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かなり衰弱しているコタロウを見て、城内でなにかがあったんじゃないかと胸が騒いだ。
コタロウは、息こそしているがかなりの重傷だ。
ライオンだから、獣医にかかることはできないだろう。
それに、うちの経済力では獣医なんてとても手が出せない。
こんな時、知り合いにヒーラーがいたら、と思い、思い出す。
キャロルはヒーラーじゃないか。
虫の息しかないコタロウを救えるのはキャロルしかいない。
いつの間にか夕日が暗くなりはじめている。
僕は、城に向かう決意をした。
どんな理由があるにしても、キャロルがコタロウを可愛がっていたことに違いはない。
こんな状態のコタロウを見れば、きっとキャロルがたすけてくれるだろう。
「ミャミヤッ!!」
気づけば子猫の大きさに戻っていたモヨコを肩に乗せて、コタロウを抱き上げた。
まだ温かい。
「待っていて。たすけてあげるからね」
そう言うと、僕は森に向かって歩き出した。
途中、葉の音におどろいて足を止めた。
大丈夫。自分の足音だ。
自分に言い聞かせると、歩みを進める。
キャロル。僕の初恋の人。花かんむりの作り方を教えてくれた、大切な人。
そのキャロルに、城から出て行けと言われた時にはカッとなったけど、今は城を出たことを後悔している。
だって、森は少しも整地されていないのだから。
僕が整地すれば、きっと素敵な原っぱになるのに。
そこでコタロウを自由に遊ばせてやりたい。
今度は僕の方から整地したいと言うのはどうだろう?
こんな時、タケルだったらどう言ってくれるだろうか?
浅はかな思考だと笑うだろうか?
僕は、城から逃げたんだ。タケルを殺した犯人を探ることも、王様に毒を盛っている犯人を探すこともなく、安穏と過ごしてしまったことが悔やまれる。
キャロル。一見すると気の強いお姫様だけど、心の中は友だちとしての僕は、もう必要ないのだろうか?
「コタロウ、もう少しだよ」
僕はさっきより深くなってくる草をかき分けて城に近づいた。
明るいバルコニーを眺めながら、衛兵の目を盗んで庭のプール目指して足を進めた。
やがて、バルコニーの一つに、見覚えのあるシルエットぎ浮かんできた。
キャロルだ。
彼女に聞こえるように口笛を吹こうかと思って辞めた。衛兵に見つかると厄介だ。
そこで、バルコニー近くの木に登り始めた。
モヨコには下で待っていてもらう。
瀕死のコタロウを担ぎ上げた状態で、枝から枝へと乗り移った。
「キャロル」
小声で叫んだ瞬間、彼女と目があった。
つづく




