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夢幻戦隊ヨーカイジャー  作者: 天道暁


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37/37

episode:37 十字架と悪魔合体

この作品は天道暁によるオリジナルのスーパー戦隊作品です。現在放送されているスーパー戦隊シリーズを制作・放送している各団体とは一切関係ありません。


オープニングテーマ「your kind!」


https://ncode.syosetu.com/n7284ka/1/

デーモンジャー襲来から一夜明け、メガガッパーは世界各国の妖怪の長の中で特に関係を密にしている3体とリモート会議を行う。



中国の五行妖怪コウリュウ。

巨大な黄色いブラキオサウルスのような妖怪。

岩山を背景に明るく声を掛けてくる。


《よぉメガガッパー。ゲキリンダーの奴は元気でやってるか?》


〔おお。中国から引っ越してきたゲキリンダーも、今では日本の妖怪達と家族のような関係じゃ〕


《そうかそうか、それは何よりだ》


イギリスの森聖妖怪クイーン・エルフ。

植物の冠を被りビジネススーツを着た、耳の尖った美しい女王。

深緑の森を背景に神妙な面持ち。


《どうもこの度は……》


〔うむ。今日はそのことで集まってもらったんじゃ〕


アメリカの水神妖怪クタニド。

緑色のタコのような頭に慈悲深さ溢れる黄金色の目が光る。

リモートワークに最適化された部屋でオフィスチェアに腰かけている。


《Hey! MegaGappa! Let's do a barbecue together next time! I'll bring the best meat, so you bring the best plate — 'cause you're a Kappa, after all!》


〔翻訳妖術を使い忘れとるがアメリカンジョークらしきことを言っとることはわかった〕


河童ヶ沼の底のモニターに、メガガッパーと3体の姿が4分割画面で映る。


〔さて、皆の耳にも入っておることじゃろうが昨日、ドラキュラを始めとする人類排斥派西洋妖怪6体が日本の街を襲撃し、大変な被害を与えた〕


画面の中のコウリュウが両足を持ち上げ地面を打つ。


《クイーン・エルフ!! どうなっとる!!》


クイーン・エルフは深く瞬きをして真っ直ぐな視線をカメラに向ける。


《イギリスではドラキュラに伯爵の地位を与えることで、過激思想を行動に繋げないよう制御する方針をとってきました。それがまさか、このような事態に至るとは……》


《あの傲慢な吸血妖怪を伯爵などにしてやるから、人間達に多大な被害を与えることになってしまった! 失われた命も数知れない!》


《全ては私の不徳の致すところ……》


《これは重大な責任問題だぞ!!》


《まあ待てコウリュウ》


クタニドの落ち着いた声が一同の注目を集める。


《過激思想を持つ妖怪は、どの国にもいる。人類保護を良しとしない妖怪も。そうだろう?》


〔うむ。日本にも、嘗て人類保護に意義を唱えテロを起こしたガシャドクロや、不幸なすれ違いをきっかけに人間を恨んでしまったヌラリヒョンのような者がいる〕


《中国の妖怪も、皆が等しく人間との共存を望んでいるわけではないだろう?》


コウリュウの怒りの声が止まる。


《どこの妖怪も、何がきっかけで、今回のようなことを起こしてしまうかわからない。故に我々も、明日は我が身と思い、不測の事態に備えなければならん。そう思わんかコウリュウ?》


モニターのコウリュウが完全に停止している。


《コウリュウ?》


《フリーズ……?》


〔あそこの回線はまた調子が悪いのか〕


クイーン・エルフが息を整え、より一層真っ直ぐな視線をカメラに向ける。


《とにかく、事態の収束に向けてぜ……全面的に……》


画面の両端から現れた2頭の鹿がクイーン・エルフの顔を舐め回す。


《やめてくすぐったいあははははははははは!》


クイーン・エルフは笑い転げてフレームアウト。


メガガッパーとクタニドが茫然としていると、モニターの中のクタニドがいる部屋の扉が開く。


《パパー! パパー!》


クタニドをそのまま小さくしたような妖怪が入ってきた。


《あ、こら、パパ今日はお仕事だから入ってきちゃだめだって……》


《パパー! 遊ぼー!》


《じゃあ後で遊ぼうな》


フリーズしたコウリュウ、フレームアウトして笑い声だけが聞こえるクイーン・エルフ、そして……


《パパ、サッカーやろー!》


《サッカーかぁ……パパ今お腰が痛いから……》


〔えーっと…………〕




「夢幻戦隊ヨーカイジャー」


episode:37 「十字架と悪魔合体」




ヨーカイジャー秘密基地・中央司令室。


智和が大型モニターを操作し、妖怪諜報部が入手した情報をヨーカイジャーメンバーに見せる。


「悪魔戦隊デーモンジャーと名乗っていた連中の資料だ」


モニターに彰の写真が映る。


「この男はデーモンレッド・古森彰。ボクシング界期待の新星と言われていたが、公式記録によれば不正を働いたことで公式試合への出場資格を剥奪されている」


拓実は戦闘中に受けたパンチの速さと威力を思い出した。


「ボクシング……どうりであいつのパンチ……」


次に学の写真が画面に映る。


「この男はデーモングリーン・捻木学。大学院で、何やら怪しい研究をしていたとの噂だが、公式記録には何も残っていない」


次に雫の写真が映る。


「この少女はデーモンピンク・美山雫。俺達が会った時は髪がピンクだったが、この写真では黒髪で、だいぶ印象が違うな。結月と同い年の高校生だが、もう1年ほど学校に来ていないらしい」


拓実は顎に手を当て、この写真を何やら意味ありげに見つめる。


次にウルフの写真が映る。


「この男はデーモンブルー・ウルフ大原。日本とフランスのハーフだ。フェンシングの大会で優勝経験がある」


「確かにこの者の剣捌き、素人とは思えなかったでござる」


次に衣歩の写真が映る。


「この女はデーモンイエロー・奈雲衣歩。バーテンダーをやっているらしい」


千影はデーモンイエローのマスクの奥から漂ってきた空気感を思い出した。


「衣歩……珍しい名前ね。なんか不思議な雰囲気の人だった……」


次に雅人の写真が映る。


「問題はこの男。デーモンシルバー・革木雅人。5年前から行方不明になっている」


「あー!」


結月が雅人の写真を指差して跳び跳ねる。


「この顔! この名前! なんか見覚えあると思ったら、いつも学校行くときに通る所に、『この人を探しています』っていうポスターが貼ってある!!」


「ああ、このポスターだろ?」


雅人の写真や似顔絵が載ったポスターの写真が映る。


「そう! これこれこれこれ!」


智和が首を捻る。


「5年前行方不明になった男が……どうしてああなったのか気になるな」


「なあ智和、あの雫って子の写真、もう一回見せてくれないか?」


「拓実、何か気になることでもあったのか?」


「ああ……」


智和がモニターを操作し、再び雫の写真が映る。


拓実はまた、顎に手を当てながら写真を見つめる。


「なあ、別の角度の写真とか無いか?」


雫の別の角度の写真が映る。


「そうだな……別の服装の写真とかあるか?」


雫の先程より薄着の写真が映る。


「この服装の……別の角度の写真……」


同じ服装の別の角度からの写真が映る。


「また別の角度の……」


同じ服装のまた別の角度からの写真が映る。


「あーやっぱ、1個前のやつ……」


1つ前の写真がまた映る。

拓実はそれをまた顎に手を当てながら見つめる。


拓実が雫の写真をこれほどまでに熱心に見る理由に、結月は別の服装の写真を見せろと言った辺りから気付いていた。


「見たいだけだよね!? いや、確かにこの子、かわいいよ? それに胸だって、大きいよ? 見たいのわかるよ? でも今そういう時間じゃないよね!? 見たいだけの人の時間じゃないよね!?」


