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Vtuberの姉が配信切り忘れた結果、失恋弟としてトレンド入りした僕もVtuberになることになった  作者: 夜空 叶ト


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8/21

第8話 遭遇! 元カノ

「理沙、奇遇だな。こんなところで会うなんて」


「それな。てか、隣にいんの誰? もしかして新しい彼女とか?」


 目の前に現れたのは、僕がVtuberを始めるキッカケとなった人。

 つまりは元カノだった。

 金色に染めた短い髪に自信に溢れている赤い瞳。

 確か、カラコンを入れているとか言っていた気がする。


「……浩人、この人誰?」


 隣にいた聖奈は少しだけ体をこわばらせた様子で僕に耳打ちをしてくる。

 聖奈は理沙みたいな派手な人間は苦手だった気がする。

 そんなこともあってか少し怯えているのか僕の背中側の服の裾を掴んでいる。

 普段ならそんな聖奈の様子に萌える自信があるんだが、今の僕には残念ながらそんな余裕はなかった。


「僕の元カノだよ。秋田理沙」


「ああ、噂の元カノ」


 聖奈は妙に納得したみたいでコクコクと頷いていた。

 そんな様子を可愛いと思うけど、今は目の前の人物に対応をしないといけない。

 あんなに酷い振られ方をしたんだ。

 思うことが無いわけじゃないけど、それ事情に聖奈を巻き込むのは絶対に避けないといけない。


「とりあえず、聖奈は着替えときな。僕はこの人とちょっと話をするから」


「う、うん」


 いつもと様子が違う僕に困惑をしているようだけど、聖奈は何も言わずに試着室のカーテンを閉めてくれる。


「私と別れてすぐに他の女と付き合うなんて結構やるじゃん」


「変な言い方しないで。聖奈とはそんなんじゃない」


 ニヤニヤしながら試着室の方を見つめる理沙に僕は不思議と不快感を感じた。

 どうしてなのか?

