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プロローグ

 愛すべきものを君は、守る事が出来るか。愛すべきものを君は、殺す事が出来るか。

守る事は出来ても、殺すことは出来ないだろう。例え愛すべきものが、どんなに凶悪であっても。人とは、そういうものだから。


                 *


 俺は今から殺しに行く。ついこの間まで愛していた、ソイツを。警察に捕まっても何でも良い。俺は、きっと後悔はしない。これは、欲望に満ちた、自己満足の為の、汚い復讐だ。

「へへっ」

 昔ながらの気持ち悪い、俺の笑い方。でも変えはしない。変える必要もない。

「アイツ、どんな気分になるんだろうなあ」

 アイツを殺してやる。その事だけを頭に入れて、俺はまた一歩踏みしめる。全部全部、お前のせいだぞ? ハクが全部、悪いんだ。


 思い出す度に吐きそうになる。昨日の事の様に、鮮明に思い出せる様な記憶だ。

 肺に空気を入れようとして、息を吸い込むと血の臭いがした。鉄のような、あの独特の。咽返って、何事かと思った。大きすぎる魚でも切っているのだろう。そう思った。でも、鼻の奥にツンとくる異臭。まさかとは思った。でもそんな事、思いたくもない。心臓が激しく動く中、俺の動きはゆっくりだ。ドアをそっと開けて、見えた。血塗れになった俺の、

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