「智和、この写真、プリントアウトとかできるか?」


「プリントアウトか。少し時間は掛かるが抱き枕カバーを作ることも出来……」


「何言ってんの!?」


「しかし奴らとパートナー妖怪の強さ、はっきり言って拙者達の上を行っておる」


「前に話したブラックバスみたいに、大陸に住んでいる生き物は島国の生き物より強い生命力を持つ傾向にある。だから西洋妖怪1体1体は、日本の妖怪より強いことが多い」


「おまけにボクシングとかフェンシングの経験者もいるのか……」


「私達に不利な条件が揃っちゃってるね」


「だが!」


智和が語気を強める。


「今、世界の妖怪社会の中で、日本の妖怪が最強じゃないかと言われ始めている」


「マジか!?」


「その最強の日本妖怪にオイラも入ってるんだよな?」


「もちろん。日本には、世界に誇れる日本の強さがある。それを次の戦いで、奴らに見せてやろう」



一方その頃、都内某所の雑居ビル。

その2階にある衣歩がバーテンダーを努めるバー。

店の奥の船の写真が貼ってある壁の前に、デーモンイエローと、雅人を除く4人のデーモンジャーが変身前の姿で立っている。


「おっさん確か、パートナーが故郷に子分を呼びに行くのに着いてったんだったな」


「ここでこのカードを使えばいいのね?」


デーモンイエローがデビルブレスにマジョローグの能力(スキル)カードを入れる。

するとデビルブレスから黄色い光が放たれ、ただの壁だったはずの箇所が扉のように開いた。


「あら、ほんとに開いた!」


「元々ここ扉だったんじゃねえか?」


「いや、ただの壁だし、ここは2階の端っこ」


「なのに扉の向こうには未知の世界が広がっている。実に興味深い……」


学がデーモンイエローの肩越しに扉の向こうの陰気臭い空間をまじまじと眺める。


「さ、入りましょ」


デーモンイエローを先頭に扉を潜っていく。

雫は彰のジャケットの背中を握ったまま歩く。


「何してんだ?」


「なんか出てきたときすぐ隠れられる体勢!」


「ほー。じゃあなんか出てきたら、素早くターンして盾にしてやる」


「はぁ? ウゼェ……」


そうこう言いながら入ってきた扉の向こう。

そこはどこかの次元のどこかの惑星に存在する悪魔帝国デモンダイム、その中心に存在する悪魔達の本拠地・サタンパレスの一室。


綺麗に磨かれた窓があるにも関わらず陰気臭い、人間から見れば異様に広く天井の高い部屋。

そこにはミラザウラーを除くデーモンジャーの5体のパートナー妖怪が揃っていた。


「お、なんか出てきた。オラ盾になれ」


「いいもーん! こいつら味方だしー!」


雫は彰の前に出て笑顔で胸を張る。


〔カトウセイブツドモ アマリ チョウシニ ノッテイルト イタイメミル ザマス!〕


黄色く光る糸で天井からぶら下がっていたマジョローグが音もなく降りてきて、巨大な顔に付いた宝石のような赤い目を雫に近付ける。


「あんたの目、すごいキレイ!」


〔アラ カトウセイブツニシテハ ヨクワカッテルザマス デモ ベツニ アテクシハ アータタチノ ミカタニナッタツモリハ ナイザマス〕


〔まあまあ、そう言わず仲良くやろうよ!〕


窓の縁を掴んでぶら下がっていたフランケンが軽く飛び降り、その衝撃で人間5人が倒れる。


〔お互い、人間社会をブッ壊したいって部分で利害が一致してるんだし〕


彰、雫、ウルフが立ち上がって抗議する。


「仲良くしたいならもっと優しく降りてきやがれ!」


「ウゼェなこの猿ゥ!」


「人権侵害に当たる行為だ!」


そんな中、学は倒れたまま楽しそうに床を擦っている。


「あの衝撃にびくともしない床、窓も。どんな材質でできてるんだろう?」


フランケンが腕をばたつかせながら学に近付く。


〔僕もそう思ってたんだよ! 僕の見たところ、この窓は普通のガラスじゃなくて……〕


「こいつらは仲良くやってけそうだな」


「妖怪と似た者同士でウケる」


一連のやりとりを静観していたデーモンイエローが変身解除。


「ここに来るには、あなたの能力(スキル)カードが必要なのね?」


〔マホウヲ ツカエル モノダケガ ココヘノ トビラヲ ヒラケルンザマス〕


マジョローグが金切り声のテレパシーで話した情報。


本来、地球とデモンダイムがある次元の間を移動するには、高度な魔法を使うか、悪魔が開発した次元移動装置を使わなければならない。


しかもどちらの方法もデビルギーを消費する。


アーリマンが衣歩のバーとサタンパレスのこの部屋を繋ぐゲートのような物を作り、マジョローグが魔法を使うか、デビルギーを染み込ませたマジョローグの能力(スキル)カードを使うことにより往き来することを可能とした。


