僕と俺のRe:color
これは僕と俺の物語
色のない透明人間の僕と
多彩な色を持つ俺の
裏切りと絶望の物語。
世間ではある2つの絵が物議を呼んでいた。
夕日の見える絶景の街並み、そしてその風景画を描こうとしている青年の絵
その2つの画風はとても似ていて
明らかにどちらかの絵が盗作だとされた。
片方の絵はとても綺麗とは言えない荒い筆使いの絵
もう片方の絵はそれはそれは美しい完成された絵
その絵は似て非なる物だったが
もう1つその絵には違う点があった。
夕日の風景画を描こうとしている青年の立ち位置が
左右で違うこと
それ以外は全て同じ
彼と出会って3年の月日が経った頃
僕は久々に彼に会いにとある病院を訪れた。
コンコン
僕は病室のドアをノックする。
彼「…入れよ」
僕は震える手でその病室のドアを開く
僕「やぁ…久しぶり」
僕が彼に声をかけると
彼「なんだよ今更連絡してきて…会って話したいことがあるって?よく俺の前にその面見せれたな」
僕「うん、その事について僕は君に会いに来たんだ。僕の計画を果たす為に」
彼とはあることがきっかけで数ヶ月会っていなかった。
でも僕は僕の計画を果たす為にまた彼の前に現れた。
そう、あいつは俺を
俺の大いなる計画を
あいつと一緒に叶えようとした夢を
あいつは踏みにじった。
あの日、あいつと初めて話したあの日、俺はあいつに俺の計画の全てを話した。
俺「よぉしじゃあお前俺と友達になれ!透明人間!」
あいつ「はぁ?」
俺は「そんでよ!俺の計画に付き合え!!!」
あの日から俺達の全てが動き出した。
あいつ「なんだよ急に…それに計画?なんだよそれ」
俺「俺の計画ってのはなぁ…あぁーいやまず、そうだな俺の計画を話す前に言っておかなきゃならねぇことがある」
あいつ「なんだよ…」
俺「あぁ…俺なー実は5年後死ぬんだわ」
あいつ「えっ…?」
俺「まぁー余命宣告ってやつだ。俺の残り時間はあと5年」
あいつ「い、いきなり何言うんだよ!そんなの…冗談だろ?」
俺「いや、本当だよ」
あいつ「そんなこと…」
俺「そんでよ、俺思ったんだ」
あいつ「な、なにを…?」
俺「お前さ、俺の絵どう思う?」
あいつ「どう思う…って…凄いと思うよ、本当に僕と同じ歳の人が描いたなんて信じられないくらい…」
俺「だろ?まぁー俺も正直、俺の絵には自信がある」
あいつ「そ、それが君の計画となんの繋がりがあるんだよ…」
俺「多分俺の絵は、俺が死んでからすげー評価されるものだと思ってる。それくらいの絵だって俺は自信を持って言える」
あいつ「まぁ…たしかに…ちょっとムカつくけど、否定は出来ない…かな」
俺「だろ?でもな、俺はそんなの嫌なんだよ」
あいつ「え?」
俺「死んでから評価されるなんて、俺からしたら、めちゃくちゃ悔しい事なんだよ!俺は、俺が生きている内に、世界を驚かせるくらいの絵を描きてぇ!…でもな、俺の残り時間じゃ…きっとそれは叶わねぇ。ただの無名の高校生が描いた絵なんざ、良くてどっかの賞止まり…俺はそんなのまっぴらごめんだ!だったら…俺は…俺の持てる全てを誰かに託し、そんでもって、俺はそいつを見守りながら死にてぇんだ」
あいつ「なっ…」
俺「そんで俺の全てを託せる誰かってのは…お前だ、透明人間」
あいつ「ぼ、僕?」
俺「そう、透明人間のお前だからこそ俺の全てを託せる。お前言ったよな?自分の色を描くために絵を描いてるって、なら、俺の色をお前にくれてやる…だから」
あいつ「ちょ、ちょっと待って!そんなの僕には荷が重すぎるよ!他に絵を描いてるやつなんて、他に沢山いるだろ!?なんで僕なんかに…」
俺「お前だからだよ、なんも無い透明人間のお前だからこそ、俺はお前に託したいと思ったんだよ」
あいつ「僕だからこそ?」
俺「そう、お前から絵を描く理由を聞いて、俺は思っちまった…お前の色を見てみたいって」
あいつ「僕の色を…でもそんなの…無茶だよ…」
俺「無茶なこと言ってるのは俺だって十分分かってる!でももし、俺の計画に…俺の夢に、協力してくれるなら…お前の人生のこれから5年を俺にくれ!…頼む、時間がねぇんだ」
あいつは困惑したがなんとか承諾してくれた。
それから俺はあいつに俺の絵の全てを教えた。
俺の絵の描き方、癖全てをあいつに叩き込んだ。
あいつはこれからの人生を俺に捧げてくれたから
俺の残りの人生の全てを捧げるって決めたんだ。
これが僕と彼の計画の全て
高校を卒業してからも
