第3話
続きです。
そろそろ毎日書き続けることも難しくなってきましたが頑張りたいと思います。
支給品が配り終わると、五人の教員が壇上に上がり、説明を始めた。
「各自支給品は受け取ったか?もし、これから説明をしていく中で何か不足しているものがあったら我々教員に申し出てくれ。それは私たちの不手際になるからな。」
鮫島先生が初めに全体にそう告げた。
「まずは、君たちも気になっているだろう端末について説明をしよう。月宮先生よろしくお願いします。」
月宮先生と呼ばれた女教員が一歩前に出て俺たちに説明を開始した。
「私からは端末について説明する。その前に、先ほど2組の面々には挨拶をしたが全体にも同様の自己紹介をしておく。私は月宮 楓だ。この学年の国語科目を担当している。よろしく頼む。さて、それでは本題に入ろう。この端末はほぼスマホと同様の機能があると思ってもらって構わない。ほぼ、というのは一部の機能に制限がかかっているからだ。君たちも知っての通り、この学園は秘匿されている事項が多い。それはこの端末で外部サイトを閲覧することは可能でも発信することを制限されているからだ。君たちの先輩には何とかしてその制限を超えて発信しようとする馬鹿がいたが、もちろんこちらが気付いて罰を与えた。普段はこちらから端末の情報を見たりすることはないが、端末が異常なプログラムを確認した時や不審な行動をしているときは警告がこちらに届いて何をしていたか調べることができる。ルールを犯すことがなければ確認することはないから普通に利用していてくれ、はっきり言ってしまえば、余計な仕事はさせないでくれると助かるのでな。話が脱線したな、説明の続きに戻る。この端末は生徒手帳としても扱うもので、それぞれの成績や学園からの連絡事項を受け取るものにもなっている。各自連絡事項はないか自分で確認するようにしてくれ。そして、ここから重要なことについて伝える。その端末の生徒手帳についてだが、個人の口座にもなっている。そこに毎月1日にポイントが振り込まれることになっている。こちらで管理をしているが基本的に不正なやり取りがない限りは関与しないからな、気を付けたまえ。ポイントについては他の先生から説明する。何か、ここまでの説明でこの端末について質問のある人はいるか?言い忘れていたが、故障したときや紛失したときはすぐに知らせてくれ。こちらもすぐに対応することになっている。一定のポイントはかかるが端末が無いと物も買えないし施設に入ることもできなくなってしまうからな。」
端末については質問がないようだった。使っていけばそのうちわかるだろうから今は特に思いつかないのかもしれないな。
「特にないようだな。ならばこちらの説明が一通り終わったら好きに使ってくれ。個人情報が端末に入っているから何か変更があれば自分で更新しておいてくれ。以上だ。」
月宮先生による端末の説明が終わった。
「続いてはポイントについて説明します~」
かなりおっとりとしてゆっくりとした声で説明を開始しようとするのは、眼鏡をかけた女教員だった。
「私は、笹崎 蓮華って言います。担当は~、理科系の科目です。こちらは他の先生も受け持つから、私以外の先生教わるクラスもあると思いますが、よろしくお願いします~。堅苦しいのは苦手なので~、仲良くフレンドリーに接してくれると嬉しいです。ただし、ちゃんと節度ある関係でよろしくね~。」
間延びした口調で独特な教師もいるんだなと思った反面、ゆっくりと話すので時間がかかりそうだとも感じた。
「それでは、他の先生方がにらんでくるのでまじめにポイントについて説明します。ポイントはこの島では生徒たちの通貨になっていて、大きく分類すると二種類あります。一つがパーソナルポイント(Personal Point)、PPと略される個人ポイントです。はっきり言ってしまえば個人資産なのでお小遣いみたいなものですね。もう一つは、この学園での制度にかかわる大事なポイント、バディポイント(Buddy Point)通称BPですね。制度についてはまた別な先生から説明がありますので、いったんポイントについてのみ説明しますね。このポイントはバディの人との共有財産です。ですのですべて自由にとはいきませんが、皆さんが持つ財産の一つになります。価値についてはBPがPPの十倍、千円札と一万円札の違いと同様に考えてくださいね。それと、なんでもBPで買われると困りますので、場所によってはPPのみの場所もあるので確認してくださいね。そんなBPの獲得方法ですけど、方法は多岐にわたるのでここでは言えないことになってます。一つだけ教えると、バディの人がいないともらえないということです。ポイント目的で相棒を選んでほしくないので、良いパートナーを選んでくださいね。あ、ポイントについてですがうっかりしていました。皆さんにはすでに入学祝として十万ポイントが入っていますのでうまく活用してくださいね。私からは以上です。」