悪魔だけが使える魔法をマジョローグが使えるのは、マジョローグの一族には大昔地球にやって来た悪魔の祖先の遺伝子が混じっているため。


〔今後、僕達と君達で秘密の話とかする時はここ使えってアーリマンが〕


「アーリマンってあの、鳥顔で男か女かよくわかんない奴だろ?」


〔うん。今日は地球に部下の仕事を見に行ってる〕


「ウケる。あいつ中間管理職ってやつなのかな?」


〔それと、ドラキュラの十字架苦手なの克服させとけって〕


「そういや赤コウモリ、ずっと黙ってやがると思ってたが……」


彰が腕組みをしながら見上げると、ドラキュラも腕組みをしながら見下ろす。


〔何であーる、その目は? デーモンジャーでなければ今すぐに全身の血を吸い付くしてやるところであーる〕


「は? 戦いの途中で悲鳴上げながら飛んでった奴が何威張ってやがんだ?」


〔誰にでも苦手な物くらいあるものであーる。何も恥ずかしいことなど無いのであーる〕


「にしても、なんで十字架なんか苦手なんだ?」


〔それは……〕


ドラキュラの一族の妖怪なら、幼少期に必ず一度はかかる病気がある。


その病気で死ぬようなことは滅多にないが、高熱が一週間ほど続き、かなり苦しむことになる。


そしてその病気にかかると、胸に大きな十字型の発疹が現れる。


その発疹は酷い痒みがある上に、恐ろしくグロテスクな見た目をしている。


〔あの形を見ると、その発疹を連想してしまってぎゃああああああああああああ!!!!!!〕


ドラキュラが部屋中の壁や天井にぶつかりながら飛び回る。


凄まじい振動にデーモンジャー達は揃って姿勢を低くする。


「あーもうわかったわかった! 何とかしてやる。十字架が苦手なままじゃ、人間界での戦いで不利だしな」


「人間界にはあんな形いっぱいあるもんねー」


ドラキュラの暴走が止まり、巨大西洋妖怪達の間にぴりついた空気が流れる。


デーモンジャーと同じく姿勢を低くしていたフランケンが立ち上がって頭を掻く。


〔あのさー、その『人間界』っていうのやめてもらえないかなー?〕


〔まるであの世界が人間どもの物みたいな言い種であーる〕


〔カズデイエバ ニンゲンヨリ コンチュウノホウガ オオイザマス〕


ヒト語を話さないピンクシーとワーウルフも、犬歯を剥き出して唸っている。


「わぁったよ、えーっと、地球って言えばいいか?」


〔わかればいいのであーる〕


「だから威張んな十字架恐怖症!」


〔恥ずかしいことなど無いのであーる〕


デーモンジャーと巨大西洋妖怪達はサタンパレスを出て、薄暗い空の下の乾いた荒野で十字架苦手克服作戦を開始する。



【lesson① ~彰の根性論~】


フランケンが廃材で制作した巨大な十字架。

それに向き合うボクシンググローブを装着したドラキュラ。


「苦手なんてモンは努力と根性でブッ飛ばせ!」


〔ドリョクトコンジョー? よくわからんがやってやるのであーる〕


ドラキュラは十字架に一歩近付く毎に腰が引けていき、へっぴり腰のまま「ちょん」と拳で十字架に触れただけで悲鳴を上げながら飛んでいった。


「ダメだな。次!」



【lesson② ~ウルフの騎士道~】


ドラキュラはワーウルフが大木を削って作ったフェンシングの剣を持ち、十字架に向き合う。


「直接殴るよりまず、武器を持って敵を討ち倒す感覚を覚える」


「なるほど、さっきより難易度が下がったな」


〔やってやるのであーる〕


ドラキュラはへっぴり腰のままフェンシングの構えに入り、そのまま数回十字架をつついただけで悲鳴を上げながら飛んでいった。


「へっぴり腰のリーチが伸びただけか」


「へっぴり腰のリーチって何だよ。次!」



【lesson③ ~雫のキラキラ☆デコデコ大作戦!~】


ピンクシーが地中から掘り出した宝石を十字架にちりばめ、十字架はピンクのキラキラで埋め尽くされたギャルのスマホケースのようにされた。


「可愛くしたげたからもう怖くないよー!」


しかしドラキュラはこの十字架を見た瞬間、全身に寒気が走り、叫びながら飛んでいった。


〔余計に発疹に見えるうううううううううううううううう!!!!!!!!〕


「あーデコりすぎちゃったかぁ。宝石全部もらってもいい?」


「好きにしろ。次!」



【lesson④ ~衣歩の催眠療法~】


マジョローグが魔法の糸にコイン状の魔力の塊をぶら下げた物を作り、ドラキュラの眼前に垂らす。


「催眠療法ってあるじゃない? あれ試してみましょ」


〔アータハ ダンダン ジュウジカガ スキニナール ジュウジカガ スキニナール〕


ドラキュラはコイン状の物を見つめるほどに瞼が重くなっていく感覚を覚える。


〔アータハ ジュウジカガ ダイスキ アータハ ジュウジカガ ダイスキ 3、2、1、ザマス!〕


ハッと目を見開いたドラキュラ。

宝石を取り除かれた巨大十字架を視界に入れる。


〔十字架……大好きであーる!!〕


ドラキュラは十字架に抱き付いて頬擦りする。


「効いたみたいね」


「よっしゃ、これでもう恐いもんナシだ。さっそく地球で一暴れしてこようぜ!!」


〔嫌であーる〕


「あ?」


〔我輩と十字架ちゃんの甘~い時間を邪魔するなであーる!〕


ドラキュラは十字架のあちこちにキスをする。


「効きすぎたみたいね」


「これじゃ苦手なままのほうがマシだな。催眠術解いて次!」



【lesson⑤ ~学のスペシャルドリンク~】


フランケンが巨大な瓶に入った、緑とピンクの中間のような色に所々紫も混じった液体を担いできた。


「僕が調合したスペシャルドリンクだよ! これ飲んで、苦手な気持ちを忘れちゃうくらい元気になってよ!」


「この世の物とは思えない臭いでワーウルフが気絶してるんだが大丈夫か?」


〔ワーウルフは特に鼻がいい妖怪だからしょうがないね〕


〔特に鼻がいいわけでもない我輩も正気を保てるギリギリの所にいるのであーる…〕


ドラキュラは瓶を受け取り、口に向けて傾ける。

粘性の高い液体が不気味な速度で迫ってくる。


「ドラキュラ! 努力と根性だ!」


〔またそれであーる? 言葉の意味はわからんが、とにかく苦手克服であーる!〕


ドラキュラは不気味な液体を一気に喉の奥へ流し込む。


「どうだ!?」


十数秒の沈黙の後、ドラキュラは瓶を放り出し静かに倒れた。


「あー、スペシャルドリンクも苦手だったか……」


「あれは苦手とかそういう問題じゃねえだろ。次! ……って、おっさんいねえんだよな。次どうしよ?」



ダイダラスの森。

カラステングが足元に気を付けながら着陸し、目からビームで拓実を降ろす。


「おーい、ダイダラスー!」


拓実が叫ぶも返事が無い。


「ダイダラスー! 何かあったのかー!」


〔ガオオオオオン!!〕


森の奥深くから聞こえてきた返事に、カラステングが顔をしかめる。


〔やはり人間は信用できない? どういうことだー!?〕


〔ガオン! ガオオオオオオオン!!!〕


〔何だって!?〕


「どうした?」


〔ダイダラスは河村一族の人達が持ってきたモニターで俺達の戦いを見てるんだが、それでデーモンジャーを見て、また人間を信用できなくなったんだってよ〕


「そうか、悪魔に協力する人間が出てきたから……。ダイダラスー! あいつらは俺達がなんとかするから!」


〔ガオオオオオオオオオオオン!!!〕


〔なあダイダラス、お前も知ってるだろ? ヨーカイジャーや村の人達みたいに、いい人間もいっぱいいるって!〕


〔ガオガオオオオオオオオオオオン!!!〕


〔ダメか……〕


「仕方ない!」


拓実が膝を叩く。


「口で言ってもだめなら、また俺達が人間のいい所を見せてやるしかない。ダイダラスもゴッドムゲンオーもいないのは厳しいけど、なんとかデーモンジャーの目を覚まさせよう」


〔ウーン、それしかないか……〕


その時、拓実のムゲンブレスの着信音が鳴り響いた。

智和からの、悪魔の目撃情報があったという連絡。


「デーモンジャーも来るかな?」


〔わかんねえ〕


「だよな。でも、とにかく行くぞ!」


カラステングは目からビームで拓実をコクピットに転送し、悪魔が現れたという場所に向かって飛ぶ。


〔おーいダイダラス! 俺達の戦い、絶対見とけよー! また一瞬に戦いたいって思わせてやるからなー!〕


〔ガオン……〕


森の奥から小さな返事が聞こえてきた。



関東某所の食品工場前。

従業員が2人掛かりで大きなダンボール箱を抱え上げ、トラックの荷台へと運ぶ。

そこへどこかから聞こえてきた声……


「はい、じゃんじゃん! はい、どんどん!」


鉄製の急須のような頭部、海女さんを思わせるかすりの着物、右腰に列車の模型のような物体、左腰にコッペパンのような物体を付けた悪魔ウェパルが、蕎麦の束のような腕を振りながら掛け声を発すると、従業員達が抱えていたダンボール箱が2個、3個、4個5個と増えていく。


