第2話 少年兵部隊への入隊
今日、僕と山田彩香は赤軍の駐屯地で青少年義勇兵に志願する。駐屯地へ向かう電車に乗るため、駅へ向かった。
翌日、僕らは駅で待ち合わせをし、ホームへ入り、電車を待つことにした。まもなくして駅員さんのアナウンスが聞こえてきた。
「新白河方面行きの列車が参りまーす。白線の内側に下がってお待ちくださーい。」
僕らは列の最後尾に並んだ。しばらくすると、僕らの目の前に電車が止まった。ドアが開くと同時に僕らは車内に入り、空いてる席へと座る事にした。
「列車が発車します!ご注意下さい。」
駅に止まっていた電車は鈍いモーター音を鳴らしながら徐々に加速していった。ガタンガタン、ゴトンゴトン、ガタンゴトンガタンゴトン、ピーッ! 列車は警笛を鳴らしてトンネルへ入った。真っ暗だ。トンネルを抜け、鉄橋が掛かる川を列車は渡った。
「なぁ、彩香ちゃん。」
「ん?何?」
「その、今更こんなこと言うのは何だけどさ、本当に良かったのか?親御さんに何も言わずに来ちゃって……」
「ええ、いいのよ。」
「でも、それじゃあ流石に心配させるんじゃない?」
「実はね、私のお父さんは私が3歳の時に交通事故で亡くなってしまったの。それで、お母さんが女手一つで育ててくれたの。」
「そうだったんだ……」
「お母さんには、昔から『あなたは人一倍優しい子になりなさい』と言われてきたわ。だから、私は自分のためではなく、他人のために行動することにしているの。」
「そうか……立派な考えだね。」
「ありがとう♪」
「いよいよだね。」
「ええ、緊張するわ。」
「そうだね。」
「ところで、政雄くんはどうしてそんなに南日本に行きたいの?」
「え?それは……」
「言いたくないなら無理して言わなくてもいいわよ。」
「うん、でも、こんな自由と個性が皆無の国なんて嫌だ。だから、僕は南日本へ行く。」
「そうなのね。」
僕と彩香で話をしてると一人のおじさんが声をかけてきた。
「おい、君たち、ちょっといいかな。」
「え?何でしょうか?」
「君たちは今どこに向かっているのかね?」
「私たちは、これから新白河赤軍基地へ行き、憎き南日本と戦うため、共産党が設立した青少年義勇兵に入隊しようと思っています。(まあ、嘘だけど)」
「ほう、そうなのか。頑張れよ。」
「はい、ありがとうございます。」
「ところで君たちの名前は?」
「私は山田彩香と言います。」
「僕は鈴木政雄です。」
「そうか。覚えておこう。」
おじさんと話してると車掌のアナウンスが聞こえてきた。
「まもなく、新白河、新白河!」
しばらくして電車が駅へ停車した。僕らは荷物を持って立ち上がった。新白河駅の改札を抜け、外へ出るとそこには、大勢の少年少女たちがいた。そして、皆、一様に同じ制服や人民服を着ていた。そして、目の前に軍服を来た人たちがいた。その人たちは、僕らを待っていたかのように話しかけて来た。
「こんにちは、私は赤軍の隊長をしている者だ。よろしく頼む。」
「はい、よろしくお願いします。」
「早速だが、これから訓練場に行く。ついて来てくれ。」
「はい。」
「はい。」
僕達は隊列を組んで歩き始めた。しばく歩くと、大きな建物が見えてきた。どうやらあれが目的地らしい。
「着いたぞ。ここが訓練所だ。」
そこには戦車やトラックなども置いてあった。中に入ると、広い空間があった。そこに沢山の少年少女達が整列していた。僕らも並んで待つことにした。すると、一人の軍人がやって来た。どうやらこの軍人が僕達の教官のようだ。僕達の前に立った。
「今日からお前たちの教育係になった小林だ。宜しくな。」
「「「「「はい!!!」」」」」
「よし、じゃあまずは、体力テストを行う。」
「はい!」
「1番始めに走る奴は誰だ?」
「はいっ!」
「じゃあ、そいつについて行け。」
