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彼女は水属性の精霊でリクから、自分に名前をつけたり人間が喜ぶ匂いを発する赤ちゃん精霊を追い払ってくれと言ったりする、魔力は極上な変な人間が居るって話を聞いて興味本位で来たらしい。
「そう言えば、リクのことって全然知らない。」
自分は特別だ。凄いんだ。と、よく自慢するがリクの友達や普段何をしているのかなど全然知らなかった。落ち込んでいると
『だから、私にも名前つけてもらおうと来たら窓から落ちてきてるじゃない?リクは必死に浮かせようとしたみたいだけど、間に合いそうにないから私も水を出したのよ』
「あの、助けてくれてありがとう。」
サバサバと話す青色精霊にお礼を言い終わると安心したからか、先ほどの恐怖が蘇ってきた。震える手をギュッと握り目を閉じて大丈夫だと心の中で何度か唱えた。
『人間って飛べないし不便ね。魔力の使い方教えてあげましょうか?飛べるようになるかも知れないわよ。』
『ダメだよ!精霊王さまに無断で!力を貸していいのは魔力の使い方がわかっていない、あの子たちだけだよ!』
『けど[緑の]だって、この子が気に入ってるなら魔力の使い方教えてあげたいでしょう?人間はすぐ死んじゃうから使い方教えれば死ににくくなるんじゃない?』
『む~、確かにマリーンの魔力は美味しいし僕の力も強くなったけど…。む~…。精霊王さまに聞いてくる!
あと、[青の]!僕の名前はリクだからねぇーーーー!』
『あっ!ちょっと待ちなさい!今[緑の]が居なくなったら彼女が!!戻ってきなさーい!』
2精霊の言い合いを聞いている内に震えも止まりボーッと観察しているとリクがどこかへ飛んで行き、焦った青色精霊が叫んでる途中で私の体は沈んで濡れていた。
『あ~…ごめんなさいね。リクが居なくなったから水を囲む空気の膜がなくなって濡れちゃったわね。』
リクが居た時は空中に浮かんだ水の上に座っている状態だったがリクが居なくなったとたんに体が少しずつ沈んで今は深めのお風呂に立っているような状態だ。中身はお湯じゃなくて水なんだけど。
「うぅん。リクと青色精霊さんが居なかったら私死んじゃってたかもしれないから。濡れるくらい大丈夫だよ。」
大丈夫だと言ったが夜に、しかも外で水風呂に入っている状態だ。ぶっちゃけ寒い。先ほどとは違う体の震えを自覚していると。
『人間って本当に弱いわね。はいっ』
私が入っている水風呂に呆れたように青色精霊が手をかざすと水からお湯へ徐々に温まってきた。
「何から何まで、ありがとう!」
『あと、青色精霊じゃなくて私にも名前をちょうだい。』
「…アクア。アクアって名前どうかな?名前なんてリクしかつけたことないから良いかわかんないけど、あなたは海のように緑がかったきれいな色をしてるから海って字と空みたいに天真爛漫みたいだから空って字を繋げて海空でアクア!どうかな?」
『ふふっ、海空…アクアね!ありがとう。私は今からアクア!あなたの名前は?』
『私の名前はマリーンだよ。』
『うふふっ!マリーン。私もあなたを気に入っちゃった。これからも宜しくね。
一先ずリクが帰ってくるまで時間があるから部屋に戻っちゃいましょう。』
そう言うと、水と一緒に私も移動し開けたままの窓まできて、そのまま部屋まで入った。
『部屋が濡れる心配はないわ。』
アクアの言葉と共に私の周りにあった水はなくなり地面に足がついた。アクアが言ったように部屋が濡れることも足をついた私はびしょ濡れにもなっていなかった。ただし服はバリバリ、髪の毛はバサバサになっていた。
『これでも水属性の精霊だから水を抜くのは簡単よ。けど本当に抜くだけだから、ふわふわにはならないの。』
申し訳なさそうに言うアクアの話を聞いているとリクの元気のいい声が響いた。
『ただいまー!!聞いてきたよ!
なんか、僕たちの声を聞ける人間は聞いたことがないとか、なんとか色々言ってたけど、教えても出来ないだろうから教えてもいいって!良かったね。マリーン。』
「うっ、うん。」
色んなことがあって、疲れていた私はリクからの言葉を理解せずに返事をし安堵のためか急な睡魔に襲われた。ふらふらしながら布団まで行き好きなだけ魔力を食べてていいことを伝え横になった。
「リク、アクア、おやすみ。」
『アクア?』
『ふふんっ、そうよ私にも名前ができたの』
リクの不思議そうな呟きとアクアの自慢げな言葉を聞きながら私は眠りに落ちた。
朝、私の髪と服を見たアニータの叫びと駆けつけた騎士たちに見られたバサバサの髪と格好は記憶に蓋をし仕舞い込み、私はリクの言葉を思い出していた。
「嘘、私も精霊が使っている魔法使えるかもしれないの?もし使えたら色んな物が作れるかもしれない…!!」
喜びを噛み締めながら私はアニータのお説教を聞いていたのだった。
頭の中ではストーリー浮かぶのに文章にするのが苦手で時間かかってます。
更新遅くなるかもしれませんが、頑張ります。