「はい、じゃんじゃん! はい、どんどん!」


「何だ何だうわあああああああ!!!!!」


従業員達はバランスを崩し、10個のダンボールの下敷きになる。


呻き声を上げる従業員達に、ウェパルは左腰から外したコッペパンのような物体を向ける。

従業員達の頭上からどす黒いデビルギーが立ち上り、コッペパン型デビルギー容器に吸収されていく。


「はいデビルギー! はい、どんどん!」


その時、


「妖怪変化!」


ヨーカイジャー6人が走りながら変身。


「うおおおりゃああああああああああああ!!!!!!」


ヨーカイレッドが飛び蹴りでウェパルを吹っ飛ばし、他のヨーカイジャー達がダンボールをどかして従業員達を避難させる。


吹っ飛ばされたウェパルは地面にぶつけた頭の中に反響する衝撃音を手で押さえて止める。


「じぇじぇじぇ!? おめたちは……」



「誰が呼んだか旅烏 鼻高々にてんつくてん 天に代わって只今参上! 空の勇者、ヨーカイレッド!」


「誰が言ったか川流れ 流れるどころか掻き分けて 登って飛び出せナイアガラ! 水の戦士、ヨーカイグリーン!」


「誰が言ったか猫かぶり 花も恥じらうJK3 嘘はいらない夢見る乙女! 獣のアイドル、ヨーカイピンク!」


「誰に言われどカマわない イタチごっこにピリオド刻み 腹を切らずに悪を斬る! 風の剣士、ヨーカイブルー!」


「誰を染めるか狐色 こんこん今夜も手鞠歌 お目にかけましょ万華鏡 幻の賢者、ヨーカイイエロー!」


「誰もオイラを止められねえ! 当たるも八卦の大予言! 爆走疾風ギンギラギン! 閃光の覇者、ヨーカイシルバー!」


「夢も現も守るが仏 夢幻戦隊!」


「ヨーカイジャー!!!!」



「おめたちがヨーカイジャーか! おらの仕事邪魔するでねえ!」


ウェパルは右腰の列車の模型のような物体を取り外し、


「行げ、ジャミリアー!」


と叫びながら放り投げる。

列車の模型のような物体は空中で弾け、中から8体のジャミリアーが姿を現した。


「ジャミジャミ!」


ジャミリアー達はライフルを振り上げながら軽快に足を踏み鳴らす。


「いくぞ!」


「オウ!!!」


グリーンの号令でヨーカイジャーが走り出す。

ジャミリアー達がライフルを発射、同時にウェパルが腕を振り魔力を放出して発射された弾数を5倍に増やす。


「はい、じゃんじゃん!」


「おわあああああっ!?」


ブルーを除く5人は側転や前転でギリギリ回避、ブルーはムゲンソードを抜いて銃弾を弾き飛ばす。


「あいつこんなこともできるのか!!」


「それだけでねえべ!」


ウェパルが腕を翳すと、避けられたり弾かれたりした銃弾がUターンしてきてヨーカイジャー達に命中。

5色のスーツで火花を散らす。


「おらの強さ思い知ったか! もっぺんいくべ!」


「ジャミジャミ!」


ジャミリアー達がまたライフルを発射。


「はい、どんどん!」


ウェパルが腕を振り銃弾を増やす。


「そっちが魔力で弾を操るなら……」


グリーンが必殺(フィニッシュ)カードを発動。


「必殺妖技・激流上手投げ!」


グリーンの手から放たれた激しい水流が銃弾全てを飲み込み、その勢いのままウェパルとジャミリアー達に迫っていく。


「水圧で全部押し流す!!」


「じぇじぇじぇじぇじぇ!?」


「ジャミー!!!」


逃げ遅れたジャミリアー3体が銃弾と共に空中へ巻き上げられ、そのまま落下し爆散。

残された5体とウェパルが戸惑っている隙にピンクも必殺フィニッシュカードを発動。


必殺妖技(ひっさつようぎ)肉球謝肉祭(にくきゅーかーにばる)!」


上空から無数の肉球型エネルギー弾が降り注ぎ、残っていた5体のジャミリアー達が爆散。

咄嗟に転がって避けたウェパルが立ち上がり砂埃を払う。


「おめたち、無茶苦茶やるでねえだよ…」


「お前が先に人間に無茶苦茶やったんだろ!」


その時、上空に現れた巨大な何かが日光を遮り戦場に影を差した。


「あいつは…」


レッドは昨日の戦いの痛みが残る胸を押さえる。


上空のドラキュラが目からビームを放ち、変身前のデーモンジャー5人を地上に降ろす。


「よぉ、ヨーカイジャー! また遊んでやるぜ!!」


デーモンジャーがデビルブレスに変身(チェンジ)カードを入れ、


「悪魔降臨!」


5人同時変身。



「誰が言ったかコウモリ野郎 十字架出されりゃ噛み砕け! バットエンドに震えて眠れ! 闇の破壊者、デーモンレッド!」


「誰にしようかモルモット サインコサインインテリジェント 倫理なにそれ美味しいの? 鋼の天才、デーモングリーン!」


「誰も彼もがマジうぜえ フェアリースマイル→キラークラッシュ! リアも非リアもまとめてどかーーーん!!! 地獄のヒロイン、デーモンピンク!」


「誰も彼もがロンリーウルフ 下駄を脱がせろポリティカル みんな違ってコレクトネス 月のジャッジマン、デーモンブルー!」


「誰が呼んだか女郎蜘蛛 眠れぬ夜に糸をかし この世の終わりまで酔わせてあげる 白夜の魔女、デーモンイエロー!」


「触る俺らに祟り有り 悪魔戦隊!」


「デーモンジャー!!!!」



