謁見
案内された部屋で暫く待った後、謁見の用意が出来たという報告を受ける。
さていよいよか・・・・・
リオをまじかに見ているせいで、王族とか意識しなかったけど、本物の王に会うので少し緊張してくる。
やべぇ。そういえば作法とか全く知らないぞ。
ねぐさんは貴族と付き合いがある上流階級なお人だ。作法もばっちりだろう。
リオに至ってはどうみても悪ガキにしか見えないが、これでも王族だ。こういう場での立ち振る舞いは分かっているだろう・・・・・たぶん。
わかってないの俺だけじゃん。
・・・・・目立たないようにこっそりしとこ。
そんなふうに少しビビりながら、謁見の間へと案内される。
第一印象はすっごい広い。
このお城の外観を見ていないので、想像できなかったが、謁見の間だけでサッカーができるくらいの面積がある。
そのまま中央の絨毯の上をまっすぐ進む。
ルミナ一行の足音が響く。
・・・・・・あれ・・・・なんだこの違和感。
「誰もいないわね。」
ねぐがボソッと呟く。
そうなのだ。
案内してもらっているのは先ほどのゴーレムだ。
その他の人がいない。見かけない。ゴーレム以外の人影が全くない。
大きな空間だからこそ、余計に歪に感じる。雑音が無いため音が響くのだ。
「お連れしました。」
ゴーレムは一言そうつぶやくと静止する。
「よくぞ参られた。私がこの国の王、「KING]である。」
玉座に座りながらこの国の王は、高らかに挨拶をするのだった。
・・・・・・・えっと、なんか想像とちがうんですけど。
王への謁見ってこんなだっけ?
やったことないけど、なんか違う気がする。
そもそもこの玉座の間には人間が王しかいない。
第一声も王がしている。
どゆこと?
「張りぼての王・・・とはよくいったもんね。」
ねぐの言葉に王「KING}は困った顔をして返答する。
「余が外界でどのように言われているかは知っている。だがその通りだ。部下はいないし必要がないのだよ。」
今やっと税がない理由が分かった。必要ないからだ。
外交がほぼない以上、自給自足できるならそれだけのほうが効率がいい。
皆で働いて生産活動をしていれば、それだけで村は潤うのだ。
「だけど外交先として王が必要・・・あったほうが都合がいいということか。」
何とも苦しいがそれくらいしか王がいる利点がない。
だが、KINGは首を振り
「外交も必要ない。そもそもこの国に来る人間はいない。必要がないからな。」
豪雪に守られた名もなき国。それがこの北の大地だ。
侵略する価値や意味、観光する価値などないに等しい。
「じゃあ王様がいる意味って。」
ルミナが小声でボソッと突っ込む。まったくわからない。
「意味は必要か?」
・・・・・・・・あ、はい。そんな答えでしたか。
それはさすがに想定外の返答です。
「まぁよい。久々に王らしい仕事をしようではないか。してこの北の大地に何用で参ったのだ?」
王の問いに少し苦笑しながらねぐはその芝居にのった。
「目的は「帰らずのダンジョン」へ入る許可と、戦利品の持ち出し許可。この2点よ。」
帰らずのダンジョンの名前が出た時に、初めて王の表情が曇る。
「帰らずのダンジョンへ目的を述べよ。」
王の声のトーンが少し低くなる。先ほどまでの談笑していた雰囲気とは明らかに違っている。
「必要なのかしら?」
ねぐも少しトーンが低くなる。
「必要だ。あのダンジョンは我が国にとって生命線というべきものだ。・・・・お前たち、この国において足りないと思われるものはあるか?」
自給自足についてか。足りないもの・・・なんだろ?
「食料ですね。この豪雪では野生の生き物がいない。」
リオが答える。・・・・なるほど狩りができないということか。
王はうなずくと、その問題を解決するのが帰らずのダンジョンであると説明する。
「帰らずのダンジョンでは食用にできる動物で溢れている。故に我が国の生命線。理由なしでは許可できぬ。」
「中で悪用されては困るということね。」
そういうことだ。と王は答える。
中の食用動物に病気や毒をもたらされてはいけない。そういうことなのだろう。
「中の動物に用はないわ。奥に眠る「勇者の武器」が必要なだけよ。」
あ、いっちゃうんですね。駆け引きもなんもなくドストレートに。
王は少し驚いた表情をみせる。
「おぬしらが勇者というのか・・・・。ならば余計に許可はできぬ。」
この返答はねぐさんにとっては計算違いだったらしい。
なんでよぉおっとクレームをつける。
「ダンジョンは勇者によってのみ破壊される。大事なダンジョンを破壊されるわけにはいかぬ。」
ですよねー。
ねぐさんは、「あ、しまった」と明らかにやらかした表情をしている。
「勇者にとって必要なものよ。あなたは勇者の行く道を邪魔するの?」
「生命線といったじゃろ。本来協力は惜しまぬが、いま必要かどうかといわれると・・・勇者とは必要なのか?」
王にしてみればダンジョンはなくてはならないもの。その危険を冒してまで勇者が必要な時代なのか。そこを問うているのだろう。
「必要なものを取ったらすぐに出るわよ。壊しはしないわ。」
「その必要なものをとるとダンジョンが崩壊する可能性はないのか?その時お前はどうするのだ。」
王の言ってることは正しい。王にとって何よりも守らなければならないものがダンジョンなのだ。
「許可がもらえないなら勝手に行くわよ。どうしても必要なのだから。」
「その話を聞いて、余が行かせると思うか?」
王の表情が険しい。だが、ねぐは交渉決裂だから仕方ないと開き直る。
「力づくでいいなら押しとおるわよ。」
ねぐさんに交渉させるのは失敗かもしれない。この人はまっすぐすぎだ。そして自分の力に自信があるので交渉に関する用心深さを欠いてしまっている。
正義は王にあるように思う。・・・どうしよう。
「力づくか・・・・面白いことをいうな。」
突然の声に王の表情が一層険しくなる。
どこから?
声をした方向を見ると、一人の青年が立っていた。
「あんた誰よ。」
ねぐの問いに青年は笑みを浮かべつつ
「勇者が来たら出迎えるのは俺の役目だろう?なぁKINGよ。」
嬉しそうに王に問いかける。
王は頭を抱えながら青年に次のように返答する。
「りんこよ。頼むから自重してくれ。お前が暴れると大変なことになる。」
続けて想定外の言葉を発する。
「魔王がでしゃばるな。・・・・そのにやけ顔では無理か。」
魔王・・・と呼ばれた青年りんこは当然だろと黒い笑みを返すのだった。




