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突然だけど、王族について話したいと思う。
この国は一応名義として国の頂点を作っていて、それは出生順で第一子が王となる。
しかし、国の方針などでは王1人の意見では強制はなく、臣下に力を発するためには王族全体の意見が一致し初めて臣下の意見を破棄できる。
その為、誰でも国の代表となれるように王族すべてに王になる為の教育がされるのだ。
件の話で私はお父様1人の裁量であったが、この義務を放棄できたことになる。
王族からしたら、王になれない王族を持ち、扱いづらい物件に私はなってしまったのだ。
けど、私には興味のない勉強やお茶会交流は向いてないのだ。
後は現在2才のエヴァンと、まだまだ若いお父様お母様に次の子を頑張ってもらうしかあるまい。
そう結論付いた私は早速エヴァンの元へ向かうのだった。
「エヴァン!!」
バーン!と音が鳴るほど強く扉を開き声をかけた私に、満面の笑顔をみせ走り寄ってきたエヴァンをギュッと抱き締めた。
「ねぇさま!あそびにきてくれたの?うれしー」
聞いてわかる通り弟のエヴァンは2才にして流暢に話すことができるのだ。そう、私は3才…いや、4才近くと言っても過言ではないくらいにしか話せなかったのに…。脳内で涙を流しながらも、可愛い弟を撫でた。
私は、リクの話を聞いたのとお父様から王失格の烙印をもらってから決めたのだ!
匂いは仕方がない!しかし、可愛い弟が小さい頃ならまだしも大きくなってからも中年のような体型になるのが我慢ならなかった。
なので、私はエヴァンをシャープな細マッチョにしようと決意した…!!!
現在エヴァンは私と同じ漆黒の髪に紫の瞳、パッチリ二重で小さな唇。頬はぷにぷにで少し赤くなっており、まるで天使の様に可愛く、将来ぽっちゃりにならなければ、アイドルになれそうな容姿だ。
因みに私は同じく漆黒の髪を腰まで伸ばし紫の瞳はパッチリ二重、体型は幼児体型から脱することができずにぽっちゃりのままだ。
何故痩せなかった!そう思ったあなた!
…私も痩せたかった…いや、せめて前世標準体型になりたかった。しかし無情にも、この体と周りが許してくれなかった。
食事はフルコース並みに毎食出て来て、勉強の合間の休憩では毎回、お茶と茶菓子が出て来て…食べなければ心配され医者を呼ばれ、じゃあ運動だ!と唯一、1人自由に動ける就寝前に運動しようとするも疲れた体は言うことを聞かず、いつの間にか目を閉じ開けると布団に入って朝日を浴びていた。
布団に入った覚えがなく、毎日誰かが布団まで運んでくれているようだ。
侍女に聞いても騎士に聞いても誰も部屋に入ってないと聞き、誰が私を運んでいるか疑問ではあるが特に害はないので気にしていない。
唯一の運動と言えばダンスだが、食べる量に比べれば微々たる運動量で効果は期待できない。
私は切々と訴え、やっとフルコースから半分の量程度にはなった。しかし如何せん運動できなかった私はぽっちゃりになってしまったのだ。
だが、私は勝ち取ったのだ!自由を!今日からお茶会がなくなり自由時間が増える。食べなければ心配されるため、食べなければいけないが、この自由時間で今後視察と運動をしようと思った。
「エヴァン、私と一緒に立派な(細い体型の)王族になりましょうね。」
「うん!エヴァはねぇさまと、りっぱなおうぞくになります!」
真剣な眼差しで言った私を笑顔で見つめ返し答えたエヴァンと今日はひとまず遊ぶのだった。