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私、酸素拾います!  作者: メケ
サイモンの章・その4
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第六話 いざ、内部へ

 俺たちはシェルターに近づいていくと、その様子が徐々にくっきり見えてきた。

 シェルターの外部連絡室は、その一部が地上に露出しているが、どこにも破損は見えない。


 おそらく通信が取れなくなったのはエイリアンのせいではない。内部で何かが起きたのだろう。

 俺たちのシェルターで言えば外部行動員専用の入り口から俺たちは中に潜入する事にした。


「ジェシカ、この入り口ってカードキーがないと開かないよな。奴隷ちゃんはこの中にいないんじゃないか?」

「サイモンくん、こっちに来てくれ。非常階段が子供なら通れそうなほど開いてるよ」

 博士の言葉を聞いて、俺は非常階段の方に向かった。

 確かに扉が開いている。


 この扉の先は外部行動員のサバイバルウェアやバトルアックスなどを修理するための武器庫アーセナルに繋がっている。ここから入れるだろうか。

 扉に力を入れてみたが、扉が歪んで開かなくなっている。


 奴隷ちゃんなら入れそうなほどの隙間が空くが、俺たちは通れそうが無い。

 奴隷ちゃんはここから入っていったのだろうか。


 この扉は緊急用であり、開けるのは容易い。

 だがその代わり警備が十分にされている。

 だが、人の気配がしない。

 生唾を飲んで俺は覚悟を決めた。

 このシェルター、かなりやばいんじゃないか?


「通常の扉から入っていきましょう。同盟シェルターなので、私たちのシェルター専用のパスワードがあります。カードキーがなくても開きますよ」

「そうか。じゃあ頼む」

 ジェシカの指示に従って俺は外部行動員がいつも使う方の入り口に向かった。


「パスワードを打たないと」

 ジェシカは急いでコードを機械に打ち込んでいる。


 俺たちのシェルターの周囲は掃除屋スイーパーと呼ばれる外部行動員たちが定期的にエイリアンたちを倒している。

 また、シェルター自体が近場のエイリアンを探知しているので、その情報をもとにシェルター近辺の安全性を確認できる。

 なので、いつもなら余裕を持ってパスワードの入力が出来るが、ここは人気ひとけのないシェルターだ。

 いつエイリアンに襲われるか分からない。ジェシカには迅速なパスワードの入力が求められる。


「あれ、おかしいですね?」

 ジェシカは機械に手間取っているようだ。

 本来なら手早く行って貰いたいのだが、一体どうしたんだ。


「ジェシカ、早くしろ」

「サイモンくん、焦らせちゃダメだ」

 ラッシュフォード博士は俺を制止してきた。

 俺たちの命に関わっているのに焦らせちゃダメとは博士も呑気なもんだ。

 だが焦らせても意味がないのは理に適っている。あまり急かすとジェシカはキレそうだ。


「そうだな博士」

 不本意ながら俺は適当に相槌を打って、荒野を見渡した。

 星明かりの下、視界の中にエイリアンの陰を納めた。

 ジェシカはアヌビスのエンジンを切ったようだが、まだアヌビスはうっすらと発光している。

 星明かりだけが頼りの薄暗い世界ではアヌビスの発光は目立ち、エイリアンどもにいつ気付かれてもおかしくはない。

 俺はいつでもバトルアックスが起動できるように構えていた。


「あ、レベッカ。どうしても開かなくて……うん。そうそう。いやぁ、きっとパスワードが変えられちゃったんだよ。うん……そうそう……お願いしま~す」

「どうしたジェシカ?」

「サイモンさん、安心してください。レベッカがハッキングで遠隔解錠してくれるみたいです。彼女はとても優秀ですから」

外部委託がいぶいたくかよ、マジで笑えねえ。レベッカ少佐と連絡が付かなかったらどうするつもりだったんだ」

「やだなあ、サイモンさん。何のためにアヌビスがあると思ってるんですか?」

「まさか……」

「アヌビスは最高のマスターキーですよ。開かなきゃ爪で一発ですよ!」


 アヌビスの爪で開けたとして、内部に入った後の扉はどうするって言うんだ。

 ため息をつくと、自分の持っているバトルアックスが異様に重く感じた。

 はっ、まさか俺のバトルアックスでこじ開けるつもりだったのか。可能性は十分にあり得る。勇気隊長もバトルアックスでアヌビスを倒したし、俺もこの武器の強度と威力には全幅ぜんぷくの信頼を置いている。


「サイモンさん、もし中に入ってからレベッカと通信が出来なくなったらサイモンさんの出番ですよ。その立派な斧で、どかん、どかん、どか~ん」

 ジェシカはおちょくってるのか、素振りをするように、両腕をぶんぶん振り回している。非常に腹立たしい。


「さ、みなさん。このシェルターに接近しても通信の一つも送られないので、このシェルターは致命的な状況に陥ってます。中に鬼が居るか、蛇が居るかは分かりませんが注意しましょう」

 ジェシカが注意を促していると、頑丈な扉がゆっくりと開き始めた。


「あ、レベッカ……うん、開いたよ。ありがとう」

 ジェシカはレベッカにお礼を言った後、銃を構えながら薄暗い外部連絡室に入っていく。

 昇降機に誰か乗って居ないか確認しているのだろう。


「クリアです。行きましょう」

 俺たちは外部連絡室の巨大昇降機に乗った。


「じゃあ行くぞお前ら。心の準備は良いな?」

 みんなの同意を得てから俺はレバーを引いた。


 昇降機を手動で稼働させて、俺たちは階下に降り始めた。

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