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蘇撤の受難? TwitterSS

 国許で勃発したクーデターの主犯として国外追放されてしまった婚約者こと、あたしの旦那様。

 もうっ。あたしを置いて何処かへ行っちゃうなんて、旦那様は本当に乙女心が分かって無いんだからっ。

 そんな訳で、旦那様の元へ行ってきます! 待っててね、あたしの旦那様!


「で、何故私の所に来る?」


 ほとほと呆れたように溜息を吐く旦那様は、それはもう素敵にカッコイイ。うっとりと見つめていれば、旦那様はうんざりしたような眼差しであたしを見た。


「妻が旦那様の元へ来るのは当然でしょう?」


 首を傾げてそう答えると、旦那様はかっと目を見開いた。


「いやいや、お前と私は結婚などしていないだろう?」

「しましたよ? 旦那様が国外追放になって直ぐに」

「…はあ?」


 旦那様は聞いていないと叫ぶ。流石にちょっとムッとして、「きちんと皆様の前で祝言を上げましたもの」と反論すれば、旦那様は膝から床に崩れ落ちた。旦那様ったら、いつの間に旅芸人の漫才を覚えてらしたのかしら。ここに辿り着くまでどんな事があったのか、後で事細かに聞き出す事を決意する。

 あっでも、今は目の前の旦那様の事に集中しないと。


「お前って奴は…」

「お前ではありません、妻ですっ。さあ旦那様、立って下さいな。ついでにお台所をお借りします」

「何をするつもりだ?」

「勿論、お食事の準備をするんですよ」


 振り返ってそう言うと、「そのような勝手をするならば先ずは家主に聞け」と旦那様はため息交じりに答えた。

 そうしていると、旦那様の背後の扉から、旦那様が居候する屋敷の主が出てきた。


「話は聞こえていた。私は構わぬが、こちらの女性は?」


 ふむ。なんだか王子様って感じの人ですね。


「初めまして! 蘇撤の妻、殷楽蘭子です。旦那様がお世話になりました。この度の御礼は食事で返させて頂きます」

「……ああ、宜しく頼む」

「さあ旦那様、ご案内下さいな!」


 旦那様を引っ立てて台所に向かうと、家主の青年とその妻だという女性が慌てて後を付いてきた。可愛らしい方だなあ。貴族の方なのかしら。


「グリス公爵、申し訳ない」

「一応聞くが彼女は本当に貴方の妻なのだな?」

「そうらしい。祝言を向こうで上げたのだと言っていたのだ。既に陛下には周知の事実だろう」

「貴方の人生も中々に波乱万丈らしい」

「ああ、全くだ」

「あの、蘭子様は元々婚約者だったのですか?」

「いや、単なる幼馴染だ」


 背後からそんな会話が聞こえてくるけれど、今は耳を竹輪にして素通りさせる。


「どうするのですか、蘇撤殿」

「どうするも何も受け入れるさ。面倒だが、あいつは引き下がる女子ではないし、何より一度祝言を上げた後理由なく離縁するのは獅王国では恥とされるからな」

「成程」


 夫妻は苦笑して頷き、旦那様が呆れながらも受け入れた事で言質は取った。

 旦那様に追い返されるかもと私も気にはしていたけれど、これで全部丸く収まる。しめしめとほくそ笑みながら、私は奥方が止める間もなく臨時女中に早変わりした。さあ、旦那様の為に頑張りますよ!



あたしの大好きな旦那様! → 主人公は婚約破棄の行方に登場した獅王国の元皇太子、殷楽蘇撤の幼馴染にして妻。猪突猛進系女子。旦那様ラブな一途な女の子。働き者。将来は肝っ玉母さんとして旦那様共々ポエミア領発展の為に尽力する予定。蘇撤は流され系なげやり男子か…?

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