先生今日も元気ですね。そして先生は泣いて走り去る
教室に戻った私は再びぽへーっとしながらお茶を飲む。
何が起こったのか聞きたそうにしているクラスメイトは無視だ。
聞きたけりゃ金だしな。
しかし、神殺組か。
ちょっとウザいんだよね。
先生達も迷惑してるみたいだし、あの娘、なんとかするか。
こういう面倒な作業は本来金取るんだけど、自分の身に降りかかる火の粉だしね。
ぶっ潰しとくかな。
あ、そうだった。昨日回り切れなかった人たちのリスト更新しとかないと。
えーっと。相神さんとこは後二日猶予があるけど一応回っとくとして、小出さんからはそろそろ貰っとかないとな。バロックさんは金ないって言ってるけどちゃんと返してもらってからじゃないと増加させられないから給料日後がいいよね。じゃあ明日に回そう。あ、いや、あの感じから言えば持ってやがるな。今日行こう。
三神さんとこは……あそこ影薄いから思い出した時行っとかないと回収忘れちゃうんだよね。
じゃあ今日回るリストに入れとこう。
それから……
「そういえば杏奈、この前100円貸してたよね?」
「あ? ああ、そういやそうだな。ほれ」
財布を取り出しピィンとこっちにお金を飛ばす。
しっかりキャッチしてさんきゅーっと伝える。
よし、杏奈は済っと。
「それで小影、あんた今度は何やらかしたんだ?」
「ほえ? あー。さっきの黒服さん? あれ神殺組の人だって。ほら、昨日売ったハイキック女の連れみたいな?」
「あーあいつの……は? 組? え? マジ……?」
あの女と神殺組が杏奈の頭の中で組み合わさる。
そして気付いたその関係。脳内でその組み合わせをなんというか、答えが算出される。
「や、やーさん?」
私は物凄い笑顔でサムズアップしておいた。
「じょ、成仏しろよ?」
「いやいや、私死なないよ? 埋められるより埋める方が好きだし」
「いや、そういう問題じゃ……って埋めた事あるのかよ!?」
「…………ないよ?」
「ちょ、今の間はなんだっ!? お前本当に埋めてないだろうなっ?」
「アハハ。ワタシ、ウメル。ナイノコトヨ」
「なぜ怪しい片言になってんだよっ!?」
杏奈の反応が面白いのでついつい遊んでいると、ようやく禿先生がやってきた。
なんだ、英語が一時間目か。
じゃあ仕方ない。
「せんせぇ~。今日ももっこり健在ですねぇ~おはよ~ございま~す」
「聖小影君のバカぁ―――――っ!!」
折角入ってきた先生。しかし私の満面の笑顔と声を聞いた瞬間、乙女走りで泣きながら走り去ってしまった。
風に乗って鬘だけがひらりと教壇に被さった。
……今日の英語の教師は鬘さんですか?
「な、何をしとるかランタン頭ァ――――っ!!」
パシンと頭に衝撃。
杏奈のハリセンが火を吹いた。
うん。いつも通りの日常である。
いつまで経っても先生が戻って来ないので、杏奈に連行されて私は先生捜索に駆り出されてしまった。
授業、全く進んでないよ先生。先生が授業放棄とか、契約違反だと思います。激おこです。
この前見かけた職員駐車場に向うと、先生が地面にのの字を書いていた。
「あー、やっぱここだせんせぇ」
「ああもう。ホントウチのバカ娘が済みません先生。この脳足りんの言う事をいちいち気にしてたら胃に穴が開きますし、出来るだけ言わせないようにしますので授業に戻ってはいただけませんか?」
「いいのかね。こんな禿オヤジなどに英語なんぞ教わって、ほんとうにいいのかね。まだカツラに教わった方がいいんじゃないのかね?」
「先生。教室で皆が先生を待ってますよ。ほら、行きましょう。そら、テメェもさっさと謝れや」
「えー。また謝るの?」
「お・ま・え・が、原因だっつの!」
「はぁ……せんせぇ。なんかよくわからないけど、ごめんちゃい」
先生は疑うような目をしていたが、自分の頬を両手で叩く。
「行けばいいのだろう、行けば……聖小影君が謝ったから少しは奇跡が起きたと思ったのだが、やはりあれば私の妄想が暴走しただけの幻だったらしい。彼女に心からの謝罪を期待するだけ無駄なのだね結城君」
「そうですね。こいつに謝罪を求めるのは金を積んでも無駄でしょう」
なぜか二人して溜息を吐く。
いやいや、お金出してくれるなら謝るくらいしますよ?
