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14話・探索開始

 

 紆余曲折あったが、どうにかして出発する。

 各グループが東西南北に分かれて探索をするようだ。

 俺達Dグループは東方面の担当である。

 そして肝心の移動方法だが、少し以外だった。


「乗り心地はどうだい、高橋くん?」


 運転席から声を掛けてくる南雲さん。


「悪くはないですよ、悪くは」

「はは、それは良かった」


 ガタガタと体が揺れる。

 小刻みに揺れるので、苦手な人はダメだろう。

 そう……移動方法はまさかの自動車。

 それも軽トラックである。

 だが、考えてみれば自動車での移動は利点が多い。


 沢山の物資を積めるし、逃走にも便利。

 本来なら失う徒歩での体力消費を抑えられる。

 などなど良い事ばかりだ。

 無論、燃料のガソリンが尽きたら終わりだが。


「前方、モンスターいます!」


 伊藤さんが叫ぶ。

 元々防犯カメラの監視員だったらしく、自らモンスターの見張り役を買って出たのだ。

 彼の両目の前には双眼鏡が構えられている。

 俺もうっすらとモンスターの影が見えた。


 直ぐに南雲さんが反応する。


「数と種類は?」

「数は三匹、全てゴブリンです」

「なら突っ切ろう、極力ぶつからないように」


 軽トラが加速する。

 振り落とされないように掴まった。


「凛音、戦闘はしないのか?」


 揺れる車体を気にも留めず、彼女は冷静に言った。


「はい。今日は物資の調達が優先なので」

「成る程な」

「……まあ、それもレベルが上がらない要因の一つだとは思いますが、仕方ありません」


 凛音の長い黒髪が風に吹かれる。

 物資調達とレベル上げ。

 確かに両方こなすのは体力、気力的にも厳しそうだ。


 無理をして失敗するのでは本末顛倒。

 なら、どっちかに絞った方がいい。


「お爺様の指示なんです、これも」

「へえ、流石だね」

「……お爺様は、いつもそう。目的の為に、最も効率の良い手段を直ぐに考えられる」


 凛音の瞳が薄っすらと細くなる。

 それまでの堂々としていた雰囲気が一瞬で消えた。

 凛とした花が刹那の間に枯れるように。

 憂いのある表情は、十五歳とは思えない。


 何かが、あったのだろう。

 三日月校長との間に、何かが。

 それは確かな事である。


 他人の事情に深く踏み込まない。

 そう決めている筈なのに。

 何故だか無性に知りたくなる。


 酷い野次馬根性だ。

 責任も取れない癖して、中身だけを知りたい。

 地獄の様子を天国から眺めたいだけ。


 最低の傍観者だ。


 俺は––––そうなりたくない。

 だから人との接触を出来るだけ経ってきた。

 あの日から、ずっと。

 世界が変わる前よりも。


 人の本性なんて知りたくない。

 根掘り葉掘り聞いて、勝手に失望して、見限って。

 でも、熊野さんのような人もいる。

 本当に、びっくりするくらいの善人。


 この世には悪人が多い。

 けれども、善人もいる。

 表面的には分からない。


 知るには、踏み込む必要がある……その人の心に。


「グギャアッ!?」

「どわっ!」


 ゴブリンの悲鳴で意識を取り戻す。

 どうやら軽トラがゴブリンを轢き殺したようだ。

 深い思考の海から抜け出す。


 そうだ、しっかりしないと。

 考え事は帰ってからでも出来る。

 今は無事に帰れるよう、注意する時だ。

 油断や慢心に良い事は無い。


「よし、あそこへ行こう」

 

 南雲さんが目的地を定める。

 正面に、大きな格安衣服店が構えていた。

 あそこなら大量の衣服を仕入れる事が出来る。

 今は質よりも量だ。

 文句を言う人もいないだろう。


「降りよう。隊列はさっき決めた通りで」


 直ぐに発進出来る位置に車を停める。

 その後、五人全員が武器を持っておりた。

 南雲さんが先頭に立つ。

 その後ろに俺と凛音。

 最後尾に伊藤さんと木村さんが続く。


 出発前に俺が言っておいた陣形だ。


 この形なら、比較的安全にモンスターと戦える。

 側面と後方からの奇襲は、俺の索敵で防ぐ。

 とは言えこれでも万全とは言えない。


 何も起こらなければいいのだが。


「行こう!」


 一抹の不安を抱えながら、Dグループは歩き出した。

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