僕は彼と共に彼の絵を描き続けてきた。
そうして2年が経った頃
僕の絵はだいぶ上達したが彼は彼を蝕む病魔によってかなり絵が劣化して行った。
そんな彼を見ている内に
僕は僕なりに
ある計画を思いついた。
その僕の計画が
彼の計画を裏切ることになる。
僕は彼には内緒で僕の考えた計画を果たす為に彼に1枚の絵を描いて欲しいとお願いした。
彼「俺らの住んでた街の風景画?」
僕「うん、ずっと僕は君の絵を描いてきてふと、久々に君の描く絵が見たいなって思ってさ」
彼「つっても今の俺じゃああの頃の絵は描けねぇぞ?」
僕「いいんだそれで、僕は今の君の描く絵を見たいんだ」
彼「…まぁいいけどよ、期待すんなよ?」
僕「うん、ゆっくり待ってる」
そうして彼は久々に本格的に絵を描いた。
その絵はあまりいい絵とは言えない物だったけどそれでいいんだ。
そうして僕は彼を絵を預かった。
その絵を預かった数日後
彼の絵を彼の名前で世に放った。
そして僕も僕の絵として彼の絵と似た絵を描いて
彼の絵の贋作として僕の素晴らしい絵を世に。
ここからが僕の計画の始まり
僕らの絵が世間に知れ渡った頃
彼の入院する病院へ行き、再会した。
僕の計画の全てを話す為に。
ここからは僕と俺の物語
俺「それでなんだってんだ?お前の計画ってのは」
僕「うん、君はもうとっくに知ってるよね?君の最後に描いた絵を世に放ったこと」
俺「あぁ…知ってるよ、あの時俺の計画の全てが壊れたんだからな…お前のせいで」
僕「うん…ごめん」
俺「何が目的なんだよ、俺の存在が邪魔になったか?今の俺とお前の実力の差を俺に見せつける為か?なんにせよ…ふざけんなよ」
僕「ごめん」
俺「ごめん…かよ…ふっ…なんなんだよお前!さっきからごめんごめんって!そりゃ確かに今のお前と俺じゃあ実力の差なんて誰だってわかることだ!俺のことが邪魔になることくらいこの計画をお前に話した時からずっとわかってた!でもお前は…俺が邪魔になったからって平気で俺を切るようなやつじゃねぇだろ…?なにを考えてんだよ…」
僕「うん、あのさ、僕はずっと君の絵を描いてきた。君のとなりで、君に教わりながら君の為に、君の計画を…」
俺「あぁそうだ…お前の努力は隣にいた俺が1番わかってる」
僕「でも、ある日考えてたんだ」
俺「なにを…?」
僕「僕のこと、僕の透明人間のこと」
俺「お前のこと?」
僕「君は僕に言ってくれたよね?今は透明人間でもお前は何色にもなれるって」
俺「あぁ…だから俺は、俺の色をお前に…って」
僕「あの時、僕は凄く嬉しかった。君は僕の透明人間に意味を持たせてくれた。でもあれは間違いだったんだ」
俺「間違い?」
僕「うん、僕の透明人間ってのはさ、何かの色になるってことじゃない。誰かの色を世界に見せることだと、僕は思うんだ」
俺「誰かの色を…見せる…って、まさかお前っ」
僕「そう、僕は君の色を世界に見せつけてやりたい。君は言ったよな死んでから評価されるなんてごめんだって…あれは僕も同じ意見だ。死んでから評価されるなんてクソ喰らえだ!だから…君が、死んでしまう前に…世界に挑んでみないか?僕と一緒に」
俺「お前と…一緒に?」
僕「僕らならできる、君と僕の2人なら」
俺「でもそんな…無茶なこと…」
僕「無茶なこと言ってるのは僕だってわかってる!でも…もし君が、僕の計画に協力してくれるなら…君の残りの2年の人生を僕にくれないか?」
俺「お前…そのセリフ…ふっ…ははっ俺の真似のつもりかよ…カッコつけやがって」
僕「カッコつけ…か…しょうがないだろ、だって僕がこの2年、ずっと真似してきた奴が、僕が生きてきた中で、1番尊敬できる…かっこいい奴だったんだから」
俺「へっ…なんだよお前…くそっ…わーかったよ俺の負けだ負け…くそったれが…腹立つぜ全く」
僕「じゃ、じゃあ!」
俺「あーそうだよ、やってやろうじゃねぇか透明人間…お前と一緒に」
こうして僕らはまた2人で絵を描く事になった。
ただ、今までとは違って2人で1枚の絵を
それからまたしばらく経ち
彼の余命が1年をきった頃
世界では1枚の絵が高く評価された。
その絵は
夕日の見える絶景の街並み、そしてその風景画を描こうとしている2人の青年の絵
その絵を描いたのは、2人の青年
1人は余命宣告をされた青年
そしてもう1人はその青年の友人
彼らは、この絵にこう名前を付けた。
「Re:color」
これは僕の裏切りと
俺の絶望から生まれた
1つの絵の物語




