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執事としての命

 キャロル様が大切に可愛がっていらしったライオンの赤ん坊を森に捨てるという任務を任されました。


 執事の任務とは、常に汚れ役にまわるものです。


 皇后様からは、キャロル様がいらっしゃらないタイミングで、森で撃ち殺すように命じられました。


 生きていたら、城に戻って来る可能性があるからだと。


 これまで城のために様々な汚れ役を演じてきましたが、さすがに無抵抗の動物を殺すようなことはありませんでした。


 事実、コタロウはわたしにもよくなついてくれているのですから。


 ですからできるだけ城から遠い森の隅まで魔法でワープして、コタロウをその場所に放しました。


 拘束が解かれたコタロウは、きょとんとした顔でわたしを見上げてきます。


 キャロル様から渡された猫用の餌をその場所に置くと、わたしはまた城までワープしました。


 さすがに撃ち殺すことはできませんでしたが、あれだけの距離があるのですから、城に戻ることはないでしょう。


 王様は、ゼロスのことも殺すように命じるかもしれません。


 彼の存在が、キャロル様の結婚を阻害しているように見えるからなのでしょう。


 ですが、その時が来ないことをひたすら祈ります。


 どうか彼が、この森に侵入して来ることがありませんように。


 キャロル様との道ならぬ恋は、今はお互い幻のような淡い幻覚のままです。


 ですからどうか、幻覚のままでいてください。


 どうか、ゼロスが城と関係のない場所で繁栄しますように。


 わたしはただ、それを祈ることしかできません。


 さて、皇后様に報告をしに行かなければなりません。


 キャロル様はきっと、しばらくわたしとは話そうとしてくれないでしょう。


 でも、それでいいのです。  


 どうか、キャロル様がヘイト様との現実的な結婚へと心を向かわせてくれますように。


 わたしができるのは、祈ることだけです。


 執事になんて、なるものではありませんね。


     つづく

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