乗艦挨拶
――防護巡洋艦 アブローラ 乗艦口――
軍港寄港中とは、軍船は機密の塊なので、乗艦口は閉じている。
乗艦入口より、モニタごしに、乗船許可をお願いする事になる。
通信ボタンを押すと、半透明の女性軍人の姿が現れる。
3Dホログラムのモニタだ。
こちらの様子も、向こうに3Dで伝わっている。
「ようこそ、アブローラへ。
私は、カティア・ネメシス大佐である。
当艦の副官 兼 艦隊副指令を拝命している」
自分は、敬礼をしつつ、自分の名前を告げた。
「ありがとうございます。
この度、当艦の副官に任命されました。
フェリオ・レイン少尉であります」
「乗艦の前に、貴官に伝えておくべき事がある。
重要な事なので、常に心に銘じて行動するように……」
「イエス・サー」
「我が艦隊は、連邦の中でも、最大の戦果を上げている。
いずれの船も、就航はとても古い。
しかし、近代化改修で、最新鋭艦船を凌ぐ性能になっている」
そこまで言って、ひと呼吸おき……
「いわば、最高機密の塊である」
そして、また、ひと呼吸おき……
「この艦内で見聞きした事は……
如何なる些細な事でも他言する事は許されない。
これは、如何なる例外も、認めないので、肝に銘じる事」
「イエス・サー」
「もしも、貴官が、これに違反した場合は、
厳罰を受ける事になるので、覚悟するように……」
「イエス・サー」
「ところで、少尉。
貴官は副官に、任命されたと聞いている」
「はっ、本日付けで任命されました」
「本艦の副官は、私と、貴官の二名だ。
先任副官は自分で、自分の階級は大佐だ。
今後も、艦長の指示は、自分を通して、貴官に伝えられる。
自分からの指示は、艦長の指示だと思うように……」
「イエス・サー」
「また、艦長も、私も、人族ではないので、
貴官と、直接会話する事が、出来ない。
今後、貴官への指示は、すべてモニタごしとなる」
「イエス・サー」
「さて、当艦には、私と、艦長と、貴官だけが搭乗している。
当艦の運用には、人族の力なしでは、行えないものがある。
従って、貴官の当艦での主要任務は、
当艦の中で人族にしか出来ない事を全て処理してもらう事にある」
「イエス・サー」




