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転生した大魔王、地球に出現したダンジョンを作ったのが前世の自分であることを思い出す。 〜魔王時代の知識と経験で瞬く間に世界最強になって無双します!〜  作者: 八又ナガト
第二章 大魔王、因縁の宿敵たちを相手に無双する

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40 琴美の本性

 俺が【超越せし炎槍(アルス・フレイム)】の発動を止められたことを残念に思っている前で、琴美は「う~ん」と何かを考え込むような素振りを見せる。


「それにしても、まさか隠しエリアで他の探索者(シーカー)と遭遇しちゃうなんて……どうしよう?」


 隠しエリアには、特別な報酬があることが多い。

 それを奪い合ってしまうことを琴美は危惧しているのだろう。


 もっとも探索者である以上、先に攻略した者の総取りとなるのが一般的だ。

 しかしそれだと、ダンジョンの製作者である俺が有利すぎるかもしれない。


 個人的には、先に隠しエリアを見つけた琴美に優先権を与えてやってもいいとは思うが……


 その前に一つだけ、確認しておかなければならない問題があった。


 俺は琴美に一つ疑問を問いかける。



「ところで、琴美は一人で攻略しているのか?」

「い、いきなり呼び捨て!? 君っ、すごく大胆だねっ!?」

「名字は知らないからな」



 俺が琴美を呼び捨てにしたのと同時に、コメントが凄まじい勢いで流れていく。

 読んだら機器を破壊したくなってしまうため、俺はそれを無視して質問を続けた。



「それで、一人なのか?」

「そうだよ! 私はソロ配信者だからねっ!」

「ちなみにレベルは?」

「レベル? もう~、私のファンだったらきちんと公表してる情報を掴んでおかなきゃ! ちょうど昨日上がって、72になったところだよ!」

「……ふむ」 



 ソロ冒険者かつ、レベルが72。

 その情報を聞いた俺は、琴美に対してまっすぐに告げた。


「悪いことは言わない。そのレベルでソロなら、この先にはいかない方がいい」


 その忠告を聞いた琴美の耳が、ピクリと動く。


「い、いきなりすごいことを言ってくるね。ていうか、そもそもそう言うあなたのレベルは?」

「54だ」

「……っ」


 俺の答えを聞き、わずかに険しい表情を浮かべる琴美。

 しかしすぐに笑顔に戻ると、カメラに視線を向ける。



《なんだコイツ? ことみんに失礼すぎない???》

《レベル50程度の分際で何かほざいてて草》

《やばww》

《どうせ隠しエリアの報酬を独り占めしたいからデマカセ言ってんだろ》

《ことみん! 今のうちにやっちゃえ!》


「みんな、落ち着いて~。きっとこの人も悪気があったわけじゃないと思うの……あっ! みんなごめん、ちょっと充電が切れそうだから少し配信を中断するね~」



 琴美はカメラに向かってそう告げた後、機器のボタンを押す。

 配信を止めたであろう彼女は、俺をキッと睨んできた。


「充電しなくていいのか?」

「そんなのテキトーについた嘘に決まってるでしょ! それよりあなた、さっきからどういうつもり!? せっかく配信が盛り上がってたのに邪魔しないでくれるかしら!?」


 そういって琴美はビシッと俺に指を突き付けてくる。

 この剣呑(けんのん)な雰囲気は、いつも配信で見る優し気な“ことみん”とは全く違った。

 どうやらこちらが本性らしい。


 冷静にそう分析していると、琴美は続ける。


「それに、何でこんなところにあなたみたいな人がいるのよ。せっかく高いお金を出して買った隠しエリア情報だったのに!」


 琴美は続けて、少し気になる言葉を口にした。



「買った? 自分で見つけたわけじゃないのか?」

「当然でしょ。隠しエリア探索配信は人気だけど、そう何個も自分一人で見つけられるものじゃない。となれば周りから情報を得るしかないじゃない」

「つまりやらせか」

「演出と言ってくれる? それに攻略自体は本当に初見で行ってるんだから、何も問題ないでしょ!」

「……ふむ」



 コイツが初見で攻略しているというのは本当だろう。

 もし事前に探索していたなら、この奥に一人で行くなどという無謀な発想にはまずならない。


 まあ、同時に別の疑問は浮かび上がってきたが。

 同じやらせをするなら、隠しエリアの内部についても先に探索しておくべきじゃないか?

 その方が危険がかなり得ると思うんだが……


 そんな疑問を浮かべる俺に向かって、琴美は続けて言う。


「とにかく! これ以上はついてこないでくれる!? 邪魔なの! 分かったわね!?」


 そう言い残すと、琴美は踵を返してスタスタと奥に歩いている。

 忠告を断られた相手に、これ以上構ってやる筋合いもないのだが……



「さて、どうしたものか」



 俺はこれからの対応について思案するのだった。

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