*後書き*
聖安戦記・序章「荒国に蘭」はこれにて完結です。
四年前、「金色の螺旋」の連載前にこちらに掲載した旧版のリメイクとして、新たに執筆したものでしたが、如何でしたでしょうか。
この序章もまた、元をたどれば古い作品で、作者なりに思い入れがありますので、少し語らせていただこうかと。
◆原型は「荒国に蘭 迫る宿命」
小学生の頃から漫画で描いていた物語を、初めて「小説」の形で完結させたのが、二〇〇二年の八月でした。当時はパソコンを持っていなかったので、親のお下がりのワープロを使っていたのですが、一応ちゃんとB6サイズの冊子になっています。
中学二年のお盆休みの五日間で書いたという、今から考えれば驚異的な速筆でした。構成は今のものと全く変わらず、麗蘭と黒神が出会う→瑠璃との決別→優花・妖王との出会い、です。
違いといえば、瑠璃の性格がもっとエキセントリックだったことと、黒神の精神年齢が幼かったこと、でしょうか。
「金色」の後書きにも書きましたが、中学時代の創作仲間に回して読んでもらい、いっぱしの作家気取りでございました。懐かしい。
これを次にリメイクしたのがその一年後。記憶がおぼろですが、確か完結しませんでした。
その次が二〇〇九年に制作したサウンドノベル「荒国に蘭」です。大学二年くらいでしょうか。背景も音楽もつけて、一応完成しています。
そのサウンドノベルをなろうに掲載する用で小説にしたのが、二〇一二年にこちらに掲載した旧版「荒国に蘭」です。もとがサウンドノベルなので、私の作品にしてはかなり地の文が少ないです。
「金色の螺旋」とのリンク部分もかなりありましたが、「金色」の連載が進むにつれ、書き直したいと思うようになりました。文章力も長く書き続けていたなりに上がっていましたし、珠玉や優花など、「金色」で活躍したキャラの出番を増やしたかった。
ずっと機をうかがっていて、「金色」の続編が行き詰ったこともあり、書いたのが今回のリメイク版です。
◆「金色の螺旋」とのリンク
今回は、「金色」を書き終えた後のリメイクとあって、あちらで書ききれなかったことを補完する役割も持たせようとしました。
あちらも最後までお読みいただいた方には、「聖安シリーズ」をより深堀してもらえるようになっていますし、好きなキャラがいた方は、多少はお楽しみいただけたのではないかなあ、と。
特に力を入れたのは、第一章の麗蘭誕生シーンや、聖妃と珠玉の会談シーンなどです。四神も無理やり登場させました。
作者としては、珠玉がまた書けたのがすごく嬉しかったです。
◆裏主人公・黒神
今回、黒神の出番がたくさんあったかと思います。
一つ一つのセリフ、会話の中に、この先の伏線になるものをたくさん入れ込んでいます。
キャラのセリフは、熟考してひねり出す、もしくはキャラの喋るままにさせていますが、とくに彼のセリフは力の入れ方が半端ないです。多くに裏の意味が込められています。
「金色の螺旋」やその続編よりも、彼の謎についての手がかりを多くちりばめています。
シリーズをすべて読んでいただいたら、彼の行動の意味が分かるように書いているのですが、書ききれるかはちょっと自信がありません。
もし、気に為る方がいらっしゃったら、黒神の喋っている場面をじっくりお読みいただき、想像していただければなあ……なんて思っています。
◆この先のこと
さて。「金色」の続編を書くと言っておきながら脱線して進めたこの作品でしたが、ようやく書き切ることができました。
別シリーズの「殉教カタストロフィ」も終わりましたし、いよいよ続編に集中できます。
……が、作者が試験勉強をしなければならない時期にきましたので、亀ペースにならざるを得ません。
もしかすると今年中に連載開始できないかもしれませんが、気長にお待ちいただけると助かります。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
次の作品でもお会いできることを、心待ちにしております。




