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シリアスです。
僕には工房を切り盛りしている格好いい父さんと父さんを支えるとても優しい母さんがいた。
美男美女からどうして僕みたいな子どもが産まれたのかと村の人たちは影で言っていたが父さんも母さんも優しくて、僕はのほほんと両親の優しさに甘えていた。
そんな優しい世界で生きていた僕が10才になり、教会で儀式をすると影で言っていた人たちが堂々と両親の前でも僕の事をいろいろ言ってくるようになった。それでも優しい両親は僕を愛してくれて優しかった。それが崩れたのは僕が12才になる少し前の時だ。
母さんと二人で森に入り木の実や薬草を採集していると僕は気付かないうちに何かを踏んだのだ。気付かないまま一生懸命採集していた僕は急に母さんから手を引かれ地面に転がった。何故母さんが急に手を引いたのか、引かれた時に地面で強打した痛みで顔を上げるのが遅くなり涙目で振り向くと母さんが血を流していた。僕は訳がわからず混乱しながらも母さんの所へ駆け寄ろうとし気付いたのだ。母さんの傍らで口から血を滴らせ獰猛に唸る狼に。母さんが狼に噛まれたと知った恐怖と混乱で頭が真っ白になった。
それからの事は覚えてないが気がつくと僕は母さんの傍らで倒れており狼は周りに居なかった。急いで近寄ると血は止まっていて息もしていた母さんに一生懸命呼び掛けた。何度か呼び掛けると目を覚ました母さんに安堵したが母さんの顔は悲しげで僕に父さんを呼んでくるように言った。母さんを置いて行くのは心配だったが母さんが言うとおりに僕は父さんを急いで呼んできた。
母さんが狼に噛まれた事を伝えた父さんの顔は真っ青だった。急いで母さんの元へ父さんと駆けつけたら母さんは父さんに「ごめんなさい。」と呟いた。父さんは声をあげ涙を流した。父さんが涙を流しているのなんて初めて見て母さんの顔も悲しげで不安になったが話しかけれる雰囲気ではなく不安を抱えたまま三人で帰路に着いた。家に着いた僕は急いで村唯一の薬師のおばあちゃんの所へ駆け込み、おばあちゃんに母さんを見てくれと頼んだが狼に噛まれた事を伝えるとおばあちゃんは自分にできることはないと言い傷薬を僕にくれた。傷薬を手に急いで母さんの元へ行き僕は母さんの傷口に薬を塗ろうとしたけれど傷口に触れてはいけないと強く母さんに言われ僕は母さんに薬を塗ることもできなかった。
10日くらい経つと傷も良くなり母さんも元気になって僕はホッとしたのに父さんは難しい顔をしたままだった。
母さんが狼に噛まれてから1ヶ月経つ頃に母さんは体調を崩した。高熱を出し急に暴れたり、コップに水を渡すと振り払われたりした。そして狼に噛まれた所が痛い痛いと言うのだ。
父さんでも手がつけられない程暴れるようになった母さんは父さんを噛もうとしたりし話もできなくなった。そんな母さんに父さんは泣きながら猿轡を付けベッドへくくりつけ母さんを動けない様にした。
僕は怖くなった。あんなに優しかった母さんが人が変わったようになり、母さんを愛していた父さんが母さんに酷いことをしているのだ。怖くなった僕は、それから母さんの部屋に近づくことができなくなり自分の部屋に閉じ籠った。
あれから何日閉じ籠ってたか記憶にないが急に母さんに会いたくなり僕は急いで母さんの部屋に駆け込んだ。部屋に入るとピクリとも動かず、まるで眠っているかのように穏やかな顔をした母さんと傍らでやつれた顔をし呆然と佇む父さんがいた。
あんなに安らかな顔をした母さんを見るのは久しぶりで、馬鹿な僕は優しい母さんに戻ってくれたんだと喜び「母さん」と笑顔で呼びながら駆け寄った。そんな僕を父さんは憎悪の籠った目で見ていたが僕は気付かずに母さんに触れると氷の様に冷たかった。何度呼んでも目を覚まさず冷たいままの母さんを見て僕はやっと母さんが亡くなっていることに気付いた。
それからどうしたのか記憶にないが気付くと母さんはお墓の中で、涙を流す村人たちは小さな声で「神様に愛されてない子どもを育てるから」と言いながら去って行った。僕は父さんと二人になった。母さんが居ない家はとても静かで、母さんがいなくなり父さんも変わってしまった。あんなに優しかった父さんが「お前のせいで」と泣きながら僕を叩く様になったんだ。
後から知ったが森の動物に噛まれると、まるで犬のようになり死ぬと言われているそうだ。森では動物には気を付けろと幼い頃より言われていたのは、そうゆう理由があったのだ。そうとは知らず母さんに誉めてもらおうと周りを気にせず狼を踏んでしまい怒らせ噛まれそうになって母さんに助けてもらい、僕は母さんを死なせてしまった。
僕のせいで母さんが死んでしまい僕を見ると、とても怖い顔で怒鳴り付け叩いてくる父さんと僕たちに関わろうとせず陰口を言う村人たち。
あんなに優しかった父さんが僕のせいで変わってしまった。けれど物陰から見ていると父さんは僕が居ない時は優しいままの父さんだった。僕はここに居てはいけないんだと思ったが村人には神様から愛されていないと遠巻きにされ、父さんには憎悪の目で見られる。まだ成人していない僕は家を出ることを許されず村人にも相談できる人はいなかった。僕はなるべく皆の目に留まらないように生活するようになった。
そんな日々を過ごして僕も13才になったある日、村で唯一僕に話しかけてくるリリがとても可愛い女の子を連れてきた。その子は僕を見ても嫌悪せず可愛らしく遊ぼうと言ってきた。こんなに可愛い子を見たのも初めてでドキドキしたが同時に僕と居たら、この子まで神様に愛されていない者と扱われてしまうのではと思い僕に近づいてはいけないと伝えたが聞いてもらえず夜に宿屋に来てと言われた。
心臓がドキドキしてソワソワと落ち着かないまま約束の時間が近づいてきた。本当は夜に出歩いてはいけないが彼女が僕が来るのを待っていると思うと気になって仕方がなく意を決して出かけることにした。けどタイミングが悪かったんだ。たまたま父さんと出くわして出かけることが出来なくなってしまった。
捕捉ですが狼を追い払ったのは金属性精霊です。
長くなったので分けることにしました。続きも早めに投稿したいと思ってますm(__)m




