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夢みる少女
小さな漁村水穂村に大きな夢を抱いている一人の少女がいた。その少女は白いワンピースに身を包み、少女には少し大きいであろう麦わら帽子を潮風で飛ばされぬよう深々と被っていた。
「今日も海は穏やかでよろし!」
そう言って海岸沿いの砂浜をひたひたと裸足で歩きながらこれから漁にでも出るかのように元気よく水平線へと敬礼していた。
彼女の名は水織麗奈。この水穂村で唯一の私立高校「私立水穂女学院高等学校(以下、水女)」の生徒である。
水女は水穂村の象徴である聖アリエス教会の次に有名な建造物である。その水女に通う少女達の多くは都や他の村から漁師を目指して訪れている。
水織麗奈はその中でも数少ない水穂村出身の地元民である。彼女は地元民として意地でも叶えたい夢があった。
彼女はその夢を叶えるべく高校生活最後の夏に夢を掴めるかもしれない期待と同時に不安で胸がいっぱいだった。




