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拉致られる? でも捕まる。何しに来たのあんた達?

 学校についた私は椅子に座るなり湯呑を机に設置、ポットから緑茶を注ぎ朝の一杯を堪能していた。

 その安らぎ空間に、周囲の生徒達も顔を緩ませ始める。

 やっぱりお茶は落ち着くね。健康にも良いし、和みもあって風流だ。


 窓から差し込む光に微笑み、日向ぼっこでもしている気分でお茶をすすっていると、急に教室が静かになった。

 何かと思って教室の入り口を振り向くと、謎の黒服が数人。

 グラサンかけてるけどいかつい顔が隠しきれていない。


 これは危険だ。

 容姿的なものもそうだけど、おそらく……

 私が気付いた瞬間、男たちは教室に入ってくる。


「どちら様ですか?」


 目の前に来た男達に、私は笑顔のまま答える。


「神殺組だ。お嬢……いや、組長をコケにした聖小影というのはお前だな」


「……あ~、なるほど、自分じゃ敵わないから組員総動員か。あんたたちも大変だねぇ。どう、一杯?」


 ポットのお茶を薦めて見るが、受け取る気配は無い。


「付いてこい。逃げれば消していいと言われている」


「ん~、学校終わってからでいい? 授業料無駄になるし」


「今、来いッ」


 と、いきなり掴みかかってくる男の一人。

 私は即座に悲鳴を上げた。

 近くに来ていたのだろう、先生達が慌てて教室に入ってくる。


「助けてください先生、この人がセクハラして来ました――――っ」


 教室の状況を見た先生たちは、口を開き呆然となる。

 それはそうだろう。黒い服着たいかついオッサン連中がこんな場所にいるのだ。

 しかし、それだけだ。一般人である先生たちには何も出来ない。というか、怖くて何もしない。

 私は掴まれていない手を男達から隠してスマホを操作。110番に連絡する。


「先生っ、この人たちなんなんですかっ、教室に入ってセクハラしてくるんですよっ、このままじゃレイプされますよ、助けて――――ッ。春風高校の先生――――っ」


 その言葉で、男の一人が気付いたらしい。

 私が隠していた腕を掴むと、スマホごと引っぱりだす。


「こいつっ、警察に連絡しやがった!?」


「ええいっ、さっさと連れて行くぞ、急げッ」


 あらら、これでも連れてく気か……

 仕方ないな。


「嫌ぁ。殺されるっ。神殺組に殺されるぅっ!!」


 スマホは未だに受話状態。国家権力に繋がっている。

 私の言葉ににわかに向こう側が騒がしくなった。

 ……うん。私に何かしたところで、終わったな神殺組。


「き、貴様ッ」


 慌ててスマホを奪おうとする黒服。だが遅いっつの。

 黒服が手を伸ばした瞬間、私はすぐさまスマホを落とす。

 もみ合いになって落ちたような感じだが、よし、これで私のスマホは壊れず放置された。


 懸命に悲鳴を上げ続ける。そして隙を見てスマホに近づき電話を切った。

 通話相手には会話途中で切れた緊急事態と思われただろう。

 緊急事態である以上急いで現場に来るはずだ。


「クソッ。実力行使だ。連れて行け!」


 男たちが無理矢理私を連れ出そうとする。が、なぜか私はぴたりと抵抗をやめた。

 素直に引っぱり出される私を連れて男たちは首を捻りながらも急ぐ。

 授業受けれないよね。スマホにダメージ入ったし、明日から私の噂が蔓延するだろう。

 その迷惑料は、120万程度じゃ……ねぇ?


 これ以上かかずらわるのも面倒だし、ここらで……潰しとくか?

 ルミナスナイトの能力があればただの人間なんて楽に倒せそうだし

 ふふ。覚悟しろよ神殺組。お前らは小影ちゃんを拉致したんじゃない。

 小影ちゃんを自分の組に招き入れるんだよ。滅びる為にね!


 ―――― ゲスい考えだな ――――


 黙れ居候。

 メルトの呟きにツッコミ入れて、私は無抵抗に黒服達に連行……される前に校門前が警察に包囲されていた。

 やべぇ。警察来るの早過ぎ!? 物理的に神殺組潰せないっ!?


