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春子と最強執事  作者: 白川れもん
8/20

僕の春子※紺視点

紺 視点です。

いつもより、少し短めになってます!

読まなくても物語に影響はない、はず……。


次回からは、春子 視点に戻る予定です!

 春子が、また考え込んでいる。

 理由はよくわからないけど、僕の事であるのは確か。

 それだけで、僕はちょっぴり嬉しかったりする。


「……紺、もうちょっと離れて」


 春子がお風呂に入る直前、どんなに離れていても、必ず僕に言う台詞。

 二メートルしか離れられない、と知った今でも、春子は必ず言う。だから僕も、昨夜と同じ台詞を口にする。


「これ以上は無理だよ」


「無理じゃないよ、頑張って!」


 春子の為なら、頑張りたい。心ではそう思うが、生憎、僕一人でどうこう出来るレベルじゃない。


「大丈夫、僕、覗いたりしないよ! ここで音楽聞いてる!」


 春子から借りた音楽プレイヤーを持って、笑ってみせた。

 どうやら春子は、物凄く恥ずかしがり屋さんだ。


 それに気づいたのは、春子の感情が分かるから、とかじゃない。ずっと、前から、僕は知っている。

 だから、トイレとお風呂は、音楽を聴くように、僕から提案したのだ。


「……そこから動かないでね」


「うん! 約束する!」


 笑顔で頷けば、少しだけほっとしたような、呆れたような、春子の顔。

 脱衣場の扉が閉まり、僕は廊下に座る。春子がよく聞く歌を、イヤホンから流す。


 たった二メートル。短い、不便な二メートル。

 春子は、きっと、そう思っている。


 でも、僕は違う。

 二メートルという距離が、僕には心地いい。幸せな二メートル。




「主の強さが、執事との距離に影響を及ぼす」


 以前、まだ春子に喚ばれる前、風の噂で聞いた。

 そして「執事が強ければ、それもまた、影響を与える」とも。

 だから、強い執事は、強い主を。弱い執事は、弱い主を、と。



 これを知ってから、僕は強くなりたいと、願い、行動した。まだ小さい頃の、僕。



 …………春子は、まだ知らない。



 最近流行りの曲に変わる。確か、恋愛そんぐ、とかいうやつ。

 僕は、春子を考える。


 弱くて、脆くて、頼りない、僕の主様。


 ゆっくりと、目を細めていく。


 僕と、たった二メートルしか離れることが出来ない、貧弱な、可哀想で、可愛い春子。

 僕が選んだ、大切な大切な、何にも代えられない、唯一の人。



 …………僕だけの、春子。



 ふと、歌がサビに入って、小さく口ずさむ。

 ああ、これがセレナーデか。



 春子にも、届かないかな、僕の美声。


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