第一話 少女
神はアダムを深い眠りに落とし、彼の肋骨を
一本抜き取り、その肉を塞ぎ、肋骨から一人の
「女」を作り上げた。
目覚めたアダムは、その女を見てこう言った。
「これこそ、ついに私の骨の骨、私の肉の肉。
これをイシャー(女)と名付けよう。
イーシュ(男)から取られたのだから」
旧約聖書 創世記 第二章
21XX年
日本国内で女性達による差別反対運動が激化。
女性だけで暮らす女性限定地区設立の運動が
活発化していった。
日本政府はこれを容認。
女性限定地区、
通称「ウーマン地区」が設立した。
地区内へはいかなる理由であろうと
無論男は、そして居住希望者以外の女性も
一歩たりとも足を踏み入れる事は許されず、
部外者が内部情勢を知る事は無かった。
設立以来、地区内から外へ戻って来た女性は
一人も居ない。
○月×日 都内○○中央物流センター
それは突然起きた。慌ただしい作業場に
明らかに場違いな少女が迷い込んでいた。
作業員が声をかける。
作業員
「お嬢ちゃん、どこから来たんだい?」
少女
「こ、ここは何処?……私、逃げて来たの」
作業員
「大丈夫だよ、どこから逃げて来たんだい?」
少女
「ウーマン地区から。あのでっかい赤い箱に
入って来たの」
作業員
「え?あのコンテナはウーマン地区の
物資コンテナじゃないか!お嬢ちゃん、
本当にウーマン地区から来たのかい?」
少女
「うん。……ねえ、あなた
なんで口の周りに毛が生えてるの?」
作業員
「え?えっと、最近地区に引っ越したのかな?」
少女
「違うよ、ウーマン地区で産まれたんだよ」
作業員
「え?えっと……ウーマン地区は
女しか居ないんだよねえ?」
少女
「そうだよ?」
作業員
「じゃ、じゃあお父さんは何処に居るのかな?」
少女
「お父さん?お父さんって……」
少女
「何?」
その日の夕方、その騒動は
ニュースとなり日本中を駆け巡った。
ニュースキャスター
「衝撃的なニュースが入って来ました。
本日午後1時ごろ都内の○○中央物流センターで
一人の少女が保護されました。
少女は推定10~12歳
輸送用コンテナに隠れて逃げて来たようです。
警察の調べに対し少女は、
ウーマン地区で産まれたと言っているようです。
ウーマン地区は50年前の設立以来
女性限定地区として、
男性の立ち入りを完全に遮断して来ました。
少女の証言が本当なら、あの地区内で
我々の知らない何かが起きている事になります。
現在、政府は自治区代表に対し、
内部での妊娠・出産事例の
有無について緊急の回答を求めています。
自治権を盾に長い間秘密に包まれてきた
あの地区で今、何が起きているのでしょうか。
究明が急がれます」
翌日 警視庁内
一人の女性が呼び出された。
課長
「十零 (つなし れい)君。来てくれたかね」
零
「はい。十零、参りました」
課長
「昨日のニュースは知ってるかね?」
零
「ウーマン地区から少女が脱走してきた
件でしょうか?どのチャンネルも同じでしたね」
課長
「ああ、女だけの地区で子供が産まれてるなど、
あるはずが無い事だ。
この謎を放置するわけには行かん。
零君よ。君なら私が何を言おうとしてるか
もうわかってるんじゃないのか?」
零
「ウーマン地区の話をして、女性の私が
呼び出されたと言う事は、それはつまり
潜入捜査だと推測するのが最も合理的ですね」
課長
「……やはり君しか居るまい。あそこには
我々男は、例え警察であっても入れない。
この捜査において、署内で最も優秀な女性である
零君、君意外に適任者は居ないだろう。
単独での、情報も少ない極めて危険な任務だ。
零君、やってくれるかね?」
零
「お安いご用です。所で課長」
課長
「ん?何だね……」
零
「お土産は何がいいですか?」
課長
「……フフフ。君が我々の仲間で
本当に良かったよ。私が欲しいお土産は
君の無傷での帰還だよ……よし。
君に改めて命を下す!十零君!
女性限定地区で妊娠・出産が起きている謎を
潜入捜査せよ!」
零
「は!了解しました!」
つづく
零
「ネット小説の未来の為、高評価に
ご協力おねがいしますね」




