた。僕は頭を傾げ、また煙たくて臭い事務所の中に戻っていく。後始末なんて、部下にやらせておけば良い。


「ラークさん、さっき銃声音が聞こえましたが」

「うん、なんてことないよ。絆創膏ある?」

「はい、どうぞ」

「どうも」


 僕はイシハラから渡された絆創膏を右頬に貼り、止血する。

 椅子に座り、僕はまたもや作戦を練ることにした。

 ただ、ボスを始末するという作戦は、ひとりでは到底できない。となれば……、


「イシハラ、ちょっと応談室へ来て」

「はい」


 やはり腹心には伝えておくべきだろう。彼は〝空間移動〟を使えるし、僕ことラークへの忠誠心も高い。ファンブックには、そう書かれていたから間違いない。


「どうしたんですか?」

「イシハラ、当代をどう思う?」

「タケダ親分ですか?」

「そー」

「正直に言うのなら、統率力が足りないと思います」

「だろうね」

「今の親分は世襲ですし、先代のオヤジさんほどのカリスマはないように感じますね」

「まだ若いからね~」

「で、なにが言いたいんですか?」

「仮に今のタケダ総長が死んだらさ、ローニンはもっと巨大化できると思わない?」

「……それはつまり」

「イシハラの考えてる通りだよ。ただ、他の子分にはまだ言わないでね。殺るなら一気に殺りたいし……求心力のない総長から離脱する連中も集めたいしさ」

「分かりました……。しかし、ラークさん。内部抗争なんて起こしたら、他の組織に食い散らかされますよ?」

「分かってるさ。だから、一気に仕掛けたいんだよ。とりあえず、反総長派の連中をリストアップしておいて。ソイツらにも子分がいるし、人数的に優位に立たないと、あのアリ一匹通さない本家は襲えないからね~」


 イシハラは、ゴクリと息を呑み込む。どこか力の抜けた口調の僕に思うことがあるのか、それとも内部抗争からのローニン壊滅を恐れているのか。

 僕は、イシハラの肩をポンと叩く。


「大丈夫。困難なことはあっても、不可能なことはない」

「……はい」


 僕とイシハラは応談室から出てくる。

 すると、事務所のソファーに誰かが腰掛けていた。着ているスーツや部下の服装を見る限り、ローニンの幹部級だろう。


「おぉ、ラーク。さっきカチコミされたらしいな」

「えぇ。ミヤタさん」


 ミヤタは、ラークよりも階級ザブトンの高い幹部である。そして、ろくでもないヤツだ。やることといえば、カネの無心か敵対組織を潰せと命令するか。一応同格の幹部きょいだいなのに、顎で使われるのは、原作のラークも不満に思っていた。


「でよ、頼み事があンだわ」

「なんですか?」


 ミヤタはタバコをくわえ、子分に火をつけさせる。


「ブルームーンの連中が、最近ウチのシマに出張ってやがる。あの三下どもをぶちのめしてくれねェか?」


 僕は目を細める。自分の組織でなんとかしろよ、と言いかけるも、ひとまずこらえた。


「分かりました。若いのを行かせます」

「いや、オメェが行け」

「なぜですか?」

「ブルームーンに、相当強ェのがいるみてェだからな。オメェほどの手慣れじゃないと、倒すのは無理だ」


 そこに、イシハラが割り込んでくる。


「オジキ、ウチのアネキをひとりで行かせるわけには行きません。おれも行きます」

「あぁ、好きにせぇ」

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