「はい!」
その人は彩香だった。彩香は走り出した。速い。どんどん遠ざかっていく。彩香の姿はすぐに見えなくなってしまった。続いて50メートル走が始まった。僕の出番が来た。僕は走った。結果は7秒9だった。僕がゴール地点に戻ると彩香が僕の元へ駆け寄ってきた。
「凄いわね!私より速かったじゃない!」
「ああ、ありがと。」
「次は……彩香と鈴木だったな。早くしろ。」
「はい!」
「わかった。」
僕はスタートラインに立ち、構えた。ピストルの音が鳴り響くと同時に地面を思い切り蹴ってスタートした。しかし、あまりの速さに僕は転んでしまった。
「痛っ!」
すると、後ろの方にいたはずの彩香が隣に来ていた。
「大丈夫!?」
「うん、何とか……」
「そう、よかった……」
「次、彩香と鈴木だ。」
「はい。」
「はい。」
僕は再び立ち上がり、スタート位置に着いた。
「用意……ドンッ!」僕は思いっきり地面を蹴り上げ、全力
疾走をした。気がつくと僕は地面に倒れていた。
「政雄くん!大丈夫?」
彩香の声が聞こえてきた。
「うん、平気だよ……」
「そう、良かった……」
「次、彩香と加藤だ。」
「はい。」
「はい。」
「用意……ドンッ!」
彩香は僕とは比べ物にならないほどのスピードで走って行った。あっという間に姿が消えてしまった。
「はぁ……」
思わずため息が出た。
「おい、鈴木。立て。」
「あ、はい。」
僕は立ち上がってスタート位置に付いた。
「用意……ドンッ!」
僕は力の限り走った。今回は何とか走りきった。次のテストは
握力だった。僕は次々と測定器を壊していった。
「すげぇ……」
誰かが呟いた。僕は握力を測り終えた後、100メートル走を行った。
「よーい……ドンッ!」
合図と共に僕は全速力で走った。周りの景色が流れるように過ぎ去っていく。僕その後、反復横跳びやハンドボール投げなどが行われた。全ての種目が終わった頃にはもう夕方になっていた。
訓練が終わった後、教官の号令が聞こえた。
「集合!」
少年少女たちが一斉に集まってきた。そして教官の話が始まった。
「今日の訓練はここまでだ」
「明日は基地での過ごし方、基本教練、敬礼等の挨拶、それといよいよ実戦だ。銃や手榴弾の扱い方も学んでもらう。」
「はい。」
「はい。」
「今から戦闘服と戦闘帽を支給する、明日の朝、それに着替えてここへ集合だ!わかったか!」
「はい。」
「失礼します!」
解散した後、僕と彩香と皆は前もって案内されていた寮へ向かった。寮へ着くと教官が、立っていた。寮生活と寮の規則の説明をするためだそうだ。
「ようこそ、我が新白河赤軍基地の宿舎へ」
「はい、よろしくお願いします」
「まずは、この寮の決まりを説明する。」
「一つ目は、朝昼晩の食事は必ず食堂で食べること。」
「二つ目は、消灯時間までに必ず自分の部屋へ戻ること。」
「三つめは、外出する際は、事前に許可を取ること。」
「四つ目は、門限を破ると罰則を受けることになるので注意すること。」
「五つ目は、この基地内で暴力行為、窃盗行為をしないこと。」
「六つ目は、基地の外へ出る際は、身分証明書を携帯しておくこと。」
「七つ目は、この基地内での恋愛は禁止とする。」
「八つ目は、夜時8以降に出歩かないこと。」
「九つ目は、就寝時間は午後9時までに済ませること。」
「十個目は、起床時間は午前6時に起きておくこと。」
「十一個目は、休日は各自自由に過ごしても構わないが、平日は必ず訓練をを受けること。」
「十二個目、軍の行事には全員参加すること。」
「十三個目、この基地内ではいかなる理由があっても喧嘩やいじめなどをしない事。」
「では、部屋割りを発表する。山田彩香と鈴木政雄は同室だ。」
「え?そうなんですか?」
「ああ、よろしくな。」
「はい、よろしくお願いします。」
