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マダムリーズの帝都レフィーユコレクション  作者: 白百合三咲
男装の令嬢
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男装の令嬢

リーズは夕食が終わると春子から頼まれていたドレスの仕上げにとりかかる。

「マダム、何かお手伝いできることはありますか?」

「ありがとうサリー、でもドレスの型はできているわ。だ後は刺繍を入れるだけだから上がっていいわ。」

サリーは失礼致しますというと部屋に戻っていった。

桃色のプリンセスラインのドレスに裾は白のフリルでできている。金色の刺繍をいれていく薔薇の模様になるように。

その時店のドアを激しく叩くドアの音を聞いた。

「ごめんください!!」

時計を見ると9時を過ぎている。

「一体誰かしら?こんな時間に。」

ドアを開けると着物姿の令嬢が立っていた。先日春子と一緒に店を訪れた鮎子であった。

リーズは鮎子を店にあげる。

「どうなさったの?貴女のようなお嬢さんが出歩く時間じゃありませんわよ。」

「はい、夜遅くに突然の訪問大変失礼とは存じております。ですが、一刻の猶予もない状態です。どうか私に服を、男物の洋服を売って頂けませんでしょうか?」

 リーズは状況が理解できなかった。だけど令嬢が1人夜遅くに来て男物の洋服がほしい。何かあることだけは分かった。

「分かったわ。何か事情がありそうね。今夜はもう遅いからここに泊まって明日話を聞きますわ。」



 翌日リーズとサリーは鮎子をリビングに招いた。鮎子は2人にこれまでのことを話した。両親が借金の返済のために侍女のお蘭を女郎屋に売ったこと、春子とオペラを観に行ったことが知りれてひどく叱られたこと。そしてお蘭を助けるために家出してきたこと。

「マダムリーズ、お願いします。力をかしてください。」

「力をかすのは構わないわ、でも鮎子さんどうするおつもりなの?」

鮎子は男装してお蘭が売られた女郎屋に客として行き、お蘭を買い戻してに行くという。

お蘭はまだ14才と客を取れる年齢ではない。家を出るときにこっそり持ってきた手紙に包んであった大金でまだ間に合うと判断したのだ。

「分かりましたわ。鮎子様。サリー、今日の夜までに鮎子様の寸法に合うスーツを新調するわよ。」

「はい、マダム。」


 完全したのは午後15時くらいだった。

鮎子は試着が終わると姿見の前に案内される。白いブラウスに上はグレイのジャケットを羽織り下も同じくグレイのズボンを履く。髪は一つに縛っている。

細身の鮎子にズボンはぴったりであった。

「ごきげんようマダム。」

ちょうどそこに来客があった。

「ごきげんよう春子様」

来客は春子だ。春子は男装の鮎子に目をやる。

「鮎子さん?!どうなさったのその格好?それに学校にも来てないから私心配していてよ。」 

リーズは事の成り行きを話す。

「まあ、そんなことがあったのね。」

「マダム、鋏を貸して頂けますか?」

リーズは鮎子に鋏を手渡す。すると姿見の前に立ち長い髪を切り始める。

リーズもサリーも春子もその光景に驚きを隠しきれなかった。

「ちょっと鮎子さん何なさってるの?せっかく綺麗に伸ばしてるのだから勿体ないわ。」 

春子が止めるのも聞かず髪は床に落ちていく。

「春子さん、僕にはこの長い髪は必要ないんだ。だって女であるとお蘭を助けられないだろう。あの娘はきっと泣きながら僕の助けを待っていることだ。」

お蘭の置き手紙を春子に見せる。

「鮎子さん、どこの女郎屋か分かってらっしゃるの?」

「分からない。ただ公爵家がやっていると聞いたから都内の遊郭も片っ端からあたるつもりだ。」

「公爵家?」

「ああ、父に投資の話を持ちかけたみたいなんだ。」

投資?公爵家?春子は何か知っているようだった。

「さあ、鮎子さん行きましょう。」

「行くってどこへだ?」

「勿論お蘭さんのところよ。急ぎましょう。私心当たりがあるわ。」

鮎子は春子に手をひかれるようにして店を後にした。

やっと冒頭の部分までたどり着きました。

男装の麗人ではなく「令嬢」にしたのは、日本で初めて男装の麗人と呼ばれたのは諸説ありますが東洋のマタハリこと川島芳子様か松竹歌劇団のターキーこと水ノ江瀧子様。

こちらの作品は自制が大正5年とお二人がまだ表舞台に姿を現す前だったため「令嬢」とさせていただきました。

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