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助太刀? 遅すぎです

 鳥頭がどこかに消え去り、馬頭鬼も黒い靄と化して逃げ去ってしまった。

 後に残されたのは私と呆然としたままの神殺物未。

 やはり一般人である以上ああいう訳のわからないモノに襲われたら恐いわな。

 私も最初は死を覚悟したし。


「ちょ、ちょっと、聖小影、あ、あれ……なんなの? あなた、一体何者?」


「質問? 金取っていい?」


「一銭も払わないわよ。くっ。腰が……こんなことでこの私が腰砕けなんて……」


 あ、マジで? こいつ動けなくなってんでやんの。

 そうかそうか。よぉし、臓器提供今の内……


『小影さーん』


 ちっ。もうちょっとのとこでファニキエルの野郎が戻って来やがった。

 命拾いしたね物未。

 というか、肝心な時に姿眩ませた上に終わった後で戻って来るとか、お前ふざけてるのか?

 と問いただしたくなってくる。


 一応、目的のハニエルを連れては来たらしい。

 少し遅れて飛んできたハニエルは、ファニキエルみたいに変化はしておらず、人間形態に羽を生やしてのご来店である。店じゃないけど。

 ふわっと着地を決めると険しげな顔で周囲を見回した。


『小影ちゃん、ハーピーが出たって聞いたけど、大丈夫?』


「大丈夫も何も、既に撃退しましたがな。馬頭鬼と鳥頭が出たのにファニキエルお兄様の役に立たないこと立たないこと。契約違反でないですか……ねぇ?」


 ねぇ。の部分だけデビルスマイルをしてみるが、今回は真剣らしい。

 うっと一瞬怯んだハニエルだったが、すぐに周囲を確認して危険がないことを認識する。

 そして気付いた一般人の存在。


『ファニキエルちゃん、あの子?』


『はい。小影さんの変身姿を認識しています。つまり、神聖技を扱う技量がある』


「……あー、それってもしかして……え? マジで?」


 なんとなくファニキエルの考えが読めてしまった私なのだけど、ちょっと待とうか天使共。

 そいつは私と絶賛敵対中なのですがね。


『初めまして、ハニエル・ルーマヤーナっていいます』


「……あ、はい。その……神殺、物未……です」


 警戒しながらも自己紹介をする物未。

 いや、止めろ。マジでスカウトしちゃうんですか?


『あなた、小影ちゃんを今も認識できてるのよね?』


「え? ええ。あいつの顔は分かりますけど……」


 と、言った物未に、ハニエルは満面の笑顔を向けた。

 ああ、あいつ本気でやる気だ。


『ところで小影さん。そのハーピーと馬頭鬼はどうしたんです? 倒したんですか?』


 ハニエルが物未の相手をする間にファニキエルが私の注意を逸らす。

 まぁ、アレを見ててもしゃあないし、結果はわかってるから放置しよう。

 また邪魔になればその時消せばいいんだし。

 とりあえず、仲間だとは思わないでおこう。

 そう、金を貰って魔物退治を請け負う傭兵同士だと思えばちゃんと付き合えるはずだ。


「倒した。と言えたらよかったんだけどね、残念ながら校舎内に逃げ込まれちった。どうもどこかに根城があるみたいだね」


『そうですか。とりあえず今日はここの魔穴を塞いで終わりましょう。これだけ巨大な魔穴です、おそらくメインの魔穴と思われますし、これさえ塞いでしまえばさすがにしばらくは安全になるでしょう』


 メインの魔穴……か。

 本当にそうだろうか?

 あいつは既に準備は完了みたいなことを言ってなかっただろうか?


「ルミナスナイト……ヴァサーティル」


 ふと考え始めた私の視界の片隅で、神殺物未がルミナスナイトに任命された。

 あーあ、やっぱそうなったか。

 というか、なぜ変身キーワードが一緒なんですかね?


『せっかくなのでハニエル様がキーワードは揃えたいと言いまして駄々をこねましたので』


「最悪だなあんたの上司」


『ノーコメントで。それより小影さん。今更ですけど、大丈夫ですかね? 彼女』


「さぁ。どうなりますかいね? 聖戦士同士で血で血を洗う闘争にならない事を祈りたいけど」


 変身した物未がハニエルと共にやって来る。

 変身したせいか抜けた腰が戻ったらしい。

 チッ、そのまま抜けてればよかったのに。


「なるほどね。天使なんてものが本当に居て、あなたみたいなのが聖戦士に選ばれるなんて世も末だわ」


「それはこっちの台詞だよ。なぜ今敵対中のあんたが選ばれるかね」


「正直あなたは気に喰わないわ。けど、学園が魔界に落とされることになるよりは、協力して魔穴を塞ぐべきと判断したの」


 ……学園が魔界に落とされる? 初耳ですけど?

