第9話 二度目の配信と衝撃の光景
翌日、予定通り配信をした。
内容は初配信振り返り配信と雑談だ。
他にも、コメントで質問された事に答えていくと言った内容の配信だった。
「初配信な~このり姉さんみたいにもっとうまくやりたかったんだけど、流石にそううまくはいかなかったな! でも、これからも配信を頑張って少しでも早くこのり姉さんに追いつけるようにするから応援してくれよな」
(ヒロくんってめちゃくちゃお姉ちゃんのこと好きだね)
(これはこのりちゃんがメロメロになる理由もわかる)
(見守りたくなる感じだよね)
コメント欄ではそのようなコメントが流れまくっている。
僕ってそんなに庇護欲を駆り立てられるような配信してるのか?
「そう言えば、俺の元カノに少し前に会ってさ。なんか散々酷いこと言われたぜ」
(なんでそんな人と付き合ってたの?)
(ヒロくんは悪女が好きなのか……)
(私なんてどうですか?)
昨日、理沙と会ったことを思い出して聖奈の情報は隠して配信で雑談内容で話すことにした。
コメント欄でも結構悪女認定されていて、特になんで付き合ってしまったのかという質問は昨日僕が自分自身に抱いたものと同じだった。
「なんで付き合ったんですか? か。ほら、アレだろ。恋は盲目って言うことわざがあるだろ? 俺の場合は盲目を通り越して失明してたってだけだろ」
自虐気味にそうコメントを残す。
これは自分でも思っていることだ。
初めて告白されて、初めてできた彼女という存在に浮かれていたって言うのもあるのかもしれない。
それをひっくるめて僕は失明していた。
昨日の聖奈に対する態度でよくわかった。
(失明は草)
(ヒロくんも意外と恋愛未経験なの?)
「未経験っていうか、この前振られた人が人生で初めての彼女だからな。経験で言ったら全くないな」
理沙が本当に初めての彼女だったわけだが、やっぱり付き合う人はちゃんと考えたほうがいいと思う。
じゃないと手痛いしっぺ返しを食らう羽目になる。
僕は次付き合うのなら心優しくていい人と付き合いたい。
「そういうわけでみんなも付き合う相手は考えたほうがいいぞ。適当に付き合うとえぐい振られ方をしてトラウマになったりするかもしれないからな」
トラウマにはならないかもしれないけど、それなりに心の傷を負うことになる。
僕の場合はすぐに莉乃姉さんや聖奈が一緒にいてくれたからすぐに切り替えられたわけだけどさ。
「そういうわけで今日の配信はここまで。高評価やチャンネル登録してくれたらすっごく嬉しいぞ! じゃあな。おつヒロ~」
前に決めた配信終了挨拶をして配信を終える。
しっかりと配信終了ボタンを押して、念のためスマホで動画配信サイトを開いて甘雲ヒロの配信が終わっていることを確認する。
「ふぅ~疲れた」
立ち上がって背伸びをする。
二時間ぐらい座って体勢を変えていなかったから体が伸びる感覚が気持ちいい。
やっと一息つける。
「ヒロく~んお疲れ様!」
「莉乃姉さんありがとう。どうだったかな?」
「すっごく良かったと思うよ? 自分の出来事を面白おかしく話してたし、ネガティブになりすぎない話し方で見てて面白かった。同接も一万人超えてたし」
「良かったぁ~実は結構不安だったんだよね」
前回の初配信は莉乃姉さんがつきっきりで教えてくれたけど、今回は自分で何を話すか考えたり。時間配分を考えたりで不安が多かった。
だからこそ、こうやって姉さんに褒めてもらえるのは純粋に嬉しい。
「本当に良かったよ! この調子で配信していけばかなり有名になれると思う。頑張って!」
パソコンの画面に映っている甘雲ヒロのチャンネル登録者は現時点で五万人。
二回目の配信でこれだけチャンネル登録者がいるのはすごい事だと聖奈が言っていた気がする。
それに、せっかくこんなに多くの人が応援してくれているんだから期待には応えたい。
「ありがと莉乃姉さん! じゃあ、僕は聖奈とこに行ってくるね!」
「うん。気を付けてね~」
今日の配信を聖奈は見てたかな?
いや、流石に見て無いか。
ああ見えて聖奈は超有名イラストレーターのユッキーだ。
僕なんかの配信見てるほど暇じゃないよな。
「聖奈? いないのか?」
インターホンを押しても反応がない。
もしかしたら寝てるのかもしれないな。
聖奈からは合鍵を貰っているからそれを使って扉をあける。
彼女の部屋からは明かりが漏れ出ており、もしかしたらイラストを描くのに夢中になっているのかと思って静かに扉をあけると、そこには衝撃の光景が広がっていた。
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