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蛇足1 呪い (本編エピローグ付近の蛇足エピソード)

(本編エピローグ付近で起こっていた出来事)


□□□ 閻魔女王の記憶から □□□


 閻魔女王は別邸の地下深くにある施設に来ていた。


 ここは未知の被害を最小限に抑え込むために特別に作らせた頑丈な施設で、厳重な警備体制が敷かれている。

 その中にさらに防備が強化された独房があり、そこにはあ奴が収監されていた。


 看守に扉を開けさせ中に入る。


「入るぞ!」


 アニオタ神ウエヤーマンはソファーでくつろぎながらアニメを観ていたが、こちらを見て立ち上がる。

「お〜、グランちゃん! いらっしゃい」


「だから、その呼び方は……。フン、まぁ良い。それより吉報だ。千造たちが最初の閻魔法廷を成功させたぞ」

「おぉ〜、やはりそうでしたか! 良き良き……」

「やはり知っておったか……。まぁ、それは当然か」

「ハハハ、そういう事です」


「それで、身体のほうは大丈夫なのか?」

「ほれ、見てくだされ。この通りピンピンしておりますわい!」

そう言って、ウエヤーマンはラジオ体操のような動きをして見せる。


「そ、そうか……。それなら良いのだが……」


 ここでおもむろにウエヤーマンが自分の上着を脱ぎ始めた。


「お、おいコラッ! な、何を……」


 そして上半身をあらわにする。


「わー! 早く服を着んか!」


「ほれ、見てくだされ。ここじゃよ……」

 そう言って彼は自分の胸の真ん中あたりを指差した。


 閻魔女王は渋々その胸の辺りに目を向ける。


 そこには小指程度の大きさの黒いアザが縦に二つ刻まれていた。

「こ、これが例の呪いの刻印か……」


 閻魔女王の脳裏にウエヤーマンとの過去のやり取りが浮かぶ。



 ***



 それは、ウエヤーマンが今回の計画の説明をする為、初めて閻魔女王の元を訪れた時の事であった。


 一通りの説明を聞いた閻魔女王は、ほぼ即決で協力する事を承諾した。


「……お、おぉ〜! そ、そうですか、ご協力いただけるか! 有り難う! 有り難うグランちゃん!」


「だからその呼び方は……。まぁ良い。しかしウエヤーマンよ、問題はその『呪い』の部分だ」


「左様。わしもこの未知なる呪いがどのようなモノなのか全く見当がつかん」


「現世にて閻魔法廷を開き、罪人に刑罰を与えて罪を償わせるからには、その恩恵として魂を浄化し現世に戻す必要がある。そして魂の浄化の為には元の悪意と刑罰時の記憶などを抜き去らねばならぬ。その際、悪意と記憶を抜き去る道具に呪いが生じ、その道具の所有者に呪いが集まる……」


「ふむ……。まぁ言い出しっぺのワシが責任を取らねばなるまいのぉ」


「しかし、それがオヌシの身を滅ぼすかもしれぬのだぞ!」


「仕方あるまいて……。神の掟を破って現世に関わり、人間から悪意——つまり『毒』——を抜いてやるからには、その毒を誰かが引き受けにゃならん。代償ってヤツじゃ」


「うむ……、しかし、しかしだ……。……何か他に良い手はないのか、何か……」


「ハハハ! 閻魔女王様でさえ知らぬ(いにしえ)の呪いじゃ。ジタバタしてもしょーがないて。……覚悟はできておるよ」


「ウムム……」


「でも、ありがとうのぉ、この身を心配してくれて」


「バカ、そういう意味じゃなくだな——」


「ハハハ、こりゃあ、カッコつけた甲斐があったのォ〜。もうこれで思い残す事は無い!」


「コラ、調子に乗るな!」


「ハーッハッハッハッハッハー……」



 ***



 過去のそんなやり取りを閻魔女王は思い返していた。


 それを察したようにウエヤーマンが話し始める。

「大丈夫じゃよ、ちゃんと考えはある」


「な、何! ほ、本当か!?」


「勿論じゃ。実はのう……」



——————

( 蛇足1 『呪い』 おわり)

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