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ぶっちゃけ大化の改新って何?ってレベルの俺が、当時のドロドロ権力抗争を最前線で見守ることになったんだが。  作者: 五稜 司


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第30話:地方出張(フィールドワーク) ~現場のバグは会議室で起きてるんじゃない!~

「え、地方出張? 俺、この飛鳥の『Wi-Fi(快適な環境)』から離れたくないんだけど!」

俺の抗議も虚しく、中大兄プリンスと鎌足さんは、俺と不比等に「国郡こくぐん制度の整備」という名の過酷な出張命令を下した。


「海斗、都でポスターを貼るだけが改革ではない。地方の豪族が本当に土地を返しているか、その目でログ(実態)を確認してこい。不比等、この『動くトラブルメーカー』の手綱は任せたぞ」

「……御意。海斗殿、ほら、荷物をまとめてください。馬が出ますよ」


こうして俺たちは、舗装もされていないデコボコ道を数日間揺られ、東の方にある地方豪族の領地へとやってきた。そこには、都の華やかさとは正反対の、「超アナログで泥臭い」現場が広がっていた。

「……うわ、道がグチャグチャじゃん。これ、スマホのマップあっても迷うわ」

「文句を言わない。……見てください、あの田んぼ。あそこに杭を打って、国が管理する『班田はんでん』として区画整理フォーマットするのが我々の仕事です」


不比等はさっそく、土地の広さを測るための「縄」と「木簡」を取り出した。だが、現場の農民や地元の有力者たちは、俺たちを見るなりくわを持って集まってきた。

「都の役人が何しに来た! この土地はわしらが耕してきたんだ! 国のものになんてさせねえぞ!」


「(……あー、これ、本社の人間が現場のやり方無視して新しいシステム導入しようとして、現場がブチギレてるパターンだわ……)」

不比等が「これは皇子の命令です」と論理ロジックで説明しようとするが、怒れる農民たちには一ミリも響いていない。一触即発のデッドロック状態。


「……不比等くん、ちょっと待って。こういう時は正論よりも『メリットの提示』だって。おーい、皆さん! ちょっと聞いて!」

俺はカバンから、出張用に持ってきた「予備のライター」を取り出した。


「これ、指先一つで火が出る魔法の道具。……これ、この村の神主に預けるからさ。その代わり、一回だけ俺たちの話、インストール(試聴)してみない?」

カチッ、と音を立てて小さな火が灯る。

「「おおおおお!! 太陽の欠片だ!!」」

農民たちが一気に静まり返った。……よし、食いついた。


「いい? 土地を国に返すのは、奪われるんじゃなくて『保険バックアップ』に入るようなもん。飢饉の時は国が助けるし、無駄な争いも国が仲裁する。そのためのアプデなんだよ。……なんとかなるから、まずは測量させてよ!」


俺の(適当な)プレゼンとライターの光に、農民たちの殺気が少しだけ和らいだ。

「……海斗殿。貴様のやり方は相変わらず不潔アンフェアですが……。計測、始められそうですね」

不比等が呆れ顔で、縄を伸ばし始めた。


【今回の学習ポイント:国郡里制と地方支配】


国郡里制こくぐんりせい: 全国を「国・郡・里」という単位に整理し、都から役人を派遣して統治する仕組み。これによって、地方豪族が勝手に支配していた「オフライン状態」の土地を、中央が管理する「オンラインネットワーク」に繋げたんだ。


班田収授法はんでんしゅうじゅのほう: 土地を民に貸し出し、死んだら国に返すという、大化の改新の目玉制度。当時の農民にとっては、土地の所有権が変わる大事件だったから、海斗が直面したような現場の反発は凄まじかったんだぞ。


・地方豪族の官僚化: 抵抗する豪族もいたけど、多くは「郡司ぐんじ」という地方役人のポストを与えられることで、国のシステムに取り込まれていった。反発を抑えるための「妥協案キャリアパス」も用意されていたんだね。

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