戦神と別れ
鈴木スキヅキは語る――。
「あのとき、みんな『もうダメだ』と諦めていましたね。よくわからないけど、人類滅亡させる爆弾があったんでしょう? 最後は妻と抱き締め合っていようかなと思っていたくらいでしたよ」
田中タダナカは語る――。
「さすがに今回ばかりは無理だって思うよな。でも、あの人がいつもと変わらずにいたんだ。それだけで、もう勝利を確信したぜ。だけど、まさかあんなことになるなんてな……事実は小説よりも奇なりってか? あ、俺いま頭良さげなことを言っただろ? ははは」
鈴木コハルは語る――。
「私はあんまりアクション映画とか見ませんが、アレはもう怪獣映画みたいな感じでしたね。爆弾が爆発する! ……って、思ったら、ナッコフさんが敵の巨大なロボットを持ち上げて、宇宙まで飛んで行ってしまいましたよ。ええ、私も何を言っているのかわかりません」
いぬっち・ブラックドッグは語る――。
「ご主人様の悪ふざけ」
――というのを、アシモンがインタビュー形式で暇つぶしをしていると、空から隕石がドゴォッと降ってきた。
それに仁王立ちで乗っていたのは、親指をビッと立ててサムズアップしている黒焦げ服の男――ナッコフだった。
「アイルビーバック!」
「ご主人様、さすがに早すぎですワン。映画だったら数年越しで戻ってきて感動するシーンかと」
「ふむ、さすが映画だな……敵わんか……」
といういつものナッコフといぬっちの緊張感のない会話をしていると、田中や鈴木たちがワッと押し寄せてきてナッコフへ抱きついていった。
***
「ナッコフさん、もう行ってしまうのか?」
あれからしばらく経ったあと、ナッコフといぬっちは住人たちに見送られようとしていた。
拠点の謎パネルにあった『次マップ解放条件、悪のロボット退治』という文章がクリア表示になっていたので、そろそろダンジョンの階層を進んでみようとなったのだ。
「ああ、何か条件を満たしたとかで、次の階層へ行けることになったからな」
「階層……? よくわからないですが、まぁナッコフさんなら何でもありですね」
「ああ、なんてったってこの世界を救っちまった漢だぜ!」
鈴木と田中は、そう笑い合った。
ナッコフとしては成り行きでそうなっただけで、特に凄いことをしたとは思っていない。
だが、彼らの笑顔を守れたのなら嬉しい。
「ナッコフさん、これ食べてください」
「これは?」
小春が渡してきたのはアルミホイルで包まれた握りこぶし大の複数の物だった。
「移動中でも食べやすいかなと考えて作ったおにぎり、日本の携帯食ですね」
「これはかたじけない。ありがたく食べさせてもらう」
食事自体は摂らなくても平気な身体なのだが、食の美味さを知ってしまったので楽しみだ。
「ナッコフさん、お元気で!」
「俺たちのことを忘れないでくれよ!」
「さようなら、英雄!」
「うぅ……お主らも元気でな……!!」
別れを惜しむ住人たちとナッコフ。
それに対していぬっちがツッコミを入れた。
「いやいや、階層を移動するだけだからまたいつでも戻ってくることができますよ」
「そ、そういえばそうか! では、別れの言葉はこうだな!」
ナッコフは親指をビッと立ててサムズアップで言った。
「またな!」
この形式の話は書くのがメチャクチャ大変だったので、中途半端ですが五万文字程度で終わりに……!
バトル部分は書き慣れているので平気なのですが、娯楽とか食レポ的なところが不慣れで構想含めて時間かかりましたね。
良い勉強になりました。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
そして、新作の投降を始めました!
そちらもよろしくお願い致します!
【タイトル】
『モンスターを鎧にする仕事 ~お前は釣り合わないと婚約破棄されたけど、手先が器用なので服とか鎧を作って自由に暮らしてたら、なぜか国中が俺を探すようになった件~』
https://ncode.syosetu.com/n5346lw/
【あらすじ】
模型雑誌ライターのイストは異世界召喚されてしまった。
どうやらレアな存在らしく、いつの間にかお姫様と婚約させられていたが、スキルも魔力も無いことが判明した途端に手の平返しをされてしまう。
婚約破棄を宣告され、追放されてしまったのだ。
しかし、イストは手先の器用さでモンスター素材から防具を作る楽しさに目覚める。
実はその防具は、この世界では異質なほどに強く、その噂を聞いた国中がイストを探し始めるのだった。
そんなことは気にせず、今日もイストは山奥でマイペースで好き勝手にモンスター防具を作っていく。
今日は少しセクシーな軽鎧? 異形のローブ? 格好良いドレス?
いつの間にか周りの冒険者たちが最強になっていくのだが……?




