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プロローグ
子どものころの私は、星空を見上げるのが好きだった。透き通った闇の奥で点々と瞬いている恒星たち。それらを手のひらでもぎ取れたら。でもそうするにはまず大気圏を突破しなければならない。
ただ引き寄せられるように、無我夢中で、身体の肉が後ろに飛んでいっても走り続ける。そしたら地球の空気は私を殴らざるを得なくなる。夜空の恒星は馬鹿な私からどんどん遠ざからざるを得なくなる。私は合法的に潰されるのだ。みんなに構ってもらえるということは、なんて幸せなんだろう。
手を伸ばした先をもっと知りたいと思うのは、美しい現象だ。