 思わずハニエルを見る。

 そっぽ向いて口笛鳴らしていた。


「聞いてないんだけど? 魔穴放っとくと学校が魔界に落ちる? 聞いてないんだけど? 聞いて、ないんですけどぉ!?」


「い、いやぁ、小影ちゃん、そういうこと言っても協力してくれるか確証なかったし、お金さえあれば手伝ってくれるかなぁなんて、思ったのよ……あはは」


 笑ってごまかすなこの腐れ天使め!

登場人物


 ひじり 小影こかげ

  現在16歳、彼氏いない歴イコール年齢の少女。

  基本金かお茶にしか興味がないので、金貸しの回収を行う以外は緑茶をすすってぽけっとしている。

  特技に瞬間記憶を持ち、金貸し業の関係で覚えた指弾とデビルスマイルを得意とする。

  座右の銘はお前の物は俺のモノ。貸したら返せ命を掛けて。

  聖戦士になったようです。

  メルトに寄生されている。ルストが見つかるまでは共生するようだ。


 メルト

  原初の柱の一つであり地球外生命体の細菌。

  時空石と呼ばれる黄金に光る石の内部に存在していて地球へと降って来たらしい。ルストと共に地球へ飛来したが、長い年月を経てルストは行方不明となった。

  以来ルストを探しているのだが、空気感染型のルストとは違い飛沫接触感染型のメルトは自身を運べる存在がいなければ移動できない。

  人間をルストと共に造り出した神らしいが、生物に触れると相手を融解させてしまう特性を持つ細菌。生き物を媒介にする場合は特定の容器である必要がある。


 結城ゆいしろ 杏奈あんな

  現在16歳、彼氏無し。

  小影曰く、紫色に染めたけど、髪が伸びたせいで半分より下だけが紫色になっちゃったとっても可哀想な人らしい。

  不良生徒になりかけていたが、小影に打ちのめされて以降小影のツッコミ役にされる。

  姐御肌らしく悪態付きながらも手伝ったりする様が密かにクラスメイトから人気を集めている。


 神殺かみさつ 物未ものみ

  父と兄が死んだため神殺組組長となった少女。

  パックの緑茶が好きらしい。

  闇金融の蔓延を不快としていて彼らの殲滅を始めているが、今のところは弱小金融の成敗だけで大物を相手にする実力には届いていない。

  組員の殆どが警察に捕まったせいで弱体化を余儀なくされたらしい。


 増川健治

  渋いサングラスをかけた丸刈りの厳ついおじさん。闇金融をしている人。

  声がでかいので普通に話しかけると子供が泣き叫ぶ。

  金ラメや龍柄のシャツを好んで着ている。

  子供好きで野花を愛する性格だが、厳つい容姿のせいでよく通報される。


 ハニエル・ルーマヤーナ

  神の愛と称される大天使の一人。

  全ての愛される要素を内在し、顔は清楚に、身体は妖艶に。でも思考は限りなく幼児に近いある意味残念な存在。

 ただし内包する知恵と頭の回転は凄まじく、先見の明を持つため落ち零れとされる天使から大天使候補の原石を発見するのが上手い。


 ファニキエル・シュイタット

  ハニエルにより見出された落ち零れの天使。

  前回の天使試験で見習いのまま消失の危機を迎えていたが、ハニエルにより見出され付き人のような役割についている。

  未だハニエルが見出した実力は開花しておらず、実力は限りなく弱い。


 ???

  学校に魔穴を開いたと思しき黒幕。

  鳥人間らしい。


 牛頭鬼

  黒い靄から発生した悪魔。

  黒い靄で移動し、人間あるいは天使を見付けると出現し、戦闘を行う。

  夜間の校舎内を見回る様に動いている。


 馬頭鬼

  黒い靄から発生した悪魔。

  黒い靄で移動し、人間あるいは天使を見付けると出現し、戦闘を行う。

  夜間の校舎内を見回る様に動いている。

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