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詩全集4

春風が吹かない病室

作者: 那須茄子
掲載日:2026/04/02

消毒液の匂いに慣れてしまった手で

今日も君の指をそっと包む

窓の外では春が巡っているのに

僕らの時間だけ 

静かに止まったままだ


医師の言葉よりも 

君の微笑みのほうが

ずっと現実でずっと残酷で

それでも僕はその笑顔に今日も救われてしまう


また明日も会えるよねと

君がそう言うたびに

胸の奥で小さく崩れていくものがある

それでも僕は頷く

嘘でもいい

君が安心して眠れるなら



点滴の滴る音が 

ふたりの鼓動みたいで

途切れないようにと願いながら

君の髪を撫でる夜

涙は見せないと決めたのに

まぶたの裏で何度も溢れてしまう

なんどもなんども

奥歯から言葉にならない音が落ちる


愛している

その言葉だけは 

最後まで嘘にしたくない

たとえ明日が来なくても

たとえ世界が僕らを置いていっても

この手の温度だけは

永遠に変わらない

信じていたい


君が眠るたびに

少しずつ遠くへ

行ってしまう気がして

名前を呼ぶ声が震える

でも君は微笑む

まるで僕の悲しみまで抱きしめるよう

こんなにも苦しいのに

どうしてこんなにも愛しいんだろう


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