「神殺組に次ぐ。お前たちは完全に包囲されているッ!」


 なんかお決まりの台詞が拡声器で告げられる。

 いいなぁ。アレ欲しい。家から出てこない奴から借金取るのに重宝しそうだ。

 後で先生に強請ねだろう。


「バカな、早過ぎる!?」


「こ、これじゃお嬢の仇が」


 いや、死んでないだろあの女。

 しかし、神殺組の御頭様だったのは驚きだね。

 まぁ、その神殺組もすぐ崩壊するんだけどね。

 なにせ私を連れ去ろうとしているから言い逃れすら出来ないし。




 結果。黒服達は全員連れて行かれた。誘拐未遂だ。しばらく出て来れまい。

 そして神殺組は警察に警戒され始める。

 下手な事はもう、できないぜ。けっけっけ。


 ちなみに、早くに包囲完了していたことについて聞いてみると、最近神殺組が活発に動きだし闇金融業界の人たちが消える事件が多発しだしたせいらしい。

 見回りを強化した直後だったそうだ。

 あはは。日頃の行いが良いからだね。運が良いよ私。


 警察様をハンカチ振って送り出し、私は教室に戻るのだった。

登場人物


 ひじり 小影こかげ

  現在16歳、彼氏いない歴イコール年齢の少女。

  基本金かお茶にしか興味がないので、金貸しの回収を行う以外は緑茶をすすってぽけっとしている。

  特技に瞬間記憶を持ち、金貸し業の関係で覚えた指弾とデビルスマイルを得意とする。

  座右の銘はお前の物は俺のモノ。貸したら返せ命を掛けて。

  聖戦士になったようです。

  メルトに寄生されている。ルストが見つかるまでは共生するようだ。


 メルト

  原初の柱の一つであり地球外生命体の細菌。

  時空石と呼ばれる黄金に光る石の内部に存在していて地球へと降って来たらしい。ルストと共に地球へ飛来したが、長い年月を経てルストは行方不明となった。

  以来ルストを探しているのだが、空気感染型のルストとは違い飛沫接触感染型のメルトは自身を運べる存在がいなければ移動できない。

  人間をルストと共に造り出した神らしいが、生物に触れると相手を融解させてしまう特性を持つ細菌。生き物を媒介にする場合は特定の容器である必要がある。


 結城ゆいしろ 杏奈あんな

  現在16歳、彼氏無し。

  小影曰く、紫色に染めたけど、髪が伸びたせいで半分より下だけが紫色になっちゃったとっても可哀想な人らしい。

  不良生徒になりかけていたが、小影に打ちのめされて以降小影のツッコミ役にされる。

  姐御肌らしく悪態付きながらも手伝ったりする様が密かにクラスメイトから人気を集めている。


 神殺???

  父と兄が死んだため神殺組組長となった少女。

  パックの緑茶が好きらしい。

  闇金融の蔓延を不快としていて彼らの殲滅を始めているが、今のところは弱小金融の成敗だけで大物を相手にする実力には届いていない。

  組員の殆どが警察に捕まったせいで弱体化を余儀なくされたらしい。


 増川健治

  渋いサングラスをかけた丸刈りの厳ついおじさん。闇金融をしている人。

  声がでかいので普通に話しかけると子供が泣き叫ぶ。

  金ラメや龍柄のシャツを好んで着ている。

  子供好きで野花を愛する性格だが、厳つい容姿のせいでよく通報される。


 ハニエル・ルーマヤーナ

  神の愛と称される大天使の一人。

  全ての愛される要素を内在し、顔は清楚に、身体は妖艶に。でも思考は限りなく幼児に近いある意味残念な存在。

 ただし内包する知恵と頭の回転は凄まじく、先見の明を持つため落ち零れとされる天使から大天使候補の原石を発見するのが上手い。


 ファニキエル・シュイタット

  ハニエルにより見出された落ち零れの天使。

  前回の天使試験で見習いのまま消失の危機を迎えていたが、ハニエルにより見出され付き人のような役割についている。

  未だハニエルが見出した実力は開花しておらず、実力は限りなく弱い。


 牛頭鬼

  黒い靄から発生した悪魔。

  黒い靄で移動し、人間あるいは天使を見付けると出現し、戦闘を行う。

  夜間の校舎内を見回る様に動いている。


 馬頭鬼

  黒い靄から発生した悪魔。

  黒い靄で移動し、人間あるいは天使を見付けると出現し、戦闘を行う。

  夜間の校舎内を見回る様に動いている。

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