「名乗りやがった…」


「悔しいけどかっこいい…」


「結月のほうがかっこいいよ!」


デーモンジャーの名乗りにそれぞれ反応する中、ヨーカイグリーンが呟く。


「足りない…」


「ナフサ?」


「それも国際的な問題だが、デーモンシルバーがいない」


「おっさん今日は野暮用でいねえんだ」


「こっちにはヤカン男いるし、6対6にちゃんとなってるよー!」


デーモンピンクがウェパルの後頭部をバンバン叩く。


「うあああっ……って、誰がヤカン男だ! おらは女だべ!」


「あー、おにゃのこだったの? ウケるー!」


「ってか何だおめたち? ヨーカイジャーの仲間でねえのか?」


「は? 鳥頭から何も聞いてないの?」


「僕達、アーリマンから君を手伝いに行けって言われて来たんだけど?」


「アーリマン様から? あのお方、あんまりおらみてぇなモンにはまともに連絡くれねえから……」


項垂れるウェパルの肩に、デーモンイエローがそっと手を置く。


「そっかぁ、辛いわよね。でも安心して。あなたには私達がいる」


「そ……そだな! 頑張ってヨーカイジャーさやっつけっぺ!!」


ウェパルはやる気を取り戻したが、デーモンレッドはデーモンイエローの中に得体のしれない空恐ろしさを感じた。


「……うーん、とにかく!」


両陣営向き合い身構える。


「いくぞ!」


「オウ!!!!」


ヨーカイグリーンの号令でヨーカイジャーが走り出す。


「やっちまえ!」


「わーい!」

「ウケるー!」

「フン…」

「オッケー!」

「じゃんじゃん!」


デーモンレッドの号令でデーモンジャーとウェパルが走り出す。



ヨーカイレッドがムゲンソードを構えてデーモンレッドに向かう。


「面白ぇ!」


デーモンレッドもデビルソードを構えて走る。


「うおおりゃああああああああ!!!!!!」


ヨーカイレッドがムゲンソードを大振りで振り抜く、と見せかけてデーモンレッドの足元に投げる。


「何ッ!?」


デーモンレッドが躓いて倒れ、その隙にヨーカイレッドがムゲンソードとデビルソードを拾って背後に回る。


「前に戦った奴の戦法だぜ!」


「テメエ! ボクシングだったら反則だぞ!!」


「これはボクシングでも試合でもない!!」


ヨーカイレッドは起き上がり際のデーモンレッドを2本の剣で斬りつける。

デーモンレッドは火花を散らしながら数メートルぶっ飛ぶ。


「沢山の人を守るための戦いだ!!」


「へッ……セコいマネしといて正義の味方気取りか?」


デーモンレッドは立ち上がりながらドラキュラの翼を模したデザインのガントレット・ブラッドブロウを装備。


「だったら俺はお前をブッ殺し、全てをブッ壊す! それが俺の正義だ!」


「それのどこが正義だ!」


「人間の数だけそれぞれの正義がある。破壊こそ俺の正義!」


「それぞれの正義? そんなもの……」


ヨーカイレッドはデビルソードを遠くに投げ捨て、


「おい! いらないなら返せ!」


ムゲンソードをマジックペンに見立てて自分の後ろを指す。


「『それぞれの考え方』で伝わります!」


「俳句の先生!!?」


「正義ってのは、『少数派を無視しない程度により多くの人の幸せに繋がる考え方』のこと。『正義の味方』の『正義』っていうのはそれ。人それぞれ正義が違うように感じるのは、それぞれが正義だと思ってることが違うから。何でもかんでも正義にして認めてたら秒で世界滅亡するからな」


語りながらヨーカイレッドもムゲンソードを収めてフェザーガントレットを装備。


「あーあそうかいそうかい。じゃ、俺は悪でいい!」


「『考えるのをやめた』で伝わります!」


拳と拳がぶつかり合い火花が散る。



デーモングリーンがフランケンの能力(スキル)カードを発動。

近くに停めてあったフォークリフトに手を触れると緑の妖力がスパークしながら流れ込み、ヨーカイグリーンに向かって走り出した。


ヨーカイグリーンが走ってかわそうとするも、デーモングリーンがフリック入力のように手を動かすと、それに合わせてフォークリフトがヨーカイグリーンを追いかける。


「フォークリフトの速さじゃないぞ……!」


「これは機械を操ると同時に限界以上の性能を引き出す妖術みたいなんだよねー」


フォークリフトのアームが背中に迫り、避けきれないと判断したヨーカイグリーンはネネコガッパの能力(スキル)カードを発動。


背中に衝突を食らったが、液状化していたので体が散らばって水溜まりのようになっただけでダメージは無い。


「へぇー、そんなこともできるんだ。でもずっと液体でいられるわけじゃないんでしょ?」


デーモングリーンはフォークリフトを水溜まりの上を何往復も走らせる。


液状化は妖力を大量に消耗する。

使い始めた時よりは消耗を抑えられるようになったものの、デーモングリーンに読まれている通り、このまま液状化を続けていれば妖力が底をつくのも時間の問題。


ヨーカイグリーンが液状化した頭を捻り、デーモングリーンが意気揚々とフォークリフトのコントロールを続けていたその時、ヨーカイレッドが投げ捨てたデビルソードがデーモングリーンのボディを掠め火花を散らした。