 理由は理沙の目が人を見下しているかのような目に見えたからだろうか。

 理沙はそんなことを考えていないのかもしれない。

 それでも、僕を振ったときのフレーズと今までの理沙の性格を考えれば自然とそう邪推してしまう。


「へぇ、そうなんだ。まあ、そうだよね。あんな地味な女浩人は好きじゃないもんね?」


「あ?」


 確実に聖奈に向けられた侮蔑の言葉。

 やっぱり、さっきの視線は聖奈を見下すものだった。

 なんで僕はこんなひとと付き合っていたのだろう。

 昔の自分の行動に疑問を禁じ得ないが、今はそんなことを考えている場合じゃない。


「だって、そうでしょ? 曲がりなりにも私と付き合ってたんだからあんな地味な女で満足できるわけないでしょ。なんで一緒にいるの?」


「……」


「適当な女で満足しちゃってさぁ。ほんと可哀そう。ごめんね捨てちゃって。あははは」


 久しぶりに本気で不快だ。

 最近こんな感情を抱くことは無かった。

 ここまで純粋に腹が立つのは本当に久しぶりで新鮮な感覚だ。


「お前……いい加減にしろよ」


 一瞬自分の声と認識できないくらいに低い声が出た。

 考えてみれば、ここまで本気で誰かに対して怒りを向けることが無かったから自分でも知らなかった一面だ。


「は? 何急に。陰キャが調子乗んなよ」


「僕のことをどれだけ悪く言おうが思おうが正直心底どうでもいい。だが、聖奈への侮辱だけは取り消してくれ」


「なんで私がお前ごときの指図をいけないわけ?」


「そうか、なら僕の目の前から消え失せてくれ。お前みたいなやつの顔見てると吐き気がするし、声を聴いてると虫唾が走る」


 僕は確かにぱっとしない冴えない男だと思う。

 それを否定することは僕には出来ないし、否定するつもりも全くない。

 今この場で僕の事なんかどうでもいい。

 でも、聖奈の悪口を言われるのだけは耐えられない。

 こんな奴に聖奈が悪く言われる筋合いはないのだ。


「は、はぁ? それが仮にも半年も付き合った恋人にいう事なの?」


「お前には言われたくない。あんなひどい振り方をしておいて恋人ヅラとか舐めてるのか?」


 あんなにふざけた振り方をしておいて恋人だった過去を持ち出してくるなんてどれだけ面の皮が厚いんだ。

 正直意味が分からな過ぎて笑えてしまうほどだ。


「お、お前? 付き合ってた時はそんな呼び方しなかったのに。それがあんたの本性だったわけ?」


「僕も人のことをお前なんて呼んだのは初めてかもしれない。これがもしかしたら本性なのかもしれないな」


「そ、そんなにその地味女が好きなわけ?」


「取り消すか失せるか選べ。今のお前に手加減はしない」


 頭に血が上りすぎて物騒な発言が口から飛び出してしまう。

 こんな奴と聖奈が関わったら聖奈が不快な思いをしてしまう。

 試着室から出てくるまでにこいつを追い払いたい。


「な、なんなんだよお前! 言われなくてももう行くし!」


 理沙は焦ったように小走りで店を出て行った。

 元カノという事もあって多少情が残っているかと思ったけど、全然そんなことは無かった。

 むしろ、なんで僕がいままであんな奴と付き合っていたのか不思議なくらいだ。

 初めてできた彼女というのに浮かれてたのかもしれないね。


「ひ、浩人?」


「ん? どうかした?」


「いや、さっき声が怖かったから。浩人だよね?」


 カーテンを開けた聖奈は恐る恐ると言った様子で僕のことを見つめてくる。

 聖奈の前であんな声を出したことが無かったから少し怖がらせてしまったかもしれない。


「もちろん。僕は僕だよ。聖奈の幼馴染の天雲浩人だよ」


 出来る限り明るい声で笑顔を作りながらそう返す。

 聖奈と話すと苛立っていた心が静まっていく。

 流石にさっきのは熱くなりすぎたかな。

 でも、聖奈をバカにされたら黙ってられなかった。


「そ、そうだよね。変な事聞いてごめん」


「謝られるような事じゃないよ。それよりもごめんね。怖がらせてさ」


「ううん。でも、良かったの? 元カノさんなんでしょ?」


「いいよ。聖奈をバカにするような奴と付き合ってた僕がおかしかった」


 聖奈が地味なわけない。

 こんなにも可愛いんだからさ。


「ふ~ん、浩人って私の事大切に思ってくれてるんだ」


「当たり前だろ。大切な幼馴染だし」


 長い時間ずっと近くにいた子を大切に思わない方がおかしい。

 いつも助けられてるし、感謝してるんだ。

 そんな子を罵倒したり見下す奴は許せない。


「そ、そっか。それよりも浩人ってあんなふうに怒るんだね」


「僕もびっくりしてる。僕自身、あそこまでイライラするとは思ってなかったから」


「だね。私もちょっとびっくりした。でもさ、ちょっとカッコよかったよ。私のために怒ってくれてありがとね」


 聖奈が僕の左手をぎゅっと握ってくる。

 昔から聖奈は僕に感謝するときや不安なときは手を握ってくる癖があった。

 どれだけ歳をとってもそう言う癖は抜けないみたいでなんだか安心する。


「あれくらい当たり前だよ。それよりも僕のせいで不快な思いをさせてごめんね」


「ううん、あれは浩人のせいじゃないでしょ。気にしないで」


 ニカッと笑いながらそう言ってくれる聖奈の頭を猛烈に撫でたくなったけど、流石に怒られるような気がしたからやめておいた。


「ありがと」


「じゃあ、気を取り直して買い物を続けよう!」


「了解」


 こんな感じでハプニングはあったけど、久しぶりの聖奈との買い物は楽しかった。

 聖奈は試着していた服を買っていて、今度からあの服装を見れると思うと少し嬉しかった。

 液タブは見に行ったけど、良い物が無かったようで買っていなかった。


「聖奈と遊んで癒されたし、明日の配信がんばろ!」


 やる気を貰った僕は明日の配信の内容を考えながらパソコンと向き合うのだった。



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