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【完結】引退した戦神ナッコフの悠々自適なダンジョン生活 ~英雄するのは飽きたので今日もソロで資源集めして楽しみます~  作者: タック


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戦神と貫徹

 ナッコフは長い間ぶっ続けでゲームをプレイした。

 アシモンによるとゲームは一日一時間が人間基準だったらしいが、ナッコフは人魚の肉を食べていて睡眠欲すら捨てているのだ。

 魔王軍と一ヶ月戦い続けるなどザラであった。


「何という強敵……リアルの我では実現不可能なギリギリの戦い……!」


 名作RPGを一本、また一本とクリアしていく。


「職業変化、個性的な仲間たちとの絆……すべて我一人でやらなくて良いだと……!?」


 戦いというものに関しては有識者だと思っていたが、RPGというものをプレイするとまだまだ奥深さを知らなかったのだなと再発見してしまう。


「スペースオペラ……? 星とは、宇宙とはこんなにも広くロマンに溢れていたのか!!」


 戦いという慣れ親しんだテーマから、世界というものを知り――。


「友人、恋人、父、母、兄弟、そうか。そのためにみんな戦っていたのか」


 ――愛を知っていった。

 オススメRPG十数本をやり終えたときは、かなりの日数が経っていた。

 ナッコフはハッとして、後ろでくつろいで寝そべっていた、いぬっちに話しかける。


「す、すまない。つい夢中になってしまっていた」

「いえ、後ろからご主人様がプレイしているのを見ているのも結構楽しかったですよ」

「そうなのか?」

「ご主人様は反応が色々とあって、これで金を取れそうだと思いましたよ」

「ははは、さすがにそれは言い過ぎだ」


 いぬっちからしたら、若々しく笑うナッコフの姿はかけがえのないものだった。

 戦神という世界のシステムのような存在だった彼が、ようやく自分自身のために生きることができたのだから。


「さてと、持って来たRPGも遊び尽くしてしまったし、また何か探しに行くか」

「お供致します」

「前に行った商店街にでも行ってみるか。またあそこにこの世界の人間がいればオススメを聞けそうだしな」

「御意」




 ***




 ナッコフといぬっちは走る速度がかなり出るため、途中の探索を無視すればかなり短い時間で遠くまで着く。

 今回は商店街まで走って十分もかからなかった。

 そこには以前の襲撃者の一人がいて、何かを探しているようだった。


「うお!? 物凄いスピードで来たと思ったら、この前のアンタか! えーっと、名前は……」

「ナッコフだ。そっちは二人ではないのだな?」

「今日は田中はいないよ……あ、田中ってのは俺じゃない方。俺は鈴木」


 どうやらこの前RPGをオススメしてくれた痩せ型スキンヘッドが鈴木で、少しガッシリした体型のモヒカン男が田中だったらしい。


「鈴木……田中……珍しい名前だな」

「ナッコフという名前の方が珍しいよ。……って、アンタを探していたんだ!」

「我を? 鈴木とやら、コンビニとやらにあった食料じゃ足りなかったのか?」

「いや、食料はありがたく頂いてしばらく平気だけど……説明するから俺たちの集落へ来てほしい」

「集落? この世界には鈴木と田中以外にも生きてる人間がいるのか?」

「まぁ、集落には少しだけな……他はわからないけど」

「わかった、向かおう」




 そこから鈴木が先導してくれて、集落へと辿り着いた。

 本当ならナッコフの足で一瞬だが、鈴木の歩幅に合わせたためだ。


「ここが集落か」


 集落と言っても、廃ビルのギリギリ崩れていない一階を陣取っているだけだ。

 見える範囲では十人くらいだろうか。

 子供から年寄りまでいて、室内にテントやら焚き火やらがあって不思議な感じだ。

 そこで鈴木は頼りにされているようで声を次々とかけられる。


「田中のお兄ちゃん、おかえり!」

「いつも悪いねぇ、田中さん……ワシが年寄りなばかりで……」

「田中さんにばかり危険なことをさせちゃって……」

「あれ? その外国人さんは?」


 外国人とはナッコフのことだろう。

 たしかに、この日本と呼ばれる世界の人間は顔つきなどが違うようだ。


「この方はナッコフさん。外でお世話になったお客さんだ」

「ふーん……」


 集落の子供にジロジロと見られている。

 ナッコフは自分の巨体が珍しいというのは前の世界でも慣れているので、特に何も思わなかった。


「こら、そんなに見て失礼だぞ」

「いや、気にしてない」

「では……奥の部屋へ……」


 そのまま進み、奥にあるドアを開けて入った。

 そこは病室のようで、ベッドに寝ている痩せ細った長い黒髪の女性がいた。

 苦しそうに息をしていたが、入ってきた田中とナッコフを見て笑顔を見せる。


「あら、お客さん?」

「こちら、ナッコフさんだ」

「外からの人なんて珍しいわね。こんな姿でごめんなさいね」

「いえ、お構いなく」


 そんな短いやり取りをして、部屋から出た。

 田中はすぐに頭を下げてきた。


「ナッコフさん。さっきのは俺の妻で、病気にかかっていて薬が必要なんだ……。その薬を取りに行くために前に一緒にいた鈴木はショッピングモールへ行っちまって……」

「しょっぴんぐもーる?」

「店が色々入っている建物で、そこに診療所もある……。頼む、あそこは危険なんだ!! 鈴木を助けてやってくれないか!!」

「ふむ、なるほど。RPGでいうクエストというやつか……」


 田中は下げていた頭を上げて、怪訝な表情を見せてきた。


「く、クエスト……?」

「我が前いた場所だったら何の疑問もなく無報酬で働いていたが、RPGをやってみると労働の対価というのがもらえるというのを知った。田中、お前は大切な妻のために何を差し出せる?」

「い、命だって差し出せる!」


 それを聞いたナッコフは渋い顔をした。


「いや、そんなものをもらってもな……」

「見ての通り、この世界も集落も残りかすみたいなもんだ……。差し出せるものなんて……」

「そんなだいそれたモノじゃなくて、もっとこう……この前のRPGのオススメとか、ポテチとかコーラみたいな……」

「そ、それじゃあ――」

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『モンスターを鎧にする仕事 ~お前は釣り合わないと婚約破棄されたけど、手先が器用なので服とか鎧を作って自由に暮らしてたら、なぜか国中が俺を探すようになった件~』

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