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びっくり屋本舗  作者: 百済 夜斗
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第八話   童話

 「今日は、えぇ天気じゃの~」縁側で日向ぼっこをしているはぁ~爺。

「じっちゃーん、本読んでー」と可愛い孫の信二がやってきた。

「どれどれー、絵本がいいかの?」

「なんでもいいよ、じっちゃんの大好きな話を聞かせて欲しいな」

「よっしゃー、ではでは始めるよ」


「むかしむかし、あるところにお爺さんと、お婆さんが住んでいました。お爺さんは山へ芝刈りに。お婆さんは川へ洗濯へ行ったとさ」

「へー、わくわくするよ、じっちゃん」と信二は顔をほころばせている。

「お爺さんは、山で芝を刈っていたのじゃ」

「ねーねー、じっちゃん、芝ってなぁーに?」

「うーん、なんじゃろなぁ、まぁ難しいことはパスじゃ。兎に角、芝じゃ」

「続きを話すよ。芝を刈っていた途中で、お爺さんは急にウンチをしたくなってしまってのぉ、困ってしまったとさ」

「しばらくさ迷っていると、川があったとさ、こりゃいいとお爺さんは思い、自然の水洗便所で大便を済ませたんじゃと」

「じっちゃん、なんか臭いがしてきたよ」

「あっ、すまんすまん、ついつい話しに熱中しすぎて、屁をこいてしもうた」「まぁ、臨場感が増してええじゃろ?」と頭をかくはぁ~爺。

「この~、屁こき爺―」と信二は小声でつぶやいていた。

「続きを話すよ」「お婆さんが、川で洗濯をしていると、ドンブラコ~、ドンブラコ~と、なんと味噌が流れてくるではないか」「こりゃ珍しいこともあるもんじゃ、川に桃が流れてきた話なら聞いたことはあるが、味噌が流れてくるとは、これも天の恵みかのぉとお婆さんは思い、洗濯桶へ味噌を入れて帰っていったとさ」


「へー、そんなことがあるんだね」信二はびっくりしている。

「ここから先が、面白いんじゃよ」得意げにはぁ~爺が言う。

「お婆さんが、家に帰って朝ごはんの仕度をしていると、お爺さんが背中一杯に芝を背負って帰ってきたんじゃ」

「疲れたのぉ、朝ごはんはまだかい?」

「はい、もうできますよ とお婆さんが答えた」

「二人仲良くお膳の前に座り、朝ごはんを食べ始めたんじゃ」「ばぁさんや、味噌汁の味噌を変えたんじゃの? いつもと味が違うぞ」「ええそうなんですよ、お爺さん。聞いておくれよ。今朝、川で洗濯をしていたら、川上からドンブラコ~、ドンブラコ~って味噌が流れてくるじゃありませんか」

「おいおい婆さん、その味噌でこの味噌汁を作ったんじゃないだろうね?」「そのお味噌で作ったのですよ」

「ぺっ、ぺっ、それはわしのウンコじゃよーーー」


「おーしまい」、「どうじゃい?」と、はぁ~爺は信二へ言った。

 そこには、「はぁ~~~?」と言ったまま、開いた口がふさがらなくなった信二がいた。

 さすが、はぁ~爺の孫である。


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