表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これなるは旅の一座にございます。煮ても焼いても食えません  作者: 春巧@金曜更新予定


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/45

第十五話の4 仮面の男と

 涼しげな笛の音色があたりに響き渡った。

 次の瞬間、エレーヌはきょとんとした顔をして立っていた。


「母さん、どうしたんだ、母さん!」

 クロードが大声をはりあげる。

 エレーヌはそちらを見た。


「誰だいこの男どもは」

「ごろつきですよ。あなたの家を襲撃しようとしていました。それをこのジャン君が教えてくれて」

 仮面の男が説明する。


 エレーヌはジャンを見て「なんていい子なんだい」と抱きしめた。

「さすがは私の息子だね。さ、今日も仕事で疲れただろう。暖かい食事があるよ」

「ありがとう、母さん」

 二人は連れ立ってエレーヌの家に入っていった。


「ど、どうなってんだよ…」

 クロードがぽかんと口を開けた。

「どうやらキミ、見捨てられたようですね。本当に愛想をつかされてなければこんなことにはなってないんですが」

 すっとぼけた仮面の男の口調にクロードは「ふざけるな!」と声を上げた。


「ご近所さんの迷惑になるから静かにしてくださいね」

 しい、と仮面の男が人差し指を口にあててみせた。

 そう言いながらも不思議と、周辺の家では明かりのつく様子はなかった。


「お、俺らを憲兵に突き出そうってのか」

「無駄だぞ。何もしてないからな」

 ごろつきどもはこういったことには慣れているのか余裕の表情であった。


「…お前たちからは血の匂いがする。今まで多くの命を奪ってきたな」

 ごろつきの一人が、それがなんだというように、べえと舌を出した。

 仮面の男はもう一度横笛を吹いた。

 4人の男はたちまち小さな木の人形となり、地面に転がった。

 それを拾い上げ、木札をかざして兵をひっこめると仮面の男は歩き出した。

「最近人手が足りなかったですからね。重畳重畳」


 翌日からショーが盛大に開催され、押し寄せた人たちは大いにそれを楽しんだ。団員の中にクロードがいたが、街の人間で誰も、彼の存在を知る者はなかった。


「はい、チケットね!」

聞き覚えのある声に仮面の男は振り返った。

 エレーヌとジャンだった。


 ジャンは嬉しそうに「母さん、早く入ろう」と声をかけている。

 以前とはうってかわって上質な、やぶれたところのない服を身に着けていた。

 スキップしながら歩きだした拍子に、ナナメにかけていたカバンからハンカチが滑り落ちた。


「もし、落ちましたよ」

 仮面の男はそれを拾い、ジャンに差し出した。

「まあすみません、うちの子が」

「おじさんありがとな!」

「団長です。…ここの」

「団長さん、ありがと」

「失礼します」

 頭をさげて二人はテントの中に入っていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