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マダムリーズの帝都レフィーユコレクション  作者: 白百合三咲
男装の令嬢
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花街での騒動

 鮎子は春子の使用人が運転する車でお蘭のいる女郎屋へと向かっていた。春子の話によるとお蘭が売られた女郎屋は品川の遊郭にあるという。売られた少女は一度遊郭の入り口である大門をくぐると借金を返すか身請け先が決まるまで出られないのだ。

車は大門の前で止まる。

「じゃあ、行ってくる。」

「1人で行かれるの?」

「ああ、春子さんはここにいては危ない。だから先に帰っていておくれ。僕は必ずお蘭を連れて戻る。」


遊郭の夜は賑わっていた。どこの店も上がりがつき、遊女達が張り店に出て男達を誘っている。

鮎子は張り店に出てる遊女達の中からお蘭の姿を探す。

「兄さん、遊んでかないか?」

楼主が男装の鮎子に声をかける。

「いえ、人を探してるので。」

「贔屓の娘でもいるのか?」

「この娘何だか知らないか?」

鮎子はお蘭の写真と撮った写真を見せる。

「この白エプロンに三つ編みの娘。お蘭というのだが」

楼主はお蘭は昨日売られてきたという。葵楼という遊郭の中で最も客足の多い店にいて、まだ客は取ってはいないが、禿として姉遊女に付いてこれから仕事を覚えていくという。

鮎子は楼主から葵楼の場所を聞き出すとお礼を言って足を急がせた。



一方その頃葵楼ではお蘭は着物を着て髪を結い、姉遊女の前に正座していた。

「本日よりお世話になります。お蘭です。」

お蘭は禿として姉遊女に付くことになった。

「あちきは月城。宜しく。何も緊張しなくていいんだよ。あんたはまだ客はとらないし。何もされないよ。さあ、支度だ。手伝っておくれ。」

お蘭は先輩の禿に着付けの手順を教わりながら月城の着物を着付ける。

 店があくとお客が訪れ始める。月城のお客は銀行の上役だ。月城を贔屓にしている。

お蘭は月城に呼ばれる。

「旦那、今日から新しく入った禿です。来年には新造になりますので今後とも贔屓してやって下さい。」

「お蘭と申します。宜しくお願い致します。」

お蘭が挨拶する。

客の男はお蘭に近づき、肩を強く抱き、顔を近づける。

「なかなかの器量だ。今から相手してやる。」

「やめて下さい!!」

お蘭は客の手を振り払う。 

「旦那、その子はまだ下積みで客の相手はまだできないんです。」

月城がとめにはいる。月城が禿の1人に目配せをして楼主を呼びに行かせる。

「こっちは客だ!!金なら払う!!」

客の男は聞く耳を持たない。

「こっちに来い!!」

客の男がお蘭を寝室に連れていこうとする。

その時座敷の襖が勢いよく明けられる。楼主と女将を呼びに行った禿が戻ってきた。そしてもう1人。スーツ姿の紳士が。鮎子である。

「やめないか?彼女嫌がってるだろう。」

「お前何するんだ?」

鮎子は持ってきた札束の袋を男に投げつける。

「金さえ払えば何をしてもいいのだろう?それ全部やるからお蘭から手を引け。」

「ふざけるな!!人の女横取りする気か!!」

男が鮎子に殴る。突き飛ばされる鮎子。再び男が鮎子に殴りかかろうとしたとき、楼主が男を取り押さえる。

「お客様、これ以上うちの見世に危害を及ぼすならお引き取り頂きますよ。彼女達はうちの大事な商品ですので。」

男は荷物を纏めると足早に帰っていく。




鮎子は見世の応接間で手当てを受ける。

「お嬢様。」

お蘭が話しかける。

「お蘭、今はその呼び方はやめてくれ。」

「お嬢様?!!」

「あんた女なのかい?」

月城や女将はその呼び名を聞いて驚く。 鮎子は自分は華族令嬢で父が投資に失敗してきてその借金返済のためにお蘭が売られてたこと、男装して買い戻そうとしたことを話す。

「女将さん、こちらがそのお金です。」

鮎子は先ほど投げつけた封筒を女将に差し出す。

「このお金でお蘭を自由にして頂けませんか?借金は僕が働いて返します。」

「男としてか?女としてか?」

「女としてです。」

鮎子が答える。

「度胸がいいね。だけどここの仕事がどういう物か分かってるのか?」

「はい。」

その時禿が部屋に入ってくる。

「失礼致します!!女将さん、お話し中のとこ失礼致します。外に警察が来ております。」

長かった。この回難産だった。


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