間延びした話し方は素で、まじめに話すこともできるのだ、とどうでもいいことを最初は考えたが、ポイントについては重要な話だった。言葉を選んでいるのか多くの説明はなかったが、俺たちの資産となるのだからどう使っていくか考えないといけないようだ。それにバディポイントか。相棒システム、学園の名称にも入っていて政府の対策として作られた学園だ。聞いていると誰かを相棒とするだけの制度ではなさそうだ。
鮫島先生とは別な男性教員が一歩前に出て全体を見回すと、
「まずは自己紹介だ。この学年の保険・体育を担当している大熊 元治だ。よろしくな。それでは、制度について説明をするぞ。この学園が作られた目的にもなっていて君たちの未来にもかかわる制度だと考えて聞いてほしい。まず、この制度は“相棒制度”という。これは男女の婚姻の意識の低さを改善しようとする目的で考えられた。ネットのうわさで類似したことが書かれていて、君たちも、もしかしたらと考えていた者がいるかもしれないな。噂なだけに否定することも削除を依頼することもできず学園側は放置していたことだ。余計なことをして学園の内部についての情報を外部に漏らすわけにはいかないからな。話を戻すぞ。普段から共に過ごすことでお互いをより意識させようとした目的があるが、私たちは必ず相棒を作れとは強制しないつもりだ。特定の試験では相棒がいない者同士で強制的に一時的に組ませることがあることは頭に入れておいてほしい。相棒制度の申請についてだが、学務課で時間内ならいつでも受け付けるから一緒に来て申請しにきてくれ。相棒とは言っているが、1人だけしか作れないわけではない。これも法律が変わったからな、そこに対応させたわけだ。申請は相棒となる者と本人で来ないと受け付けないことになっている。無理矢理組むことがないようにしてくれ、過去にもそういう連中がいて問題になったからな。相棒となった者とは共同で生活することになっている。そこで相棒ポイントも関わってくる。一人暮らしをしているだけならばどこの部屋でもプライベート空間は確保できるが、同じ一人暮らし用の部屋では共同生活をしてもらうのにプライベートを皆無にしてしまうかもしれないからな、広めの複数の部屋がある建物を借りてもらうことになる。シェアハウスをイメージしてくれると分かりやすいかもしれないな。そしてその建物だが、当然家賃も大きさによってさまざまだ。そこでBPの出番というわけだ。BPはPPよりも価値があるからな、家賃や生活費については組んだ者のBPから捻出してほしい。もちろんPPでも払えなくはないが、かなり厳しいぞ。個人のことはPPを使い、共同のためならばBPを使ってくれることが理想だ。笹崎先生はポイントの使い道を説明しなかったが、家賃はPP又は、BPを使う。建物や部屋によってそれぞれ適当な額が設定されている。もちろん無料の部屋も貸し出しているからどこの部屋、家屋に住みたいかは各自で申請してくれ。空いていればそこに住むことができるようになっている。金欠で家賃が払えないとかがあっても問題だからな、ポイントの管理は徹底してくれよ。このオリエンテーリングではそういった自分たちが住みたい場所も探すようにな。もちろんポイントに関わることでもあるし、今すぐ探す必要はないし、ずっと無料の部屋でも構わないぞ。制度の話に戻るが、重要なこととして連帯責任となる場面もあるからな、注意してくれ。お互いを意識させることが目的だからな、何でも自分勝手で済まないようになってしまうこともあるということだ。相棒制度についてある程度説明したが、全てを説明しきったわけではない。概要だけを話したに過ぎない。よく考えて相棒を決めるようにしてくれ。何か質問があるものはいるか?」
「すみません、質問してもいいですか?」
1人の女生徒が質問をした
「どうした?」
「はい、えっと、組むのは同姓ではダメなんですか?それと、いつでも自由に相棒になったり解消してもいいのですか?」
「いい質問だな。同姓でもいいことにはなっているが、多くを話せないがメリットとデメリットがあると考えてくれ。この学園はあくまで男女で共に過ごして意識し合ってもらうことを前提に置いてある。もちろん健全な関係でな。だから、友人同士で制度を利用して、同姓の者同士で組んで受けてしまうデメリットには関与しないつもりだ。解消についてだが、これも一緒に申請に来てくれればいつでもできる。ただし、相棒になってから、解消してから一週間は違う者と組むことは原則としては認められない。この一週間以内であれば解消しても取消書を学務課に提出してくれれば解消しなかったことにもできるからな。解消するとBPは失効してしまうから、その点は気を付けてほしい。これでいいだろうか?」
「はい、わかりました、ありがとうございます。」
「他に何か、質問がある者はいるか?」
全体を見渡して誰も質問をする者がいないことを確認すると大熊先生も下がった。
続いての先生からは、各クラスに配布されたオリエンテーションのスタンプの在処について書かれた紙について説明があった。
今回もお読みいただきありがとうございました。
次話から試験を開始することができると思います。
次話も読んでいただけると嬉しいです。