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15 温泉施設が完成した

 ユリィの実家である飯屋を拡張して工事が行われていた、大規模温泉施設。

 それがこのたびめでたく完成した。


「レンちゃん! プレオープン期間は関係者特別ご優待ニャン! 私と一緒に行こうニャよ!」

「タダなら行くか」


 俺の家に居候しながら、ユリィの実家である飯屋で給仕の仕事をしている猫獣人女のマヤ。

 彼女が関係者特典のタダ券を手に入れていたので、俺は誘われるままに温泉に行くのであった。


「いらっしゃいませー」

「あ、家族風呂に、ふたりニャン」


 入館の受付的なことは全部マヤに任せているので、おれはついていくだけ。

 中途半端に広い……広い? いや、そんなに広くも狭くもない風呂のある部屋に連れられる。


「大浴場をイメージしてたけど、そういうんじゃないんだな」

「ご飯食べるところとか大浴場は別の入り口ニャン。お風呂入った後に行こうニャン」


 そうだな、風呂に入りに来たんだからな、風呂に入るのは当然なのだが。

 俺の隣でマヤは鼻歌を歌いながら、衣服を脱ぎ脱ぎしている。

 質素な下着に包まれた、ゴージャスなダイナマイトボディ。


 おかしい。

 風呂屋なんだから服を脱ぐのはおかしくないのか?


「いやいやいやいや、おかしいだろ」

「レンちゃんも早く脱ぐニャン! 既成事実を作るニャンよ! 私はせめて二人以上は欲しいニャン!」

「順番をすっ飛ばし過ぎだ!」


 色欲の獣からなんとか逃げ出した俺は、改めて大浴場の男湯に入場し直す。

 広い風呂、最高。

 身も心もきれいに洗い流し、適度に温まって食堂エリアへ。


「レンちゃんは意気地なしだニャン。そろそろ身を固めてもいい歳ニャのに」


 同じく女湯を楽しんだのであろうマヤから、ジト目で非難される。

 ほっといてくれ。今は気楽に気ままに畑仕事して暮らしたいんだ。


 とりあえずメシもそこで食い、劇場エリアにも足を運ぶ。

 ステージの上では村人たちによる、のど自慢大会が行われていた。


「結構いろいろなことができそうだな、この施設を使えば」

「領主さまに言って、州都でも評判を広めてほしいニャン。レンちゃんがお願いすれば聞いてくれるニャンよ」

「考えとくわ」


 施設を一通り楽しんで、さあそろそろ帰ろうかと思った矢先。


「あら、レンにマヤじゃない。さっそく来てたのね。どう? うちの温泉は」


 いつの間にかしれっと温泉の総支配人に就任していた、俺の幼馴染のユリィが声をかけて来た。


「いいんじゃないか、のんびりできるし、飯も美味いし」

「私は休みを増やしてほしいニャン!」


 それは、施設の満足度アンケートとは関係ないことだと思うぞ、マヤ……。


「アイラお嬢さまも、なにかの大会を開くっていろいろ準備してるみたいだけど、盛り上がりじゃうちも負けないからね」

「お嬢さんが大会を開くのはあくまでも学問とか武芸とかの発展のためだぞ。ここの温泉とは方向性が違うだろ」

「そうね。芸能と娯楽の分野は譲らないわ。あたしはいずれこの施設の2号店、3号店をこの辺境領内に、ゆくゆくは首都や他の国にも展開させて見せるわ!」


 ユリィはなにやら商売に目覚めてしまったらしい。


「ユリィちゃん、お金はただの道具で手段でしかないニャ、それが目的になっては寂しい人生を送る羽目になるニャよ?」

「唐突に深イイこと言ってまとめようとすんな」


 過去に奴隷として売られてしまった経験を持つマヤが言うと、若干シャレにならないのであった。


 ともあれ、俺の幼馴染のユリィと、辺境伯爵令嬢のアイラは、どちらがこの村を盛り上げられるかという対抗心を燃やしていた。

 そのおかげもあり村に活気が出たのはいいことかもしれない。


 一方で、金の亡者や山師のような怪しい連中が村に出入りするようになった。

 田舎でのんびり過ごしたい俺としては、若干閉口するのであった。

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