そりゃあ感謝感激しながらごめんなさいと土下座だっていたしますって。
金額によりますがね。
そして、教室に戻った先生は教壇に居座る鬘を一度だけ見る。
しかし、それを被ることはなかった。
堂々と、その禿散らかした頭を惜しげも無く晒して授業を開始する。
なぜだろう? そのおかげかいつもより堂々として見えた。
しかもしっかり一人一人の顔を見ながら授業を行っている。
何か、心境の変化でもあったのだろうか? まぁ、社会の窓があいてたんだけどね。
どうもファスナー壊れたみたいなんだよね。
折角だから指摘しようとしたら杏奈のハリセンが顔面に当って痛かった。
登場人物
聖 小影
現在16歳、彼氏いない歴イコール年齢の少女。
基本金かお茶にしか興味がないので、金貸しの回収を行う以外は緑茶をすすってぽけっとしている。
特技に瞬間記憶を持ち、金貸し業の関係で覚えた指弾とデビルスマイルを得意とする。
座右の銘はお前の物は俺のモノ。貸したら返せ命を掛けて。
聖戦士になったようです。
メルトに寄生されている。ルストが見つかるまでは共生するようだ。
メルト
原初の柱の一つであり地球外生命体の細菌。
時空石と呼ばれる黄金に光る石の内部に存在していて地球へと降って来たらしい。ルストと共に地球へ飛来したが、長い年月を経てルストは行方不明となった。
以来ルストを探しているのだが、空気感染型のルストとは違い飛沫接触感染型のメルトは自身を運べる存在がいなければ移動できない。
人間をルストと共に造り出した神らしいが、生物に触れると相手を融解させてしまう特性を持つ細菌。生き物を媒介にする場合は特定の容器である必要がある。
結城 杏奈
現在16歳、彼氏無し。
小影曰く、紫色に染めたけど、髪が伸びたせいで半分より下だけが紫色になっちゃったとっても可哀想な人らしい。
不良生徒になりかけていたが、小影に打ちのめされて以降小影のツッコミ役にされる。
姐御肌らしく悪態付きながらも手伝ったりする様が密かにクラスメイトから人気を集めている。
神殺???
父と兄が死んだため神殺組組長となった少女。
パックの緑茶が好きらしい。
闇金融の蔓延を不快としていて彼らの殲滅を始めているが、今のところは弱小金融の成敗だけで大物を相手にする実力には届いていない。
組員の殆どが警察に捕まったせいで弱体化を余儀なくされたらしい。
増川健治
渋いサングラスをかけた丸刈りの厳ついおじさん。闇金融をしている人。
声がでかいので普通に話しかけると子供が泣き叫ぶ。
金ラメや龍柄のシャツを好んで着ている。
子供好きで野花を愛する性格だが、厳つい容姿のせいでよく通報される。
ハニエル・ルーマヤーナ
神の愛と称される大天使の一人。
全ての愛される要素を内在し、顔は清楚に、身体は妖艶に。でも思考は限りなく幼児に近いある意味残念な存在。
ただし内包する知恵と頭の回転は凄まじく、先見の明を持つため落ち零れとされる天使から大天使候補の原石を発見するのが上手い。
ファニキエル・シュイタット
ハニエルにより見出された落ち零れの天使。
前回の天使試験で見習いのまま消失の危機を迎えていたが、ハニエルにより見出され付き人のような役割についている。
未だハニエルが見出した実力は開花しておらず、実力は限りなく弱い。
牛頭鬼
黒い靄から発生した悪魔。
黒い靄で移動し、人間あるいは天使を見付けると出現し、戦闘を行う。
夜間の校舎内を見回る様に動いている。
馬頭鬼
黒い靄から発生した悪魔。
黒い靄で移動し、人間あるいは天使を見付けると出現し、戦闘を行う。
夜間の校舎内を見回る様に動いている。




