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貞操逆転世界でモン娘たちにセクハラしたい  作者: 三峯汀


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第53話 イプノちゃんは見た!

「はあ、はぁ、…どこに行ったんだ?」


どこかへ行ってしまったベラを探すために校内を走り続けて10分くらい。いまだに見つかっていない。


「女子トイレに入っちゃったかなぁ、そうなるとどうしようもないな」


残念ながら(?)僕は男子である。立派な男の子である。

そんな男の子が女子トイレに入るのは、あまり褒められる行為ではないことはみんなも知っての通りである。むしろ普通に糾弾される行為であることは間違いない。


《《元の世界ではね》》。


ここは、貞操が逆転した世界!


元の世界でも、いただろう、ほら、なんかギャルたちがふざけて男子トイレとかに入っちゃうやつ!


それで中の陽キャな男子がニヤニヤしながら、オイー見るなよー、とか言ってるやつ!


それでギャルが、男子トイレくっさー、とか言ってるやつ!


…あったけ?そんなこと。


もしかしたら漫画の読みすぎかもしれないが、どちらにせよ、この世界では男子が女子トイレに入っても許される、はず。


さらに今の僕には明確な女子トイレに入らなければならない理由がある。


大義名分がある。


さらにさらに、今は授業中である。廊下には生徒も先生もいない。


やるなら今!


まずは目の前の女子トイレ、失礼します!


「あら~?どうしたの~?女子トイレの前で。もしかして入ろうとしてるの?男子なのに」


勇ましく、女子トイレのドアノブを掴んで入ろうとした矢先にイプノちゃんから話しかけられてしまい、たたらを踏んでしまった。


君、どこから来たの?いや、湧いたの?


入る前に周囲に人がいないか、確認したんだけど。


湧いたとしか思えないくらい影が薄いの?


「総スカンって言葉の語源って知ってる~?」


「いや、知らないけれど…」


「みんなから嫌われるって意味の言葉だけれど、スカンは、元々、方言の好かん、が変化しているの~。だから総好かん。みんな好きじゃないってこと。けっこうそのまんまなのよね~」


「そうなんだ、物知りだね。それ今なんか関係ある?」


「いえ、別に、ただの会話のネタを提供しただけよ~」


さいですか。


「イプノちゃ~ん、久しぶりだねぇ」


「久しぶりってほどでもないわよ~最後にあったのは、監禁前よね~」


「ん?僕、監禁されたことイプノちゃんに言ったっけ?」


「ん~?そんなことどうでもいいじゃな~い。そんなことより、なにをしているの~?男子が、女子トイレのドアノブを握って。入ろうとしているようにしかみえないわ~」


「…いやなに、ここのドアノブ、とっても美味しそうに見えてね、味見でもしてみようかと思っていたところなんだ」


「…普通に心配になる答えだわ、監禁事件がだいぶ堪えたのね。まだ休んでいた方がいいと思うわ~」


「うーん、そうかも」


誤魔化し方が下手すぎた。

下手すぎて女子トイレのドアノブを食べようとしている変人になってしまった。


「で、僕になにか用かな?」


「いいえ~、ただ、女子トイレに入ろうとしているのが見えたから~。あ、違ったわね~、ドアノブを食べようとしていたのよね~」


「…おいしそうだよね」


「うーん、私にはわからないわ~」


でしょうね、僕もわからないもの。


「監禁の件は大変だったわね~」


いや全くだね。でも、今思い返せば、なかなか悪いものでもなかったかもね。


「本当に~?でも、やっぱり私の言った通りになったでしょ?」


…確かにね、監禁された時は一瞬だけ、契約しておけばよかったかもって思わなかったこともなかったような気がするような気がするよ。


「…なんか遠回りだし、気がするを二回言っていることが気になるけれど、まぁいいわ~」


今回も、契約に関してかな?


「そうね~、契約ね、契約してくれれば、今探している女の子だってすぐに見つけることができるかもしれないわよ~」


まじか、いや、まってよ、ベラのことを探してるって言ったっけ?


「さっき、言ってたじゃない~」


…そうか、まぁいいや。申し訳ないけれど、今回も契約は…


「最後の勧誘かもしれないわよ~」


最後?


「そう、最後。ラストチャンス。よーく考えて~」


最後と言われると、決まっていた答えも考え直す必要がある気になってくる。


そうか、確かに、これからも僕の力で解決することができない出来事に巻き込まれたり、首を突っ込んだりするかもしれない。

契約したら、彼女の力でそれらの出来事を回避、ないしは解決することができるかもしれない。


でも、彼女は悪魔だ。


その事実を無視することはできない。


例え、イプノちゃんが完全に善意100%で提案してくれていたとしても、悪魔としてのルールには従わなければならないだろう。


悪魔は契約者の魂と引き換えに、願いを叶えてくれる。


そのことの危険性たるや。


僕はメフィストフェレス博士のようにはなりたくない。



契約は、


「うんうん」


契約は《《できない》》。


「そう、残念」


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