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1ー2

 かなり衰弱しているコタロウを見て、城内でなにかがあったんじゃないかと胸が騒いだ。


 コタロウは、息こそしているがかなりの重傷だ。


 ライオンだから、獣医にかかることはできないだろう。


 それに、うちの経済力では獣医なんてとても手が出せない。


 こんな時、知り合いにヒーラーがいたら、と思い、思い出す。


 キャロルはヒーラーじゃないか。


 虫の息しかないコタロウを救えるのはキャロルしかいない。


 いつの間にか夕日が暗くなりはじめている。


 僕は、城に向かう決意をした。


 どんな理由があるにしても、キャロルがコタロウを可愛がっていたことに違いはない。


 こんな状態のコタロウを見れば、きっとキャロルがたすけてくれるだろう。


「ミャミヤッ!!」


 気づけば子猫の大きさに戻っていたモヨコを肩に乗せて、コタロウを抱き上げた。


 まだ温かい。


「待っていて。たすけてあげるからね」

 

 そう言うと、僕は森に向かって歩き出した。


 途中、葉の音におどろいて足を止めた。


 大丈夫。自分の足音だ。


 自分に言い聞かせると、歩みを進める。


 キャロル。僕の初恋の人。花かんむりの作り方を教えてくれた、大切な人。


 そのキャロルに、城から出て行けと言われた時にはカッとなったけど、今は城を出たことを後悔している。


 だって、森は少しも整地されていないのだから。


 僕が整地すれば、きっと素敵な原っぱになるのに。


 そこでコタロウを自由に遊ばせてやりたい。


 今度は僕の方から整地したいと言うのはどうだろう?


 こんな時、タケルだったらどう言ってくれるだろうか?


 浅はかな思考だと笑うだろうか?


 僕は、城から逃げたんだ。タケルを殺した犯人を探ることも、王様に毒を盛っている犯人を探すこともなく、安穏と過ごしてしまったことが悔やまれる。


 キャロル。一見すると気の強いお姫様だけど、心の中は友だちとしての僕は、もう必要ないのだろうか?


「コタロウ、もう少しだよ」


 僕はさっきより深くなってくる草をかき分けて城に近づいた。


 明るいバルコニーを眺めながら、衛兵の目を盗んで庭のプール目指して足を進めた。


 やがて、バルコニーの一つに、見覚えのあるシルエットぎ浮かんできた。


 キャロルだ。


 彼女に聞こえるように口笛を吹こうかと思って辞めた。衛兵に見つかると厄介だ。


 そこで、バルコニー近くの木に登り始めた。


 モヨコには下で待っていてもらう。


 瀕死のコタロウを担ぎ上げた状態で、枝から枝へと乗り移った。


「キャロル」


 小声で叫んだ瞬間、彼女と目があった。


     つづく

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