再生
「やめて、そんなことしないで。ね…。」
顔を上げた渉に美紀はギュッと抱きついた。
渉の心臓の音、そして自分の心臓の音、そして小さくてもしっかり脈打っているであろうもう一つの心臓の音が1つに溶け合った気がした。
「2人じゃなくて、3人だったんだ…。」
渉はうれしそうに驚いて、お腹に視線を落として
「子供か?やったな美紀。」
と更にギュッと抱きしめた。
「痛いよ、潰れちゃうよ。」
言いながら、美紀はここが1番落ち着くと思った。
子供が産まれても、いつもラブラブで子供に呆れるような夫婦でいたいと思う。
静かな眠りを邪魔されたみいちゃんは、顔を上げて騒音の元を確認したようだったが、また手を枕にして夢の世界へと戻っていった。
少し動いただけで汗まみれになる、暑い夏になって、美紀は息苦しくなる日が多くなった。
だいぶせりだしてきたお腹が、動きを悪くしている。
働かずにパチンコ通いがバレた後の渉はすぐに職を探して、工務店で働き出した。
渉は暑い中よく働いて、そして調子のすぐれない美紀の代わりに、掃除など家のことをやってくれる機会も増えた。
美紀は、そんなことをやってくれる渉に感謝しながら、妊娠をしているとこんなに動けないものかと思ったが、8ヶ月の検診で病院に行くと妊娠中毒症にかかっていて、調子が悪かったとわかり入院することになった。




