表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/30

最終話:異世界への入り口(gate to parallel universe)

 VRゲーム禁止法が施行され、ハードの無料回収が始まった。回収期間以降、所持していると判明すれば、懲役刑か罰金刑が科せられる。勿論、プレイすれば更に重い罪となる。

 ハードの回収は、オフラインのソフト対策である。


 不思議な事に、ゲーム内に死者が存在しているのは『ゲート』だけだった。

 その所為で、『ゲート』の制作者が不謹慎にも犠牲者のアバターにAIを搭載したのではないか等とマスコミに叩かれた。

 それを真に受けたのか一部の遺族が告訴したが、『ゲート』を運営する会社の所在地は不明だった。知っている筈の人々は思い出せず、メール等に記載されていた筈のそれは消えていた。SS(スクリーンショット)等に写っていた筈のものも全て。

 それによって悪質と判断された『ゲート』を運営していた会社の社長等は、正体不明のまま指名手配となった。懸賞金もかけられたが、永遠に見付からないだろうと言うのが大勢の意見だ。


-------------------------------------------------


<それでは、皆さん。用意は良いですか?>


 私達は、神を名乗る管理AIによって、Lvがカンストしなければ到着出来ない門の前へと移動させられていた。

「移動させてから聞くなよ」

 誰かが突っ込む。

 私は辺りを見渡して、『白雪姫と7人の小人』のメンバーが一人もいない事にホッとした。……まあ、別アカでログインしていた可能性も無い訳ではないけれど。

 逆に、ヒグマやシノブ・『猫好き友の会』のメンバーは全員居る。

 リアルの知り合いでは無いけれど、知り合いが亡くなったのは悲しい。……直ぐそこに居たとしても。


<この門は、【異世界への入り口】です>


 門がゆっくりと向こう側へ開いて行くと同時に、吸い込まれそうになる。


<向こうで新たな人生をどうぞ>


 とうとう吸引力に抵抗しきれなくなった私達は、開いた門の向こうの景色を隠す光の中へと吸い込まれた。


-------------------------------------------------


 あれから数ヶ月、私達は『ゲート』に良く似たリアルの世界で暮らしている。

 例えば、冒険者ギルドで受けられるクエストからは、報酬がスキル等の不自然な物が無くなったりしているが、ギルドエリアや【冒険者鞄】等のゲーム的な物は使えるままだ。しかも、【死】が無い。

 それを知ったこの世界の人間達は、私達を【アバター(神の化身)】様と呼び始めた。

 皆でそう呼ばれる事について話し合ったが、化け物と忌避されるよりは良いんじゃないかと放置する事にした。



 【市場】へは、ギルドエリアから行けるようになっていた。

「梅干し食べたい!」

 ある日露店を展開すると、唐突にそんな事を叫んだ人がいたので吃驚した。

「何だよ、突然……?」

 彼女の隣に居た男が尋ねる。

「最近食べて無いから、食べたくなった~! 食材屋にも無いし(梅自体が)、食べたいー!」

「どうぞ」

 私は彼女に声をかけ、露店――とはもう呼べない8階建てのビルの1階――に招き入れた。

「梅干し入りおにぎり?!」

「はい。梅酒もありますよ」

「じゃあ、俺、それ」

 女性におにぎりとサービスで味噌汁を、連れの男性に梅酒とサービスでナッツを出した。

「済みませーん。醤油と味噌あります? 食材屋に無くて」

 ゲームの方には有ったのだが。

「有りますよ」

「良かった~」

 恐らく、スキルを使わないで料理する人だろう。【調理】の上級で作れるのだから。

「やっぱり、日本人なら米だよな」

 並べてある米(袋入り)を購入したシノブが呟く。

 米も食材屋から消えていた。……私達が行けない他の大陸には在るのかもしれないが。

「ところでさ、こういう異文化広めるのってお約束だよな? どうする?」

 梅酒を飲み終えた男性が、此方を見て尋ねた。

「はんたーい。何かメリットある?」

「在庫が捌けるかな」

 私はそう答えた。

「私達が買えなくなったら困るんですけど」

「ギルドエリアで採取出来るし、大丈夫」

「なら、良いか」

「いや、でも、梅干しは売れるか?」

 シノブは懐疑的な様子だ。

「判らないけど、私達、神の化身と思われているし、売れる可能性は高いと思う」

「あー……そうだったな」



 この世界に無い物を売り出すと、想像通りの理由で売れた。一時的に強くなる等の効果がある事が解ると、更に売れた。

「そう言えば、『結婚』で生まれた子供はどうなんだ?」

 クルマが、此方の世界の親子連れを見てそう呟いた。

「死ぬかどうかですか?」

「ああ」

「それは死んでみないと判らないかと」

「それ以前に、怪我の治り方で判るだろう? 私達はHP自然回復に伴い直ぐ治るが、現実に生きている人間は違うんだから」

 サイズの言葉に納得する。

「それもそうですね。で、クルマ、『結婚』したい人でも居るんですか?」

「いや。疑問に思っただけだ」

 今はそうでも、何時かクルマやサイズも結婚するんだろうな。

 でも、私は女性を好きになる気は無いからなぁ。身体は男性でも、中身女だし。だからと言って、身体が女性で、中身が男なら良いってものでもないしね。


-------------------------------------------------


某掲示板


【何処の】VRゲーム禁止法案成立を嘆くスレ49【陰謀?】


195:名無しさん

 でも、××の奴等ってうちで起きた災害を祝ってたじゃん?


196:名無しさん

 だからって同レベルに落ちるなよ


197:名無しさん

 【速報】××国でも××発生


 黒幕候補その2まで


198:名無しさん

 もう一丁!

 【速報】××国のVRMMOがデスゲーム化


199:名無しさん

 世界最大規模だってよ


200:名無しさん

 今後はVRゲーが無い国の時代か


201:名無しさん

 大穴××大喜びだな


~(中略)~


997:名無しさん

 ところで これ(画像)を見てくれ こいつをどう思う?


998:名無しさん

 すごく……大きい(蛇)です……


999:名無しさん

 コラだろ? 『ダスク』のヒュドラの


1000:名無しさん

 1000なら魔物の大侵攻


1001:このスレッドは1000を超えたので、もう書けません。

ご覧頂きありがとうございました。

最終話は、ジャイアント・キャット族が王都侵攻済みの世界の予定でしたが、止めました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