(貧乏)神様への贈り物
夏も近づきだんだんと暑い日が多くなってきた。
私は神様に替えの服を作ろうと、洋品店に行き、生地を買うことにした。
まずはパン屋さんで私達の作ったパンやお菓子を持って行き、すっかりニコニコ顔になったお婆とお茶を飲み、それから洋品店に行った。
アレクは母の作ったドレスやスカーフを洋品店に納品だけの時は、洋品店にはついてこないで、最近は肉屋や八百屋で我が家で出来たものを配達することが多くなった。
何しろ、私が洋品店に入ると、洋品店の奥様とのドレス談義が長い。
アレクはドレスには興味がないので、側で待って私たちのドレスの話を聞いているのは苦痛だろう。
洋品店の奥様は隣の子爵領の令嬢だったが洋品店の店主と結婚するために平民になった。
残念ながら、洋裁は出来ないが、結婚前、貴族の友人が多かったので、友人達がドレスを買ってくれることが多く、主に販売に力を入れている。
最近では母の作る豪華な刺繍入りドレスが彼女の友人の間でも評判が良いので予約受注が増えているが、母はスカーフも作らなくてはいけないし、一か月3着以上は無理だと断っている。
私ももう少し洋裁の腕があればよいけど、私には洋裁は無理なようだ。
この間もアレクの使うハンカチに龍の刺繍をしたが、下手なので亀が蛇のように長くなったような訳の分からない生き物になってしまった。
刺繍を教えてくれた母はそれを見て笑って見ていたが、どうやら私には刺繍の才能はないと、認めたようだ。
アレクはそのハンカチを自分の宝物にすると言ってくれたが、アレクにはもっと良い宝をあげたい。
長々と店主の奥様と夏のドレスの話をしていたが、アレクは配達が終わったのか店にむかえにきてくれた。
私はお小遣いで神様の服を作るための布地を買った。
以前は白色にしたが、爽やかな若草色の布地にした。
母に頼めば立派な服が出来るが、母は神様を見たことがないし、やはり私が心をこめて作らないとだめだと思ったが、私の腕だと四角い袋を作り、首の部分を丸くくり抜いただけの服になる。
昔着ていた、ボロボロの布が垂れ下がってような服に比べれば、ましだろう。
私は最初神様を見た時は我が家に取り付いた貧乏神かと思ったが、彼が見えるようになって私は確実に健康になった。
我が家も少しづつではあるが、ゆとりが出てきて、以前に比べると良い生活ができるようになった。
少し多めに生地を買い、母に頼みアレクのシャツもこの布で作ろう。
神様の髪は相変わらずザンバラ頭だったので、櫛もついでに雑貨屋さんで買った。
神様へのプレゼント、喜んでもらえると良いけどね。