「だあああああ!」


衝撃で体が回転。

その動きに反応したフォークリフトがデーモングリーンに向かってくる。


「違っ! 違っ! 違っ! ああああああああ!!!!!!」


勢いは止まらず、デーモングリーンはアームに乗せられ運ばれていった。


それを液状化を解除して見送るヨーカイグリーンが一言。


「操るな フォークは急に 止まれない」



デーモンピンクがズッキュンドリルを振り回し、ヨーカイピンクはそれをかわしながら後退していく。


「オラオラ貧乳悪化させてやんよ!」


ズッキュンドリルは回避し続けているものの、ヨーカイピンクは袋小路に追い詰められて後が無い。


デーモンピンクはバク転で距離を取り、必殺(フィニッシュ)カードを発動。


「必殺妖技・愛(笑)印大空襲(らぶりーいんふぇるの)!!」


ヨーカイピンクの頭上から、デーモンピンクの変身前の頬のメイクに似た、割れたハートの形のエネルギー弾が降り注ぐ。


ヨーカイピンクは無数の割れたハートを全身に受け、大爆発。


「キャーハハハ! ウケるー!」


以上は、ヨーカイイエローの「九尾幻燈演舞」によってデーモンピンクが見せられている幻覚だった。


本物のヨーカイピンクは倉庫の屋根の上でデーモンイエローに向かってスキャットクロウを振り回している。


「おんなじ色のデーモンジャーと戦わなきゃいけない決まりなんて無いもんね!」


デーモンイエローはヨーカイピンクの真っ直ぐな攻撃をマジョスティックでギリギリ捌き続けているが次第に屋根の端へと追い詰められていく。


「ちょっと雫ー! まだ気付かないのー!?」


「あ、おねーちゃーん! 貧乳やっつけたよー!」


「貧乳言うなッ!」


「私は言ってないッ!」


一際力の入った攻撃を受け止め、デーモンイエローは屋根の端を踏みしめる。



デーモンブルーがフェンシングの剣のような形状の“ルーンサーブル”を振るいヨーカイブルーに襲いかかる。


「サッカー場のゴミを拾っただけで日本人の罪が消えると思うな!」


「いきなり何の話でござる! 彼らはそのようなつもりでゴミ拾いをしているのではござらん!」


ヨーカイブルーは一直線に迫ってくる連撃をブライブレードで捌きながら、数メートル先のヨーカイシルバーに声を掛ける。


「勝ー! 飛び道具はやめておけー!」


「そっか!」


ヨーカイシルバーはムゲンライザーに入れようとしていたオボロバルカンの装備(アームズ)カードを仕舞い、代わりにモメンカッターの装備(アームズ)カードを発動する。


モメンカッターを持って走り出したヨーカイシルバーに対し、ウェパルは両手から串団子型ミサイルを発射。


「空飛ぶ団子!!」


「そんなのもあるのか!!」


ヨーカイシルバーは串団子型ミサイルを弾き飛ばしながら距離を詰め、ウェパルのボディに斬撃を食らわす。


「じぇじぇじぇじぇ!?」


ウェパルは一瞬よろけたが踏みとどまり、蕎麦のような両手を鞭のように振り回す。


ヨーカイシルバーはそれをギリギリで避けながらブルクダンの能力(スキル)カードを発動。

長く伸びた光の角でウェパルを挟み、全身の筋力を込めた後ろ投げで地面に叩き落とした。


「じぇじぇじぇじぇじぇ!!?」


ビルの屋上からそれを目にしたヨーカイピンクが、猫のように4本足で走ってデーモンイエローから距離を取り、必殺(フィニッシュ)カードを発動。


北海道から召喚されたコロボックルが愛らしい雄叫びと共に「yokaiger」というロゴが入った白いボールに変身し、高く掲げられたヨーカイピンクの手に収まる。


「千影ちゃん、ほんとにあの悪魔、生き物はコピーできないの?」


「うん。できるなら、ジャミリアーやデーモンジャーを増やしてるはず」


「なるほどぉ~! だったら、いくわよっ、

ヨーカイジャータイフーン!!」



ヨーカイピンクが妖力を注ぎ込むと、ボールは爽やかで愛らしいピンクに染まる。


「勝くん!」


投げられたボールをヨーカイシルバーが受け取り、起き上がろうとするウェパルを警戒しながら妖力を注ぎ込むと、ボールは力強く輝く銀色に染まる。


「千影!」


豪腕でビルの屋上まで投げられたボールをヨーカイイエローが受け取り、妖力を注ぎ込むと、ボールは妖しく魅惑的な黄色に染まる。


「武士!」


ヨーカイブルーが迫る連続突きを大振りで弾き、間合いを取りながら受け取ったボールに妖力を注ぎ込むと、ボールは鋭く吹き抜ける風のような青に染まる。


「智和!」


放物線を描きながら飛んできたボールをヨーカイグリーンが受け取り、妖力を注ぎ込むと、ボールは知性の奥に秘められた情熱を思わせる緑に染まる。


「拓実!」


飛んできたボールをヨーカイレッドが受け取る。

と、同時に、デーモンレッドが必殺(フィニッシュ)カードを発動。


「必殺妖技・血祭百烈拳!!」


ボールを頭上に掲げた体勢のヨーカイレッドに、デーモンレッドの連続パンチが深く重く突き刺さる。


デーモンレッドの大きく踏み込みながらの一撃に吹っ飛ばされ、食品工場の外壁に激突したヨーカイレッドだったが、その手に掲げたボールは勇気と正義を象徴する赤に染まっていた。


「勝……」


地面に転がったボールを、オボログルマの能力(スキル)カードで足をローラースケート状に変化させたヨーカイシルバーが拾い上げ、ヨーカイレッドに向きかけた視線をウェパルに向け直し、デーモンレッドの拳をかわしながら投球の射程距離まで駆け抜ける。


ボールは再び銀色に染まり、ブルクダンの角を思わせる装飾が現れる。


「必殺妖技・金剛(ダイヤモンド)流星球(シューティングスター)!」


光を放つ超高速のボールがウェパルに迫る。


「はい、じゃーんじゃん! はい、どーん……どん!?」


ウェパルが腕を振っても、コロボックルが変化した命あるボールのコピーを作ることはできない。

ボールはウェパルのボディに命中。

飛び散る閃光の勢いは止まらない。


「じぇじぇじぇじぇじぇじぇじぇじぇじぇええええええええええええ!!!!!!!!!!」


大爆発。


ボールはヨーカイピンクの手の上に戻り、コロボックルの姿になって北海道へと転送される。


ウェパルの爆発とヨーカイグリーンに助け起こされるヨーカイレッドを見て、デーモンレッドは空に向かって舌打ち。


デーモンイエローは溜め息をつき、デーモンピンクは倒したと思っていたヨーカイピンクが別の位置にいたことに驚き、デーモングリーンが脇腹を押さえながら歩いてくる。


デーモンブルーはまだ剣を振り回していた。


「普段はしないゴミ拾いをワールドカップの時にだけ!!」


「だから何の話でござる! お主は彼らの普段の生活など知らんのだろう!?」


「ヤカン女がやられたらこの戦いは終わりか。おいウルフ帰るぞー!」


デーモンレッドが呼び掛けてもデーモンブルーは止まらない。

放っておいて帰ろうとしたところで戦場の空にアーリマンが飛んできた。


「おい鳥頭ー! ヤカン女、じぇじぇじぇー!?とか言いながら死んだぞー!」


アーリマンは自分の翼から羽根を1本引き抜いて呪文を唱える。


「デビル デビレバ デビルトキ カモンデーモン デビデビレ これが最後だ、次は無い」


投げられた羽根がウェパルの残骸のある地面に刺さると、残骸は一つに集まり、巨大なウェパルの姿となってヨーカイジャーを見下ろす。


「来てよその火を飛び越えて!!」


「すげー! おっきくなったー!」


デーモンピンクが飛び跳ねる。


「でもコレできるなら最初からおっきくしたほうがよくない?」


「巨大化魔法は基本的には死んだ悪魔にしか効かない。生きた悪魔に使っても免疫に邪魔される」


「へー、難しい話よくわかんない」


「無能な雑兵でも、屍には使い道があるということだ」


「はぁ~、酷くね?」


アーリマンは特に何も答えなかった。



「拓実、休んでろ」


「いや、コクピット乗って合体するとこまでやる」


「そうか……だったら、」


「サモン、パートナーズ!!!!」


ステルスモードで待機していたカラステングを含めて、8体の巨大妖怪達がヨーカイジャーの周りに立ち並び、目からビームでパートナーをコクピットに転送する。

ここでようやくヨーカイブルーは一息つくことができた。


「よっしゃ! こっちもデカいの呼ぶぞ!」


「あたしらの掛け声もあいつらと同じでいーの?」


「英語の掛け声とは、奴らにしてはグローバリズムを意識できている。俺達もあれでいこう」


「テメエ今までずっと戦ってたのかよ! まあいい、月のジャッジマン様からお許しが出たところで俺達も……」


「サモン、パートナーズ!!!!」


カラステングと同じくステルスモードで待機していたドラキュラを含め、5体の巨大西洋妖怪がデーモンジャーの周りに立ち並び、目からビームでパートナーをコクピットに転送する。


「じぇじぇじぇ!? 敵も味方もいっぱい来たなぁ」


両陣営の巨大妖怪達が睨み合う中、カラステングにはヨーカイレッドの傷付き具合いともう一つ、どうしても気になってしまうことがあった。


〔ドラキュラとワーウルフ、なんか顔色悪くねえか?〕


〔色々あったのであーる〕


〔ガルルルル……〕


「あっちの事情はよくわかんないけど……」


〔拓実! お前は顔色悪いってレベルじゃねえぞ!!〕


「だから早く終らせようぜ……」


「夢幻合体!!」



ヨーカイレッドとヨーカイシルバーが合体(ユナイト)カードを発動すると、8体の妖怪達の体が宙に浮き、変形を始める。


カラステングの両腕がスライドして背中に回り、両足は折り畳まれる。


メガガッパーの両腕が引っ込み、甲羅が上にスライドして体の下半分が2本の足の形状になったところでカラステングの体の下に合体して「下半身」となる。


ネコマタンの尾と後ろ足が折り畳まれ、前足は爪が出た状態で頭に被さるようにスライドし、全体的に鋭い爪の付いた腕といった形状になりカラステングの左腕部分に合体。


カマイタチの刃物状の尾が外れ、後ろ足が折り畳まれ、鎌の付いた前足は頭に被さるようにスライドし、鎌の間に刃物状の尾が収まり全体的に鋭い剣の付いた腕といった形状になりカラステングの右腕部分に合体。


