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遅くなりました!

夜、皆が寝静まった頃。

私は金属性精霊に会いに出て行こう部屋のドアを開けると目の前に壁があった。首を捻っていると壁から声がした。


「マリーン姫様、どうなされましたか?」


壁から声がする事に驚きで数歩後退ると壁ではなく人だった。

更に後ろに下がり全体が見えてくると、そこには、お相撲さんがいた。2メートルくらいあるのではなかろうか、あまりに大きく、もっと下がらないと顔が分からず、彼がどのような表情をしているのかも分からないが、部屋を抜け出そうとした後ろめたさと大きすぎる人が目の前に立つ威圧感で私は言葉に詰まって返事をすることができなかった。


「俺っち、大きいですから小さな姫様には怖いですよね?」


そう言うと屈んで再度どうしたのかと問うてきた。屈んだ事により顔が見えると眉を下げ困ったように笑う騎士がいた。優しそうな顔を見て安心した私が咄嗟に答えたのは喉が乾いて、と言うどうでも良い答えだった。侍女を呼ぼうとする騎士に私は慌てて断り再度部屋へ戻った。


「そうだった。私姫だったわ。」


前世の記憶が色濃く残る私は自分の事を人にされることに慣れず意思疏通ができるようになると必要最低限の人数まで減らし日々を暮らしていた。しかも早寝早起きの生活だった私は、まさかドア前で警護をしてる人が居るとは思わず今初めて知ったのだ。


「昼間は必ず誰かが着いてくるし、1人で行動するとなると今しかないのだけど…どうしよう。」


周りを見渡しながら考えていると、目の端にリクとアクアが魔法で作っウォーターベッドに乗りフワフワ浮きながら眠っているのが見えた。

そう。アクアと出会った時に私が乗ったアクアの水魔法とリクの風魔法が合わさったウォーターベッドだ。

あれに乗って、窓から地上まで下ろしてもらえばっ!と部屋からの脱出方法を思い付いた私は急いでリクとアクアを起こした。


「リク!アクア!御願いがあるの!起きて!!」


外に聞こえないように小声で懸命に起こすも中々起きてきてくれず、焦れた私は小さな水を生み出し2人の顔の上まで持って行きおとした。


『ぶはっ!何するんだよー!』


『きゃっ!ん?なんだ水じゃない。』


二人の可愛い反応を見て、長く見ていたくなるも目的を思いだし声かけた。


『ごめんね、二人とも。金属性精霊の所に行きたいんだけどドアには護衛が居て、外に出たくても出れないの。そのウォーターベッドで私を外の地面まで下ろしてくれない?』


『俺はいいけど、マリーンは怖くて乗れないだろ?』


『そうよ、あなた私と会った時に落ちてきて、それから高い所とかダメじゃない』


そうなのだ。私は王城の自室から落ちてから高所恐怖症なのだ。特に窓から身を乗り出すとか恐怖で足が竦んで座り込んでしまう。


『うっ…けど、会うには今しかないし約束したから…』


リクとアクアは、お互い目を合わせ、その後呆れた顔で私を見てため息を吐いた。精霊のくせに、なんだか人間くさくなってきたなっと思っているとふたりがウォーターベッドを作り出してくれた。


『ありがとう!』


久しぶりのフワフワ感が気持ちよく感触を楽しんでいると、少しずつ窓に近付いているのに気付き頭では大丈夫だと分かっていても、体はどんどん変な力が入っていき硬直していった。


『ねぇ、リク。マリーンは大丈夫なのかしら?』


『んん~…どうだろうね?僕たちと意思疏通できたのってマリーンが初めてだからね。人間の気持ちなんて分からないよ。ただ、マリーンに名前をつけられてからはマリーンの感情なら少し感じることができるようになった。今は恐怖が一番強い感情かな?』


『そうなの?私も名付けからマリーンの感情はなんとなく分かるけど、なんとなく嫌なのかな?とか嬉しいのかな?くらいしか分からないわ。』


リクとマリーンが何か話してるのは分かるが私は目の前に迫る窓に目が釘付けになり恐怖で頭が真っ白になっていた。


『とりあえず窓の外まで出してみようか?』


『ん~?マリーン顔が青白いわよ?大丈夫?』


ゆっくり進んで行くウォーターベッドが窓の外へ出るまでは記憶にあるが、その後、私の意識はプツッとなくなった。

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