「次は、佐藤拓海と高橋裕也と渡辺和樹は3人一緒の部屋だ。」
「はい!」
「宜しくな!」
「宜しく!」
「最後は、鈴木政雄と小林だ。」
「はい。」
「宜しくな。」
こうして、寮での生活が始まった。僕らはそれぞれの部屋に入って荷物を整理した後、夕食を食べに食堂へと向かった。食堂に入ると、既に大勢の人たちが席に着いていた。僕らも指定された席を見つけて座った。しばらくすると、一人の男がやってきた。その男は僕らの前に立つと、こう言った。
「私は、この基地の料理長をしている者です。宜しくお願いします。」
「はい、宜しくお願いします。」
「今日のメニューはカレーライスとなっております。」
「わかりました。」
「それでは皆さん、ごゆっくりどうぞ。」
そう言ってその人は厨房へと戻って行った。数分後、続々とカレーが運ばれてきた。カレーが配られた後、また料理長がやって来た。
「手を合わせて下さい、感謝の意を込めて、いただきます!」
「いただきまーす!」
料理長の合図の後、皆一斉に食べ始めた。僕もスプーンを手に取り、口に運んだ。うん、美味しい!僕は夢中で食べた。気づくと皿の中は空っぽになっていた。
「はぁ〜、食った、食った〜」
そう言ってると料理長の号令がきこた。
「では、食後も手を合わせてください。」
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさまでした!」
僕は満足感に浸っていた。食事が終わり、部屋に戻ろうとしたとき、彩香が話しかけてきた。
「ねぇ、政雄くん!これから一緒にお風呂入りましょうよ!」
「いいよ。」
僕は彩香と一緒に大浴場に向かった。脱衣所に着くと、そこには沢山の軍人達がいた。僕達は服を脱ぎ終えると浴室に入った。中はかなり広かった。僕は体を洗い、湯船の中に浸かっていると彩香が入ってきた。
「政雄くん!背中流してあげる!」
「うん、ありがと。」
僕は彩香に背中を流してもらった。その後、二人で並んで浴槽に入りながら話した。
「ねぇ、政雄くんって好きな人とかいないの?」「う~ん、特にはいないかな……」
「そっか……」
「でも、彩香のこと好きだよ。」
「ほんと!?嬉しい!」
「私も大好きだよっ!」
「ふぅ、あったまったし、出ようか。」
「うん!」
僕と彩香は着替えを終えると部屋に戻った。部屋に戻ると、僕と彩香は同じベッドの上に横になった。そして彩香は僕に対してこんなことを言ってきた。
「あのね、政雄くん…せっかく同じ部屋、同じベッドに寝るんだからさ……抱きついて寝ようよ……」
「え?あ……うん……いいけど……」
「やった♪」
彩香は嬉々として僕に抱きついてきた。柔らかい胸が僕の体に当たっている。心臓がバクバク言っているのがわかる。人肌の温もりや優しさ、彩香ちゃんのいい匂いが伝わってくる。その時、彩香は僕に顔を近づけこう言った。
「政雄くん、キスしてみない?」「え……き、急に言われても心の準備が……」
「じゃあさ、目を閉じて。」
「わ、わかった。」
言われた通りに目を閉じると、唇に柔らかく温かいものが触れた。初めての感覚だった。数秒後に彩香の唇が離れていった。
「もう大丈夫だよ。」
「は、はい……」
僕はドキドキしながら返事をした。
「ねぇ、もう一回だけキスしよう?」
「う、うん……」
再び唇を重ね合わせた。今度は少し長くて深いものだった。しばらくして、やっと終わった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
息が荒くなって、体が熱くなった。
「ねぇ、今日は一緒に寝たいな……。」
「うん、いいよ。」
「ありがとう。」
僕と彩香は電気を消した後、抱きしめ合いながら眠りについた。
読んでくれてありがとうございます。