キュービルンの体が前部と後部で半分に分離、前部は中心にキツネの顔が付いたプロテクターといった形状に変形しカラステングの胸に合体、後部は九本のキツネの尾が付いたプロテクターといった形状に変形しカラステングの背中に合体。


最後にカラステングの下顎が大きく開き、中から人型の顔が姿を表した。


レッド以外の4人もカラステングのコクピットに転送され、ヨーカイジャー達から見て左から、ピンク、イエロー、レッド、グリーン、ブルーの順に席に着いた。


「完成、合体巨人・ムゲンオー!!」


5人声を揃えてその名を叫ぶ。

ムゲンオーは右手の夢幻斬空剣(むげんざんくうけん)を斜めに掲げてポーズを決める。



ブルクダンの四肢と尻尾が折り畳まれながら体全体が直立、胴体下半分がスライドして2本に分かれて「足」になり、首から上の頭部が真っ直ぐに前を向く。


オボログルマの胴体前部が伸び、全体的にタイヤとガトリング砲の付いた腕といった形状になりブルクダンの左腕部分に合体。


イッタンモメンの尾が折りたたまれ、胴体前部が伸び、全体的に左右両側に鋭いカッターの付いた腕といった形状になりブルクダンの右腕部分に合体。


最後にブルクダンの首が回転扉のように回転、中から人型の顔が姿を表した。


「完成、合体巨人・ムゲンショーグン!!」


ヨーカイシルバーがその名を叫ぶ。


ムゲンショーグンは両腕の武器を交互に力強く前に突き出し、銀色の光を放ちながら腕を組んでポーズを決める。



「よし……。みんな、後頼む!」


変身が解けた拓実が、座席に体重を預けて目を閉じる。


「ここまで気力で変身を保ってたか。任せろ、いくぞ!!」


ヨーカイグリーンの号令にいつも以上の気合いが入る。



ピンクシーのコクピットでデーモンピンクが指を指して足をばたつかせる。


「えー!? あっち合体したじゃんズルくない!?」


「試合じゃないからズルくないらしいぜ」


「何それ? じゃあ、あたしらも何でもやっていいってこと?」


「そういうこった。いくぜ!!」


デーモンジャーが操縦桿を引き、巨大西洋妖怪達が突撃を開始。

ドラキュラは空から、フランケン、ピンクシー、ワーウルフは地を走り合体巨人達に襲い掛かる。


マジョローグは取り残された感に呆然とするウェパルの隣で様子を見る。



ムゲンオーに迫るドラキュラ。

コクピットのヨーカイイエローは冷静に指示を出す。


「あんたの弱点はわかってんの。キュービルン!」


〔コココン!!〕


ムゲンオーの前に巨大な十字架の幻影が立ちはだかり、ドラキュラは空中で急ブレーキを掛ける。


〔うぎゃーっとっととと!〕


走っていた他の西洋妖怪達も勢いを殺されすっ転んだ。


ヨーカイグリーンがマスクの下で口角を上げる。


「やはりドラキュラの一族は十字架に弱い。昨日突然飛んでいったのも、病院の緑十マークが目に入ったからだろ?」


「おい赤コウモリ! バレてんじゃねえか!」


〔やっぱり十字架は…………ムリなのであーる!!!!!!〕


ドラキュラは180度向きを変え飛んでいく。


〔苦手なことは恥ずかしいことじゃないのであーる!!〕


「2回連続敵前逃亡はさすがに恥ずかしいだろ!!」


デーモンレッドは操縦桿を激しく動かすがドラキュラは止まらない。


〔ムリなものはムリなのであーる!!〕


「ワガママこいてねえで下見てみろ!!」


〔下……?〕


下を見ると、ドラキュラを見上げる西洋妖怪達の姿が目に入る。


「あいつら何だかんだ言って、お前の特訓に協力してくれたろ?」


西洋妖怪達が手を振る。


〔おーいドラキュラー! 一番強い君がいてくれないとー!〕


〔ギュギュギュー!〕


〔ワオーン!〕


〔イッショニ アイツラ ヤッツケル ザマス!!〕


「あいつらの期待に応えねえで、なーにが人類排斥派西洋妖怪筆頭だ! ド根性見せろ!」


〔ドコンジョー……見せるのであーる!!〕


その時、5体の西洋妖怪達の体が光り輝き、その光がドラキュラのコクピットの中に集まり、1枚のカードの形になる。


「これは……見てやがれヨーカイジャー! 悪魔合体!!」


デーモンレッドがそのカードをデビルブレスに入れると、ドラキュラ以外の西洋妖怪達も浮き上がり、パートナー達の混乱を無視して変形を開始。



5体の西洋妖怪達の体が宙に浮き、変形を始める。



ドラキュラの両腕がスライドして背中に回り、両足は折り畳まれる。


フランケンの両腕が折り畳まれ、上半身が上にスライドして体の下半分が2本の足の形状になったところでドラキュラの体の下に合体して「下半身」となる。


ピンクシーのドリルのような尾が外れ、後ろ足が折り畳まれ、前足は頭に被さるようにスライドし、前足の間にドリルのような尾が収まり、全体的にドリルの付いた腕といった形状になり、ドラキュラの左腕部分に合体。


ワーウルフの刃物状の尾が外れ、後ろ足が折り畳まれ、前足は頭に被さるようにスライドし、前足の間に刃物状の尾が収まり全体的にサーベルの付いた腕といった形状になりドラキュラの右腕部分に合体。


マジョローグの体が前部と後部で半分に分離、前部は蜘蛛の顔と足が付いたプロテクターといった形状に変形しドラキュラの胸に合体、後部は赤い宝石が付いたプロテクターといった形状に変形しドラキュラの背中に合体。


デーモンレッド以外の4人もドラキュラのコクピットに転送され、デーモンジャー達から見て左から、ピンク、イエロー、レッド、グリーン、ブルーの順に席に着いた。



合体を完了し、地上に舞い降りる合体巨人。


ヨーカイジャー達はウェパルのような「じぇじぇじぇー!?」という声ひとつ出せずに驚愕する。


デーモンレッドは高笑いし、デーモンピンクとデーモングリーンは大はしゃぎ、デーモンブルーとデーモンイエローは冷静にコクピット内の様子を観察する。


「ハーッハッハッハ! よっしゃ、やってやんぜ!」


デーモンレッドが操縦桿を引いても、合体巨人はぴくりとも動かない。


「オイどうした!? オイ!?」


「え? 動かないの!? マ?」


「うーん、何か足りないものがあるのか……」


それらの大騒ぎを若干の懐かしさを感じながら見ていたヨーカイジャー。


ヨーカイピンクが一瞬上を向き、モニター越しの合体西洋妖怪を向き直す。


「日本の妖怪の合体がムゲンオーだから……」


〔バカ! それは言うな!〕


「あー! カラステングがバカで貧乳って言った!」


〔貧乳は言ってない!〕


「結月落ち着いて!」


「だって千影ちゃん! あたしはただ、日本の妖怪の合体がムゲンオーだから、西洋妖怪の合体はデビルキングっていうんじゃないかなって……」


合体した西洋妖怪達の目に光が宿る。


「あ……」


「そうか! 名前が必要だったのか!」


「ありがとね貧乳ピンク!」


「ううぅ……」


「完成、合体巨人・デビルキング!!」


デーモンジャー5人声を揃えてその名を叫ぶ。

デビルキングはドラキュラそのままの牙を剥き出し咆哮を上げる。


「みんなごめん…」


〔俺がバカとか言ったのも悪かった〕


「後悔先に立たず。今は反省より、合体した西洋妖怪にどう立ち向かうかを考える時でござろう」


「そう。だからキュービルン、もっ回お願い!」


〔ココンコーン!〕


ムゲンオーの前に再び幻影の十字架が現れる。

デビルキングは飛び去ることなく、腕組みをして足を開いて体を仰け反らせる。


〔フン、平気なのであーる!〕


しかしヨーカイグリーンにはすぐにわかった。


腕組みをしているのは両腕になったピンクシーとワーウルフがドラキュラを押さえているためで、足を開いているのは下半身になったフランケンが飛び立たないように踏ん張っているため。


「痩せ我慢か…」


〔そんなわけがないのであーる!〕


「何でもいい、いくぞ!」


デーモンレッドが操縦桿を引くと、デビルキングは低空飛行でムゲンオーに接近。

デーモンブルーの操作による剣捌きで連続突きを繰り出す。


十字架は消え、ムゲンオーはヨーカイブルーの操作により、両軍ブルー同士の対決さながらに突きの一撃一撃を弾いていく。


「やっちゃえー!」


デーモンピンクの操作により左手のドリルが繰り出される。

ムゲンオーはこれを空中へ飛び上がってかわし、デビルキングもそれを追って空へ。


「オイラ達も!」


飛び上がろうとしたムゲンショーグンに巨大ウェパルの串団子ミサイルが直撃し火花を散らす。


「オラのこと忘れるでねえだよ!」


「あーわかったよもう!」


〔モォ~!〕


ムゲンショーグンは巨大ウェパルに向かって走り出す。



空中ではムゲンオーが、デビルキングの剣とドリルによる攻撃をギリギリで受け止めながら後退を繰り返している。


ヨーカイブルーの剣技が反映された動きにより防ぎ続けてはいるが、パワー、スピード共にムゲンオーを凌駕するデビルキングの動きに徐々に遅れを取り、振りかぶってのドリル、と見せかけての回し蹴りを防ぎ切れず、ムゲンオーは大きく高度を落とす。

コクピット内では衝撃で座席から落ちかけた拓実をヨーカイイエローが支える。


「よっしゃ、ここで一発必殺技でもありゃあ…」


その時、デビルキングの体が光に包まれ、その光はコクピット内で凝縮し1枚のカードになる。


「これは……面白ぇ!!」


デーモンレッドがカードを手に取りデビルブレスに入れると、デビルキングの全身を5色の光が駆け巡り始める。


「必殺大妖技・悪魔妖殺錘(エターナルナイトメア)!!!!!」


デーモンジャー5人で技の名を叫ぶ。

デビルキングが牙を剥き出し咆哮を上げ、全身の妖力が集中し光を放つドリルを突き出し突進。


ムゲンオーは翼を羽ばたかせ回避を試みるがデビルキングは瞬時に軌道を変え、ムゲンオーの胸部に狙いを定め加速する。


その時、一瞬意識を取り戻した拓実が操縦桿を握り左に倒す。


ドリルの直撃を食らったが僅かに急所を外れ、しかし妖力を込めた一点集中の必殺技を受けたムゲンオーは地上の冷凍食品工場へと落下。


拓実はまた目を閉じ座席に体重を預けている。


駆け付けていた妖怪治安維持部隊によって人々の避難は完了していたが、工場は大量の冷凍食品ごと瓦礫と化した。


悠々と降りてくるデビルキングがモニター越しに見える。


「ムゲンオー! 大丈夫!?」


ヨーカイピンクが叫びながら操縦桿を前後させる。


〔やべえ……ここはお前らだけでも……〕


「否! 逃れるも戦うも、我らは一蓮托生!」


「そうだ! 立ってくれ!」


「お願い!」


「立って!」


ヨーカイジャーの叫びもむなしく、足も翼も動かないムゲンオーに、空中から再びドリルを構えたデビルキングが迫ろうとしたその時……


〔うぎゃあああああああああああああああ!!!!!〕


ドラキュラが突然悲鳴を上げ、デビルキングは飛び去っていく。


「何だ何だ何だ!?」


デーモンレッドが操縦桿を動かしてもデビルキングは止まらない。

ドラキュラ以外の西洋妖怪達も、突然の事態に対応しきれず、合体形態での敵前逃亡を止め切れずにいる。


デビルキングがムゲンオーのモニターから消える直前、デーモンブルーの捨て台詞が高すぎる空に響く。


「なにがサムライジャパンだ!!」


「あれは拙者とは関係ない!!」


ようやく冷静に周りを見られるようになったところで、ヨーカイグリーンがコクピットを出て工場の瓦礫の下で潰されている製品を確認する。


「ここは冷凍餃子の工場。ニンニクか……」



一方その頃、ムゲンショーグンは巨大ウェパルの蕎麦のような手を掴んでジャイアントスウィングの要領で振り回していた。


「放してけれー!」


「いいよ!」


ムゲンショーグンは巨大ウェパルが落下しても被害が少なそうな方向へ放してやった。

同時にヨーカイシルバーが必殺(フィニッシュ)カードを発動する。


必殺大妖技(ひっさつだいようぎ)銀輝魔砕轟ライジングギャラクシー!!!!!」


ムゲンショーグンが高速移動しながら威力を増したガトリングを連射、起き上がり際の巨大ウェパルは対応が間に合わず十数発食らい、そこへ妖力を込めた右手による下から上へ打ち上げるチョップ、火花を散らしながら空高く飛ばされた巨大ウェパルが落下してくるのに合わせ、ムゲンショーグンが大ジャンプ、光り輝く頭の角で巨大ウェパルのボディを貫く。


「じぇじぇじぇじぇじぇじぇじぇじぇじぇじぇじぇじぇじぇじぇじぇじぇー!!」


大爆発。


物陰から戦いを見ていたアーリマンは、乾いた音を立てて羽ばたき飛び上がる。


「所詮、雑兵は雑兵か」


呟いてデビルキングが飛び去った方向へ飛んでいく。



敵を撃破したムゲンショーグンはいつもなら勝利のポーズを決めるところだが、巨大ウェパルを放してやった直後に目に入っていた、冷凍餃子工場に落下したムゲンオーの元へ走る。


「大丈夫かー!!」


〔大丈夫……とは言えねえな〕


〔ワシらはまた、『運』に助けられてしもうた……〕


〔コン……〕


ヨーカイグリーンは後処理を担当する妖怪達への連絡を終え、巨大妖怪達の重たい声を耳に入れながらコクピットに戻る。


コクピット内の空気も外と変わりなかったが、静かに寝息を立てる拓実を見てほんの僅かだけ気持ちが軽くなる。



ムゲンショーグンはムゲンオーを背負って妖怪の里へ飛ぶ。

平和が戻った空を渡る風が、今日はやけに冷たく吹き抜けていく。



【to be continue…】

本編を読んだ後は「ヨーカイジャー悪魔データベース」で、登場した悪魔の情報をチェックしよう!


https://ncode.syosetu.com/n9246jz/37


公開中のデジタルコンテンツ、その他の情報は作者Instagram「 @satoruyoukaidaisuki 」とX(旧Twitter)「@shousetuyokai」をご覧ください

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